ふるさと納税が大幅な制度変更!~高額返礼品は除外、地場産品以外も禁止へ~
ふるさと納税が制度変更~対象自治体を総務相が決定する方式に~
2019年度の与党税制改正大綱がまとまり、ふるさと納税制度が大幅に変更されることが決定しました。
2019年6月からは対象となる自治体を総務相が決定する方式に改め、過剰な返礼品競争を排除することとなります。
具体的には、「寄付額の3割以下」であることと「地場産品であること」が条件となります。
ふるさと納税は地場産品のみに変更
これまでは地元とは全く無関係のパソコンやコピー機、金券などもふるさと納税の対象として認められてきましたが、今後はそういったものは禁止されるとのことです。
ふるさと納税は「寄付額の3割以下」に制限
また、寄付金集めのための還元率競争の激化によって自治体が全体として疲弊しており、これを是正するため還元率に上限をつけることが決定しました。
今後は「寄付額の3割以下」までしか総務相に認めてもらえないとのことです。
ふるさと納税の本来の目的からかけ離れていく寄付金集め
もともとふるさと納税は、どういった経緯で始まったものか覚えていますか?
たぶんほとんどの人が忘れているか、もしくは知りもしないと思います。
本来の「ふるさと納税の目的」は、
- 子供が20歳になるまでに自治体が負担するコストは非常に大きい
- しかし、その子供は大きくなると都会に働きに行く
- 消費も税収も都会にだけ落ちて、出身地の田舎はこれではずっと疲弊するままだ
- これをどうにか是正するための策が必要
というものでした。
はたして、今回の税制改正でこの本来のふるさと納税の目的が達成できるのでしょうか?
個人的には甚だ疑問です。
改正ふるさと納税制度では、地場産品に魅力的なものがある地域だけが潤う
2019年7月から始まる新しい「ふるさと納税制度」では、地場産品に魅力的な商品がある地域だけが潤うことになります。
そういったものがない地域は、わざわざふるさと納税を集めるためだけに地場産品を作らねばならなくなります。
もちろん、それが地場産業の掘り起こしになるという主張もあるでしょう。
しかし、産業政策と寄付と税をリンクさせるようなわかりにくいことをするのは、税のわかりやすさという観点からしたら、かなりの悪手だと思います。
改正ふるさと納税制度でも消えない、地場産品選出時の不透明感
地方自治体がどの商品を地場産品に選ぶのか、その対価としていくらを納入業者に支払うのか、これはあくまでも自治体ごとのお手盛りで行われます。
公共事業などでは入札などが行われますが、ふるさと納税の商品の納入を入札で行っている自治体は、自分は寡聞にしてしりません。
どこの自治体でも、これらは自治体の長の周辺の情実で決められているのが現実であり、地方自治体に賄賂、接待などの汚職、レントシーキングの文化が蔓延る土壌を国が主導して作り出しています。
果たしてそれが地方自治の観点から好ましいことでしょうか。
ふるさと納税なんてやめて、人口動態に合わせて地方交付税交付金を上乗せしたらいいだけじゃないの?
ぶっちゃけ、上記のような問題だらけのふるさと納税制度なんてさっさとやめて、別の税の配分方法をとればいいだけではないのか、と個人的には思います。
たとえば総務省は人口動態のデータを持っているのですから、そのデータに基づいて地方自治体に国庫支出金か地方交付税交付金でわけることはできるはずです。
その方がシンプルですしコストもかからない。
なにより地方自治の観点からも好ましいはずです。
ふるさと納税制度はさっさとやめる、これが一番だと思います。
以上。