【中国】民弁教育促進法実施条例の改正案について
民弁教育促進法実施条例の改正問題についてまとめ
中国の大都市ではここもと教育熱が凄まじいことになっているとのこと。
日本でも一人当たり名目GDPが1万ドルを突破した1980年代初頭にお受験ブームがありましたが、まさにこの水準に中国の大都市は到達しています。(だいたい上海とかは12000くらい?)
幼稚園、小学校、中学校、高校を私立教育(民弁教育)機関に通わせる親御さんも増えてきており、塾通いや習い事に収入の半分をつぎ込むような家庭も多いのだとか。
この結果、中国楓葉教育 (チャイナ・メイプルリーフ・エデュケーショナル・システムズ)などの私立学校(民弁教育機関)を経営する企業もウハウハとなっています。
今回は、そんな私立学校(民弁教育機関)の絶好調ぶりに水をさすことになった、民弁教育促進法実施条例の改正問題についてみていきたいと思います。
政府がいきなり民弁教育促進法実施条例の改正をいいだした
中国共産党政府は、今年2018年8月、唐突に民弁教育促進法実施条例を改正するぞと言い出しました。
この内容がなかなかに私学(民弁教育機関)にとって厳しいものであったことから、私立学校関連銘柄が大きく下落することに繋がりました。
中国は基本的に、ボロく儲かっている企業を見つけたら厳しく締め付けます。
その儲け方がエゲつなく、庶民から巻き上げるようなやり口だと猶更です。
今回ターゲットになったのは、私学の教育機関でした。
今回発表された民弁教育促進法実施条例の改正案はどういったもの?
今回発表された民弁教育促進法実施条例の改正案は、おもに以下のようなもののようです。
・公立学校が営利目的の私立学校を設立することを禁止
・公立学校が営利目的の私立学校の設立に関与することも禁止
・公立学校が非営利目的の私立学校を設立することは許可が必要
・財政交付金を利用して営利活動をすることを禁止
・公立学校がブランド貸しによって利益を得ることを禁止
民弁教育促進法実施条例を改正することの目的は?
これは公立学校にフォーカスされているようにみえますが、実際は既存の私立学校が主たるターゲットになっています。
先ほども書いた中国楓葉教育などもそうなのですが、儲かっていない公的教育機関と提携し、儲けさせてあげる代わりに敷地や設備の一部を利用させてもらったり、ブランドを貸してもらったりして、設備投資などを控えながら利益成長を図るビジネスモデルがあるそうなのです。
(ここらへんの具体的なスキームは勉強不足なので間違っているかもです。)
公立教育機関と提携で稼ぐ、というやり方は民間事業者の論理としてはいいのですが、今まで公立教育機関に通っていたような貧しい庶民の子弟にとってはたまったもんじゃありません。
教育費もガンガンあがるし、不満もたまる。
そうした現状を放置できず、今回の民弁教育促進法実施条例の改正に至ったようです。
民弁教育促進法実施条例の改正は理念としてはわかる。しかし急すぎた・・・
とりあえず、この民弁教育促進法実施条例を改正する理念はわかります。
しかし、やり方がいつでも中国は急です。
市場の反応を全く理解していない。
というわけで、今回も関連する銘柄が大きく売り込まれる展開となりました。
こちらは先ほど書いた中国楓葉教育(1317.HK)です。
ホルダーの方々、乙でした・・・
とりあえず、中国ではこういった制度変更リスクが常に付きまといます。
ここら辺が中国株の怖いところといえます。
まぁ、制度の隙間を縫って稼ごうとする経営のやり方も問題があるわけですがw
民弁教育促進法実施条例の改正以外にもいろいろ起きている中国の教育制度
なお、中国の教育業界においては、民弁教育促進法実施条例の改正に含まれているのかよくわからないのですが、幼稚園での教育をやめさせようという意見も出ているそうです。
これは近視の問題を重視したからということですが、どうも個人的には違った意図を感じます。
つまり、「行き過ぎた受験戦争をやめさせよう」という小尾乕雄(おびとらお)みたいな奴がいる可能性があります。
(というか、私学を稼がせるために都立を没落させた小尾乕雄と違って、中国では私学を没落させて公立を伸ばそうとする一派がいる可能性があります。また、国民を利口にしすぎることを恐れ始めている可能性もあります。)
とりあえず、ここら辺の具体的なものがいずれ出てくるでしょう。
そういった部分も含め、注意してみていく必要があると思います。
以上です。