アクゾノーベルが太古實業(Swire Industrial Limited)との塗料事業合弁を完全買収~欧米企業による中国事業の出資比率拡大の流れが始まった可能性

アクゾノーベルが太古實業(Swire Industrial Limited)との塗料事業合弁を解消し完全買収

 

 

アクゾノーベルが太古實業(Swire Industrial Limited)から塗料事業を買収

アクゾノーベルが太古實業(Swire Industrial Limited)との塗料事業の合弁関係を解消し、完全買収するとのことです。

AkzoNobel acquires full ownership of Chinese decorative paints joint …

これにより、アクゾノーベルは完全子会社化によるスピード感のある経営を実現。

太古實業(Swire Industrial Limited)は塗料事業から撤退し、現金を手に入れることになります。

 

 

アクゾノーベルによる太古實業(Swire Industrial Limited)との提携解消は中国政府による外資出資比率引き上げ容認を受けたものか?

米中貿易戦争の激化により、中国政府は米国側からの要請をいろいろと受け入れてきています。

そのなかには外資に対する規制緩和なども含まれており、外資出資比率が100%になることも容認するような姿勢が目立っていました。

今回のアクゾノーベルによる太古實業(Swire Industrial Limited)の事業買収は、そういったなかで起きたことです。

 

 

アクゾノーベルはカーライルとGICに化学品事業を売却し1兆3000億円を調達、その資金の一部で太古實業(Swire Industrial Limited)から塗料部門を買収

アクゾノーベルは先に、カーライルとシンガポール政府系投資ファンドGICに特殊化学品事業を売却しました。

その売却で手に入れた資金が1兆3000億円。

その後7200億円を株主還元に用いましたが、まだ残っている資金を使って太古實業(Swire Industrial Limited)から塗料事業を買収したことになります。

 

 

 

アクゾノーベルと太古實業(Swire Industrial Limited)の他にもまだまだある中国合弁事業の買収案件

なお、こうした中国事業の買収案件はここ最近になって急激に増えてきています。

たとえば自動車分野ではブリリアンスチャイナとBMWの合弁がBMWの比率を増やすように変化したり、

自動車部品の華域汽車系統(600741)がTRWオートモーティブとの合弁を解消して撤退、TRWがマジョリティを握るようになったり、

北京汽車が持ち分をダイムラーに譲って、こちらも65%をダイムラー側が握るようになったり(現在は49%がダイムラー)

 

こういった感じで、外資との合弁を解消、もしくは縮小する動きがあります。

 

 

とりあえず、外資はまだまだ中国市場をおいしい市場と見做している可能性があります。

米国の一部には中国との完全な手切れを主張する向きもいるようですが、経営側の人々はそんなことを無視して中国事業に向かっていっているようです。

政治的な対立とビジネスは別

米国の圧力で中国が開かれるなら、その隙をしっかりついていく・・・

という欧米企業のしたたかさが表れているように感じます。

日本企業の経営陣も、こういった点は学んだ方が良いと思います。

以上。