【9024】西武ホールディングス/西武鉄道の業績と株価
今回は、東京都下と埼玉県が地盤の鉄道事業およびホテル事業などを行っている西武ホールディングス/西武鉄道についてみていきます。
まずは西武ホールディングス/西武鉄道の会社説明から始めます。
西武ホールディングス/西武鉄道とは?
西武ホールディングスは、東京都下と埼玉県を地盤とする西武鉄道と、ホテル業、オフィス不動産賃貸業などを営む企業です。
西武ホールディングス/西武鉄道の事業比率
(西武ホールディングス/西武鉄道アニュアルレポート2018より)
西武ホールディングス/西武鉄道の事業のうち最大のセグメントは、売上でみるとホテル・レジャー事業、営業利益でみると都市交通・沿線事業となっています。
なお、この都市交通・沿線事業にはいろいろと混ざっているため、単純な鉄道事業というわけではないことに注意です。(西武鉄道だけでなく、バス、遊園地、横浜アリーナなどが含まれています)
西武ホールディングス/西武鉄道の鉄道事業
西武ホールディングスは東京都下と埼玉県で鉄道事業を営んでいます。
西武鉄道の路線図は以下のようになっています。
いわゆるドル箱路線のようなものがなく、郊外と新宿・池袋を結ぶ通勤路線となっています。
こういった大量輸送型のビジネスは鉄道事業としてみるとあまり儲けが多くない、おいしくないビジネスとなります。
西武鉄道の近年の旅客輸送実績は以下のようになっています。
(西武ホールディングス アニュアルレポートより)
郊外路線ですし、沿線人口は今後減少に向かうことがほぼ確実視されていますが、西武ホールディングスは住宅地の再整備などを通じて沿線の鉄道利用人口を増やそうと頑張っています。(鉄道駅を中心に市街地再開発事業に積極的に参加しています。)
西武ホールディングスのホテル事業(プリンスホテル)
西武ホールディングスはプリンスホテルのブランドでホテル事業を展開しています。
近年、インバウンド客の増加により客室稼働率および販売質量、RevPARなどが上昇しており、これが同社のホテル事業の業績改善に寄与しています。
西武ホールディングスの不動産事業
西武ホールディングスは古くからのホテルを潰してオフィスビルに転用するなどしており(ガーデンテラス紀尾井町など)、不動産賃貸業の収入も増えてきています。
また、西武鉄道沿線の自社保有地にマンションを建設して販売、駅周辺の商業ビルからの賃料収入などもあわせ、営業利益の1/4程度を稼ぐ事業となっています。
西武ホールディングスのハワイ事業、建設事業
西武ホールディングスは上記の事業群のほかにも、バブル経済の頃に手掛けたハワイ事業なども抱え込んでいます。
これらはあまり収益性が高くなく、今後の課題となっています。
西武ホールディングス/西武鉄道の有価証券報告書虚偽報告事件および上場廃止問題
西武ホールディングスは過去に有価証券報告書虚偽報告事件を起こしています。
これは、株主であるコクドも持ち株比率が本来であれば上場廃止基準に抵触するにも関わらず、名義株を利用して誤魔化して上場を継続したというものです。
この件でコクドのオーナー堤義明氏は西武鉄道の経営から引退。
その後、堤義明氏は株主への損賠などのために西武鉄道の株式を売却し関係を清算、サーベラスと日興プリンシパルインベストメンツによる再建を経て、2014年に再上場したのが、現在の西武ホールディングスとなります。
西武ホールディングス/西武鉄道の株主優待
西武ホールディングス/西武鉄道は株主優待制度が充実しています。
以下に基準日および鉄道事業の株主優待を記しますが、これ以外にもレストラン、スキーリフト券などいろいろと揃っています。
詳しくは西武ホールディングスのホームページでご確認ください。
基準日 | 3月31日現在の株主さま | 発送日 | 5月中旬 |
---|---|---|---|
有効期限 | 11月30日 | ||
9月30日現在の株主さま | 発送日 | 11月中旬 | |
有効期限 | 翌年5月31日 |
株式数 | 優待乗車証の種別 | 乗車区間 | 枚数 | 追加発行 |
---|---|---|---|---|
300株以上 1,000株未満 |
片道きっぷ | 西武線・西武バス全線 | 2枚 | |
1,000株以上 3,000株未満 |
片道きっぷ | 西武線・西武バス全線 | 10枚 | |
3,000株以上 5,000株未満 |
片道きっぷ | 西武線・西武バス全線 | 30枚 | 3年以上継続して3,000株以上保有した場合 片道きっぷ5枚追加 |
5,000株以上 10,000株未満 |
片道きっぷ | 西武線・西武バス全線 | 50枚 | |
10,000株以上 20,000株未満 |
電車全線パス | 西武線全線 | 1枚 | 3年以上継続して10,000株以上保有した場合 片道きっぷ10枚追加 |
20,000株以上 40,000株未満 |
電車・バス全線パス | 西武線・西武バス全線 | 1枚 | |
40,000株以上 | 電車・バス全線パス | 西武線・西武バス全線 | 2枚 |
西武ホールディングス/西武鉄道の業績におけるリスク~地震など大災害
西武ホールディングス/西武鉄道は事業の大部分を東京と埼玉でおこなっているため、関東圏で大きな地震、災害が発生した時は甚大な被害が発生する可能性があります。
西武ホールディングス/西武鉄道の業績におけるリスク~沿線人口の高齢化と人口の減少
西武ホールディングス/西武鉄道は人口減少のスピードが多いと言われる東京都下と埼玉県が地盤ですので、今後数十年単位でみた場合、利益面を圧迫してくる可能性があります。
西武ホールディングス/西武鉄道の業績リスク~ホテル事業
何らかの理由でインバウンド需要が減退してホテル事業が閑散となると、西武ホールディングス/西武鉄道の業績も落ちることになります。
西武ホールディングス/西武鉄道の業績
ここからは西武ホールディングス/西武鉄道の業績を決算資料などをもとにみていきます。
(ここから下は2018年12月25日に書きました)
西武ホールディングス/西武鉄道2018年Q2決算の業績
西武ホールディングス/西武鉄道の2018年Q2決算は上記の通り、売上、営業利益ともに増益基調をキープしています。
なお、鉄道事業者に多いことですが、自己資本比率は低めになっています。
西武ホールディングス/西武鉄道の2018年Q2セグメント別業績
西武ホールディングス/西武鉄道の2018年Q2事業別業績は、全てのセグメントで増収でしたが、鉄道など都市交通事業と建設事業が減益でした。
また、ハワイ事業は赤字に転落しています。
鉄道事業は償却前も減益となっており、人件費や燃料費などの販管費の上昇が圧迫してきているようです。
西武ホールディングス/西武鉄道の株価 2018年12月25日
西武ホールディングス/西武鉄道の株価は昨年夏より長期ボックス圏で推移してきましたが、ここにきて世界的株安とともにボックス下限に近付いてきています。
なお、PERは12~13倍程度、EV/EBITDAも12倍程度です(借金が多いので。)
以上です。
なお、上記はあくまでも個人的な見解であり、特定の投資スタンスを勧めるものではありません。投資にあたっては自己責任でお願いいたします。