【節税目的か?】LIXIL(リクシル/旧トステム)の潮田洋一郎会長がMBOでシンガポールに本社移転か?

LIXIL(リクシル)グループ、創業家出身の潮田洋一郎会長がMBOでシンガポールに本社移転か?

 

潮田洋一郎会長がLIXIL(リクシル/旧トステム)をMBO?

大手住宅設備メーカーのLIXILグループの創業家出身、潮田洋一郎会長が、東京証券取引所への上場をやめ、シンガポールに本社を移転するのではないか、と日経ビジネス電子版が伝えています。

 

LIXIL(リクシル)グループとは?

LIXILは日本の大手住宅設備メーカー。

かつてはトーヨーサッシという社名でした。

1992年 トーヨーサッシからトステムに社名変更。

2001年 便器やユニットバスの製造販売を行っているINAXと合併したことにより、INAXトステムホールディングスに社名変更。

2011年 INAXトステムホールディングスは、LIXIL(リクシル)に社名変更

同時に新日軽、東洋エクステリアと合併し、今に至ります。

 

LIXILグループは現在、衛生陶器(便器)のINAXブランド、サッシのトステムブランドなどを有する日本を代表する住宅設備メーカーとなっております。

以前の記事⇒【5938】LIXIL(リクシル)の業績と株価

 

LIXILグループの潮田洋一郎会長

LIXILグループの会長は潮田洋一郎という人物です。

この潮田洋一郎会長はトーヨーサッシ創業者の潮田竹次郎から数えて三代目(二代目は潮田健次郎)

1953年生まれのおぼっちゃまで、古典芸能・歌舞音曲にあかるい方と伝えられております。

その一方で父・潮田健次郎氏の在任中には副社長を解任されてヒラの取締役におろされたこともある方で、経営能力に対してはやや疑問符をつける風潮も一部にはあるような方のようです。

 

 

LIXILの潮田洋一郎会長による相次ぐプロ経営者の招へい&放逐~藤森義明、瀬戸欣哉

潮田洋一郎会長率いるLIXILグループですが、ここ数年で目まぐるしく経営トップが交代しています。

まずは元日商岩井からGEのアジア部門幹部を歴任した藤森義明氏を招へい。

経営トップに据えて海外事業の買収を積極的に進めたのが2011年です。

しかしこの積極策は、イタリアの水栓事業グローエ買収にくっついてきた中国事業のジョウユウの巨額粉飾決算でケチがつきます。

大規模な減損を発生させることに繋がり、藤森義明氏は責任を取って退任します。

 

後任に選ばれたのが瀬戸欣哉氏。

この方は住友商事出身でモノタロウの創業者・経営者として活躍されていた方です。

非常に優秀な方ですし、わざわざモノタロウの経営から退いてLIXIL再建を頑張って立て直しをしていたように見えたのですが、その最中に辞任を迫られるかたちで経営交代となりました。

そして後任に就いたのは潮田洋一郎・・・そう、今回のMBO案件の中心人物です。

 

 

LIXILグループの迷走~藤森義明氏の海外事業買収を後押ししていたのは潮田洋一郎?

じつは、この一連の流れの背景には、潮田洋一郎会長の日本脱出計画があったのではないか?という指摘は以前からありました。

2018年12月号FACTAなどによると、潮田洋一郎氏はかねてより縮小している日本市場に見切りをつけ、海外市場に行きたかった。

そのためにはまず海外事業比率を高める必要がある。

事業失敗のリスクもあるので、自分は矢面に立たずに藤森義明氏を経営トップにつけて操った・・・とのことです。

 

LIXILグループの迷走~潮田洋一郎&藤森義明氏の尻拭いをさせられた瀬戸欣哉氏

ところが、やはり予想通り藤森義明氏の海外事業拡大はうまく行かない・・・そこで、リリーフとして呼ばれたのが瀬戸欣哉氏。

瀬戸欣哉氏はまず止血をすすめ、無理な海外展開をするよりも国内事業の利益率を確保するように現実的な経営をめざします。

ところが、これが潮田洋一郎氏の方針と異なる。

一定程度の止血が済んだところで、瀬戸欣哉氏はお役御免で交代。

潮田洋一郎氏が再度経営のタクトを振ることになったというのです。

 

 

LIXIL潮田洋一郎氏は節税のために日本からシンガポールに移りたい?

潮田洋一郎氏は日本文化、歌舞音曲などを好むそうですが、市場が縮小している日本から脱出を目指していると報じられています。

しかし、たぶん市場が縮小していることだけが、日本からの脱出を目指す理由ではないのではないかと思います。。

日本は相続税も高いですが、シンガポールであれば相続税、贈与税などが無税です。

日本を脱出してシンガポールに会社も自分も移住してしまえば、子供に多額の株式を譲ることができる。

一族の利害のために海外移転をしたいのではないか?と個人的にはみています。

もちろん、本当の目的は本人にしかわからないので何ともいえませんけどね。

 

 

 

潮田洋一郎によるLIXILのMBOはあるか?~振り回されるLIXIL株主たちの運命は?

とりあえず、各種報道からみると、潮田洋一郎氏によるLIXIL株のMBOはかなり進んだ段階にみえます。

あとは買い付け価格がどの程度になるか、対抗馬が現れるかどうか?そこらへんがポイントでしょうか。

 

 

 

潮田洋一郎によるMBOとシンガポール移転は、LIXILの業績にネガティブな可能性

ただ、個人的な見解を言わせていただければ、LIXILの海外への本社移転は、自殺行為なのではないか、という気がしています。

確かに日本市場は縮小傾向にあります。それは事実です。

しかし、LIXILの業績をみてみればわかりますが、海外比率はいまだ25%程度しかありません。

日本国内の事業が同社の主軸なのです。

この状態で海外に本社機能を移して、海外に納税し、海外で子息に株式を贈与したりしたらどうなるでしょう?

間違いなく、日本国内で住宅を建てる人たちはLIXIL製品を嫌がるはずです。

もちろん、すごく値引きされていればLIXILの製品をそれでも選ぶ顧客はいるでしょうが、どうにも嫌気される可能性がある。

工務店だって嫌がる可能性がある。

韓国系のサンスターもかつて日本からスイスに本社を移しましたが、それとは全く別の次元のインパクトが発生する可能性があります。

果たしてLIXILの既存株主のほとんどや従業員、債権者たちにとって、これは好ましいことなのか・・・ちょっと考えてみる必要があるでしょう。

 

 

なお、LIXILグループはかつて先進的な経営統治を採用している企業として外資系証券などから非常にポジティブなレポートが流されていましたが、この背景には同社とのアドバイザリー契約受注を目指したりなどの思惑が絡んでいるのではないか、と個人的には見ていました。

LIXILの迷走からみえることは、証券会社のレポートやガイアの夜明けなどの経済番組などのヨイショは信用しちゃダメってことです。

芸能ネタの週刊誌なみに手のひらをクルクルしますので、相手をしないことが重要です。

以上。