中国が関係悪化を理由に米国債を漸減傾向、金の保有を増やす動き
中国がここもと米国債の保有を減らし金の保有を増やしています
上記によれば、中国は5カ月連続で米国債を減らしています。
一方で、中国は金の保有を増やしています。
China builds up gold reserves in shift away from dollar
無国籍通貨である金を買い始めた中国
金は最強の無国籍通貨です。
ビットコインやリップルなどの仮想通貨なんかとは比較にならないくらい歴史のある、遥か昔からの無国籍通貨です。
世界共通の価値が保証されるのが金であり、だからこそ、かつてドルなどの紙幣は金との兌換紙幣でした。
その後、金との兌換をやめたことで金融政策の自由度が増し、世界経済のかじ取りがしやすくなったのは、この50年間で多くの人のみてきたとおりです。
この前提が、若干揺らぎ始めている可能性があります。
それも、本来の経済システムからくる問題ではなく、外交問題という迂回路を辿って。
中国が米国債を積み増さず、金を買う理由
中国はすでに米国債の世界一の保有国です。(ちなみに二番手は日本です。)
その中国が米国債を積み増さず、金を買う理由は、単純にいってしまえば、米中関係の悪化でしょう。
米国債をいくら持っていても、米国と戦争になればパーです。
軍事戦争でなくても、経済戦争であってもそうです。
米国は何かのいざとなったら、特定の国の米国債の持ち分だけ減らすことはできますし、利払いの停止だってできます。
経済制裁したら支払いすら行われません。
パーレヴィーが持っていた米国債資産をイランがいくら接収したって、米国はイランに利払いなんてしません。
そういうもんです。
米国債を買う前提として、米国との友好関係がずっと続くということが重要です。
それが揺らいでいれば、米国債を買うのは途端にリスクになります。
中国が金を買うのは、まさにそういう理由から・・・と思われます。
これ以上の米債を保有するのはリスクだとみている節があります。
中国だけでなく、ロシアも米国債保有を減らしている
実はこうした動きは中国が最初ではありません。
ロシアは昨年、米国債の保有を一気に減らしました。
以前は報告義務のある保有比率を保っていましたが、それを一気に売り払って、現在はリスト外です。
中国はさすがにここまではしないでしょう。
そんなことをしたらマーケットを攪乱してしまいますから。
中国はもはやこれ以上米国債を買う気がない~金保有を拡大か
しかしもはやこれ以上の増加をしようとは考えていないことを表明しています。
先日、中国証券監督管理委員会の副主席の方は、出席したダボス会議で以下のように発言しました。
これ、タイトルがやや間違っています。
具体的には「米国債市場への投資を著しく削減することはない」という発言でした。
つまり、増やす方向ではないということです。
むしろ、減らしていくけれど、大きく減らすつもりはない、というふうに自分は読み取りました。
多分、それであっていると思います。
そして、その代替として買うのが金なのだと、そういうことだと思います。
中国の政策保有で金価格下支えか?
個人的に、アメリカ国債の裏付けとなる、他国とのなかよし体制が崩壊しつつある今、金の価格は下支えされやすい環境にあると思っています。
とりあえず、米国が世界の中心でいられた時代が終わりつつあるなか、換金性の高い現物資産には資金が回る可能性があります。
そのあたりには要注目かなと見ています。
以上。