【資源】ブラジル発の鉄鉱石価格急騰はじまる~VALE(ヴァーレ)、BHPの鉱滓ダム(鉱山ダム)崩壊を受け鉱山規制強化へ

【資源】ブラジル発の鉄鉱石価格急騰はじまる~VALE(ヴァーレ)、BHPの鉱滓ダム(鉱山ダム)崩壊を受け鉱山規制強化へ

 

先日のVALE社(ヴァーレ)の鉱滓ダム(鉱山ダム)崩壊事故の続報です

先日のVALE社の鉱滓ダム崩壊事故では少なくとも80人超が死亡、300人超が行方不明になっていると言われています。

また、鉱滓には大量の有害物質が含まれており、流域での水資源、水産資源、灌漑用水としての利用などができなくなります。

このため、生活基盤を失った人々が大変な状況におかれ、その補償などに数兆円規模が必要なことは前回の記事で書きました。

またもやブラジルの鉱滓ダム(鉱山ダム)が決壊し200人以上死亡~資源大手ヴァーレ 1月27日

 

ブラジルにはVALE社(ヴァーレ)の鉱滓ダムの他に危険なダムが4000か所!?

この件に関し、ブラジルのカヌート地域開発省は、

「ブラジル国内には破損可能性が高いダムが4000か所存在」

「うち205か所は有害な鉱滓をためている」

「すべてをすぐに点検することは不可能、緊急に措置が必要なダムを選定中」

と述べました。

Brazil has nearly 4000 dams at high risk: minister

・・・つまり、ほとんどのダムが危険ということのようです。

とりあえず、ブラジルのダムは相当危険。

今までろくにちゃんと管理してこなかった、ということのよう。

 

 

ヴァーレ(VALE)社は2009年に鉱滓ダムの危険性を認識していた?

なお、危険性に関しては、2009年の時点でVALE(ヴァーレ)は認識していた可能性が高いとのことです。

これはロイターがVALE(ヴァーレ)の資料を調査した結果判明したものとのこと。

一部の鉱山では鉱滓が毎日何十万トンも出ていたことから、鉱滓ダムをなるべく使わない方法を考えていたとのこと。

選鉱したあとのクズを使ってレンガをつくり、それを使ってダムを作る方法なども考えられており、もしもそういった方法をとっていれば、今回のような事故は起きなかったのではないか、と言っています。

Brazil’s Vale Eyed Dam Design Changes in 2009

 

 

 

 

VALE(ヴァーレ)は鉱滓ダム(鉱山ダム)10か所を撤去、鉄鉱石生産が10%減少へ

Vale says it will sacrifice output for dam safety in Brazil

なお、VALE(ヴァーレ)は今回の件を受けて、鉱滓ダム(鉱山ダム)10か所を撤去するということです。

ダム撤去は3年かけて行われるとのこと。

この作業には13億ドルかかるとのこと。

また、これにより鉄鉱石の生産量が10%減少するとのことです。

 

 

 

 

ブラジルの鉄鉱石生産を牛耳るVALE(ヴァーレ)~同国の鉄鉱石生産量は世界の20%

以下をみていただければわかるとおり

【統計】鉄鉱石生産量 国別順位/ランキング【グラフ】

ブラジルの鉄鉱石生産量は世界の約20%です。

そして、このブラジルでの鉄鉱石生産は、ほぼほぼVALE(ヴァーレ)が牛耳っています。

今回、1割の生産量の低下ということですから、世界の鉄鉱石需給は2%引き締まるということになります。

2%というのは、マーケットではかなり大きな変動です。

これを受けて、同業のオーストラリア地盤の資源会社リオティントなどが上がっています。

米中貿易戦争&中国経済の鈍化懸念から資源大手の株価は軟調に推移してきましたが、思わぬところから需給引き締まりが意識される展開となっており、同業他社には僥倖となっています。

なお、BHPビリトンも同様に鉄鉱石大手ですが、こちらはブラジル国内でサマルコ社を通じてダム決壊事故を起こしています。

とりあえず、今回の件も前回のBHP&VALEのJVサマルコの件にしてもそうですが、損賠額の天井がやたら高い。

数兆円単位の賠償になる可能性もあり、そんなのが何回もあったら、間違いなく倒産することになるでしょう。

今回の件は、VALEは10%の減産するから兆単位の損賠は許してほしい、と言った感じだと思います。

果たしてこれが通用するかどうか。

いろいろと、注目にあたいする展開です。

以上。