次期iPhoneにイヤホンジャックアダプタが同梱されず?アップル向けオーディオチップメーカーのシーラス・ロジックは供給契約を維持できるか?
2018年8月2日の取引で、Apple製品向けにオーディオ関連のチップを供給するシーラス・ロジック(Cirrus Logic)の株価が7.02%下落しました。
市場では、緩慢なシーラス社の決算発表を嫌気してのもの、という解説が多いです。
Sluggish Smartphone Demand Hits Cirrus Logic
具体的に業績はどうだったのでしょうか。
同社ホームページから先日出たばかりの決算内容をみてみましょう。
Cirrus Logic Reports Q1 FY19 Revenue of $254.5 Million
- ポータブルオーディオ製品の収益が前年比24.4%減の2億1226万ドル
- 非ポータブルオーディオ等の収益は5.4%増の4222万ドル
- Appleに収益の76%を依存
- GAAP粗利益率は48.9%
- 研究開発と一般管理費が増加、営業利益は6157万ドルの赤字
なるほど、数字だけをみれば確かに嫌気されてもしかたない決算だったと思います。
しかし、これら情報はある程度予想されていた内容です。
シーラス・ロジックがオーディオチップを供給するAppleのiPhone、そして二番目に多く供給しているサムスンの端末Galaxyはどちらも売れ行きが芳しくありません。
iPhoneは価格を引き上げて利益を上げていますが、チップメーカーにとってはそれはほとんどの場合、たいして売上増加に繋がりません。
そんなことはわかっていましたから、これまで緩慢な株価推移となっていました。
シーラスロジック社(ティッカー:CRUS) 週足チャート
問題は、もっと別のところにあると思います。
個人的には、以下の記事がひっかかります。
Apple unlikely to include Lightning-to-headphone jack converter with …
次期iPhoneには、イヤホンジャックアダプタ(イヤホン端子変換アダプタ)が同梱されない可能性
との記事です。
もしこれが事実だとすると、デジタル情報のままBluetoothなどで無線でヘッドホンに飛ばし、そっちでアナログデータにデコードしてくれよ、ということになります。
当然、アップル向けと違って競合がたくさんいます。
Apple向けになら、他のデータ処理と一括で請け負うこともできますが、今後はそういう契約の仕方ができなくなります。
これが、同社の経営にどういう影響を与えるかといえば、まぁ、ネガティブでしょう。
Appleは、今までもサプライヤーをバシバシ切ってきました。
たとえばそれは、イマジネーションテクノロジーズなどです。
かつてAppleにGPUを提供していた同社は、アップルが独自でGPUを開発することになり、切り捨てられました。
イマジネーションテクノロジーズの場合、収益全体に占めるApple向け比率は半分くらいでしたが、それでも供給契約が停止したことにより同社株価は大暴落。結局は身売りせざるを得なくなりました。
はたして75%~80%程度をAppleに依存するシーラス・ロジック社が同様の状況に陥った場合、株価は維持できるのでしょうか?独立性を維持できるのでしょうか?
個人的には、かなり厳しい状況なのではないか?という気がしています。
なお、上記は確実な情報を得ているわけではありませんし、不確実な予想に基づいています。中卒くん独自の見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。もし同社に投資するようであれば、ご自分で情報を確認の上、自己責任でするようお願いいたします。