中国のスーパーマーケット永輝超市(Yonghui Superstores)~テンセントのニューリテール戦略の中核~仏カルフールとも提携
今回は、中国のスーパーマーケット大手で、大型ショッピングモールなども展開する永輝超市(Yonghui SuperMarket)についてみていきます。
永輝超市(Yonghui SuperMarket)は、主力の永輝超市のほか、BRAVO、永輝城市生活広場などを福建省、重慶、四川などに積極展開。
永輝超市は中国西南部を中心に物流網を確保しており、中国でも有数の小売企業・ゼネラルスーパーマーケットGMS事業者となっています。
(永輝超市2018年半年度報告より)
なお、永輝超市は昨年暮れ12月8日にテンセントからの出資を受け入れ、拡大する新小売(ニューリテール/新零售)において、アリババではなくテンセントのWechat Pay陣営に属することを決めました。
テンセントは永輝超市の大株主である張軒松氏と張軒寧氏から5%の永輝超市株式を取得。
さらにテンセントは、永輝超市のO2O方式(オンラインtoオフライン)生鮮食品スーパーマーケットである永輝雲創科技に対して15%ぶんの増資を引き受け。
アリババ(Alibaba/BABA)がハイパーマーケット大手の高キン零售(06808/サンアート・リテール)や盒馬鲜生(ファーマーションシェン)に出資している一方で、テンセントは永輝超市を小売事業の中核に据えていく姿がぼんやりとですが見えてきています。
なお、永輝超市は昨年12月に、成都市地盤のコンビニエンスストアで、西南地域を中心に物流網を展開する成都紅旗連鎖(002697)に12.00%と9.00%の2度の出資を経て、トータル21.00%出資。
さらにはテンセントが主導する仏カルフールの事業との統合なども協議しているとされ、まさにテンセント主導のニューリテールビジネスの囲い込みが行われてきている状況となっています。
さて、こんな感じでやってきたここ1年のニューリテール(新小売)各社なのですが、現実問題、これら企業は儲かっているのでしょうか?
とりあえず、永輝超市(Yonghui Superstores)の直近の決算を見てみましょう。
こちらは永輝超市の2018年度中間期決算の業績ですが、売上高は21.47%増えている一方で、純利益は11.54%減少となっています。
これは、おもに経費が増大していることが影響しているようです。
营业收入 営業収入
营业成本 営業費用
销售费用 販売費用
管理费用 管理費用
财务费用 財務費用
经营活动产生的现金流量净额 営業キャッシュフロー
投资活动产生的现金流量净额 投資キャッシュフロー
筹资活动产生的现金流量净额 財務キャッシュフロー
とりあえず、営業費用以下、費用が増えています。
中国のPLの読み方がいまいち慣れていない部分がありますが、これらが永輝超市の上期決算の費用増大につながっている部分が大きそうです。
(確実に読み取れているわけではありませんので間違っている可能性があります。)
ただ、永輝超市の決算書のこちらをみると
零售业=小売
服务业=サービス
营业收入 営業収入
营业成本 営業費用
毛利率 粗利益率
ぶっちゃけこれ、胡散臭くないですか?
サービス業が利益率88.85%ってありえます?
情報化投資で営業費用が前年比8.53%減ってのもちょっと眉唾すぎる。
どうも信用できないわけですが、ただひとつ、ここで気になるのは
服装
の項目です。
対前年比で営業収入が12.29%下落しています。
営業費用も12.38%下がって営業利益率が0.07%改善・・・と書いていますが、当然ここらへんは本気で信用してはいません。
とりあえず、中国でも
「スーパーで売っているような服は売れなくなってきている」
という事実がここからみえるんじゃないかと思います。
なお、最初の方でも書きましたが、永輝超市は小売企業や農水産品の生産企業の株式を買い集めており、巨大な小売企業系列を作ろうとしています。
永輝超市が投資した先は、中百集团、红旗连锁、国联水产、星源农牧となっています。
ここらへんはウォルマートやテスコ、日本のイオンなどの戦略とおなじと思われます。
上流部分から下流まですべてを一貫管理することで利益率を高めようという戦略です。
現在の永輝超市の決算はこの費用の部分がやや先行気味となっている・・・ようにみえます。
とりあえず、永輝超市の株価についてもチェックしておきましょう。
永輝超市はコード:601933で上海市場に上場しています。
みごとに山を作っていますね。これは当分底這いを続けそうな感じに、自分にはみえます。
とりあえず、だらだらとみてきましたが、永輝超市の動向がテンセントの小売り事業の動向と密接なことは間違いありません。
テンセントへの投資を検討中の方は、永輝超市もチェックしておくことをお勧めしたいます。
なお、上記はあくまでも中卒くん個人の見解であり、特定の投資スタンスをおすすめするものではありません。投資に当たっては自己責任でお願いいたします。