カリフォルニア州マウンテンビューにて、国道101号線を走っていたテスラモーター(TSLA)のModel Xが中央分離帯に衝突し、車体前方半分を焼損する大事故を発生させました。
この事故は先週23日に発生したものなのですが、その被害状況の重大性からNTSB(国家運輸安全委員会)が調査に乗り出すことになりました。
なお、2016年5月のテスラ車事故の時にもNTSBは調査をしていますが、一般的にはNTSBは航空機事故や船舶、鉄道事故など大きな事故を扱う組織であり、NTSBが一般車の事故を調査するということ自体が重大な意味を持ちます。(ふつうはNHTSA米道路交通安全局の守備範囲です)
とりあえずこの事故の様子、Twitterにもいろいろ載っているんですが・・・
https://twitter.com/DeanCSmith/status/977286282991755264
テスラ「モデル X」車体前半が無くなるほど激しく破損・炎上する大事故。運転手死亡、Autopilot使用は不明 (AutoBlog)
凄まじい。。。
リチウムイオン電池の恐ろしさがよくわかります。圧倒的な熱量で全部消し飛びました。
これを受けて、テスラモーター株(TSLA)が大幅に下落しています。
事故発生は23日ですが、何時に発生した事故なのかはわかりません。23日のうちに相場の材料として認識していた関係者がどれだけいたかは不明です。翌営業日の26日から、一部の人々がショートで入り始めているのがわかります。
ところで、テスラに電池を納入しているのは日本のパナソニック(Panasonic 6752.T)です。ネバダ州にあるギガファクトリーという工場でリチウムイオンバッテリーを生産して納入しているそうです。(正極材は住友金属鉱山です)
テスラ ギガファクトリー | テスラジャパン – Tesla
とりあえず、パナソニックの株価推移もみてみましょう。
米国時間23日の事故なので、日本市場で材料視されるとするなら26日からなのですが、翌27日には大きく上昇。翌々日28日になって大きく下げるかと思いきや、権利落ち分を考慮すると実は26日を上回った水準です。
んー・・・
弱くね?
Aのトレンドライン重たすぎ。
A’のトレンドライン弱すぎ。
ボリュームゾーン分厚すぎ。
きほん、戻りを売りたくなるチャートですね。
この一件が自動運転のみならずリチウムイオン電池への信頼感にも影響するようですと、世界的に電気自動車の販売に水を差すことになりかねません。
今回の件は映像がとてもショッキングです。
ガソリン車ならばここまでならないよな・・・と多くの人が感じると思います。
このことがEVシフトを遅らせる可能性があります。
電池事業へのエクスポージャーの大きいパナソニックにとっては死活問題です。
協業先のテスラはModel3の生産が滞っており、資金繰りが非常に厳しい状態です。
テスラ、刻々と迫る「運命の時」 (WSJ)
日本時間3時30分現在、TSLAは前日比8.5%ほど下げています。
最近はFBにしてもそうですが、社歴の短いイケイケな企業が大幅に売られることが増えてきています。潮目の変化を感じます。
(なお上記はあくまでも中卒くん個人の見解であり、スタンスを勧めるものではありません。投資は自己判断、自己責任でおねがい致します。)
ここから下は単なる趣味
リチウム電池の危なっかしさを中学理科で習った範囲で考えてみよう!ってコーナー(笑)
さぁいってみよう!
現行のテスラに導入されているバッテリーはPanasonicの18650バッテリー(PC用を流用?)のようなので・・・
テスラ:ギガファクトリーの新型バッテリーは「2170」(EVjournal)
18650の電池ですから重さは約45~49gぐらい。とりあえず50グラムとして計算。
250Wh/kgなので、一本あたりは12.5Wh
12.5Wh × 3.60KJ/Wh =45KJ
C=mc (cは比熱 バッテリーに使われている材料が鉄より若干高い比熱として考えて0.5と仮定してみる)
Q=mcΔTだから
45000/ ΔT = 50 × 0.5
ΔT = 1800
つまり、完全に暴走状態に入れば1800度くらいは優に上がるということ。(たぶんもっとあがる。2100度くらい?)
この温度だと鉄(1539度)やアルミなら融ける。モリブデンなど添加されていれば別だけど、コスト面からそれは考えにくい。とりあえずリチウム電池がガソリンより怖いのは、この温度の上がり方がえげつないこと。
個人的には、現在のEVは過渡期すぎると考えています。それは利便性の面だけでなく、安全性の面から考えても、です。
以上。
by中卒くん