【統計】中国の2018年9月鉱工業生産指数
中国の2018年9月の鉱工業生産指数の伸びは前年比5.8%
前月6.1%に比べて鈍化しています。
ここもとずっと前年比伸び率が6%台をキープしていたので、ここ5%入りするのは明らかな変調といえます。
先月は前年比6.1%上昇となりましたが、
「ただし、好調なように見える2018年8月の鉱工業生産、その中身をみると印象は変わる」
と前月の記事に書いた通り、やはり悪い予感が的中してしまいました。
前月記事:中国2018年8月鉱工業生産指数
個別にみていきましょう。
鉱工業生産の中心となる製造業が急速に鈍化しています。
企業タイプでいうと、国有、外資、合弁、どれも軟調に転じています。
産業別にみると、農業、食品加工、食品製造、医薬品、ゴム・プラスチック一般機械、特殊機械、自動車製造、電気機械器具、通信機器など幅広く減速しています。
特にここで注目すべきは自動車製造業の前年同月比0.7%増という数字でしょう。
前月8月分も1.9%増と減速感が強まっていましたが、これがさらに一段と深刻化したのがわかります。
中国国内で自動車が売れておらず、製造にしわ寄せがきています。
自動車産業は裾野が広いですから、今後広範囲に影響してくることが予想されます。
なお、今月は鉄、非鉄金属などの圧延加工など全般に強い数字が並んでいますが、これは今冬に大きな環境規制が導入される可能性を見越したものになっていると思われます。
中国政府はインフラ投資を積極化するとのことですから、基礎的な素材には生産増圧力がかかっていますが、自動車など最終消費者向けのところは、中国人民の懐具合が悪化していることから、販売低迷が深刻化しそうな感じです。
製品別の生産状況もみておきましょう。
ここで注目すべきは、やはり自動車。
乗用車が8.6%減、SUVが13.0%減となっています。
いっぽうで新エネルギー車(NEV)は前年同月比50.0%増と絶好調をキープしています。
中国は来年から強烈な環境規制が入ります。
ガソリン車9台につきNEVを1台売る必要が出てきます。
各社、NEVの生産を拡大させています。
製品別にみた他の製品では、スマホが前年同月比3.9%減と減少に転じていますが、これは年始からさほど強い動きでもなかったため、ある程度予想の範囲内でしょう。
むしろ、産業用ロボット16.4%のほうが酷い。
これは年始にはかなり強気の予想をたてていた企業が多かったはず。
年後半に入って大きく下落しています。
とりあえず、製品販売率も輸出量も悪くありません。
どうやら、関税発効前の駆け込み需要もかなりあったように感じます。
今後はこの関税前の駆け込みが年末頃まで続くでしょうが、そのあとは問題になります。
状況は困難な方向に向かっているように見えます。
以上。