以下は単なるコラムであり、読んでもたぶんカネに直結しません。
ニュースまとめに書ききれない長文をこちらに書いています。
読むのがだるい人は読み飛ばした方が良いです。
あまり役に立たないと思います。
中国共産党、北戴河会議が始まる。王滬寧政治局常務委員の姿が見えず憶測を呼ぶ展開
中国共産党の夏の恒例イベント、北戴河(ほくたいが)会議が始まったようです。
この重大イベントに王滬寧政治局常務委員の姿がみえないとのことで、さまざまな憶測を呼んでいるようです。
とりあえず、筋を追ってみていきましょう
北戴河とは?
北戴河とは、中国河北省秦皇島市北戴河区のこと。
渤海湾のビーチリゾートとして中国では非常に有名で、北京から近いこともあり(といっても300キロ程度離れていますが)、人気の観光地なんだそうです。
Googleマップでパノラマ写真をみてみるとわかりますが、庶民からそこそこカネモな感じの人たちまで思い思いに遊んでいます。楽しそうです。
この北戴河、清代光緒帝の時代から避暑を求める外国人に人気で、瀟洒な洋館などが建設されてきたのだとか。そんなわけでGoogleマップでみると赤茶色に統一した屋根の建物と、余裕のある間取り、庭木の多い美しい別荘が並ぶ地域となっています。
なお共産党時代にはこれらは没収され、政府幹部や模範的労働者のための保養所として利用されたのだとか。要するにソ連における避寒地ソチみたいなものでしょうか。北戴河は避寒地ではなく避暑地ですが、共産党政府が幹部保養地として開発というのは似ていますね。
ちなみに、秦皇島市というと個人的には中国の石炭中継港のイメージが強いんです。自分が学生だった頃には世界最大と言われていました。たぶん今でもそう。そんな石炭積出港のある秦皇島市に、かたや清代からの瀟洒な洋館があるというのが面白いですね。
北戴河会議とは?
で、その北戴河で年に一回行われる、共産党のお偉いさんたちが集まる会議が北戴河会議です。
夏の暑い時期に共産党のお偉いさんたちが避暑のために北戴河にやってくる、どうせ集まっているんだから会議しようよってことで始まったようです。
かれこれ1953年から開始されたものだそうで、過去には金門島砲撃や人民公社の設立などもここで決められたのだそうです。(中国で起こっている「反習近平」の真相 ニッポン放送)
で、そんなとても大事なことを実質的に決められてきたとされる北戴河会議ですが、実際のところは非常に厚いベールに隠されていて、何が話し合われているのかはほとんど見えないのが常です。
ただ、秋からの政策の要点はすでにこの北戴河会議でほぼ決定されているとされるため、多くの中国政治ウォッチャーはこの会議に非常に注目している、そんなイベントとなっています。
とりあえず、誰が出席したのか、誰が出席しなかったのかくらいはわかりますので、そこら辺の出席者情報と前後のできごとを踏まえて、皆が憶測を働かせながら予想している・・・というのが現実のところだと思います。
毎年この時期になると、ほんとありえないような噂話が跋扈します。その多くは一年後には忘れ去られるような。
でも今年の噂話は、ちょっと現実味があるかな?ということで取り上げてみました。
とりあえず、続けましょう。
北戴河会議は共産党国家主席・首相OBから現職政治局常務委員への叱咤の場?
一応、毎年決まって出席する人たちは決まっているんです。
それは、かつて共産党政治局常務委員のトップ・・・つまり国家主席・党総書記、国務院総理のOBクラスの面々たちです。
いわゆる長老たちです。中国は長幼の序の国ですから、長老たちの言うことには従わないと、という感覚のようです。
もうひとつは、現職の中央政治局常務委員たちです。もちろん全員出席するわけではありません。そんなことしたらリスク管理上問題ですから。
(中央政治局常務委員は実質的な中国共産党のトップです。現在、習近平、李克強、栗戦書、汪洋、王滬寧、趙楽際、韓正の6人となっていますが、過去にはもっと多い時もありました。)
だから全員出席しないのは当然なのですが・・・今年はとても大事な、たぶん呼び出し喰らうだろうと思われていた人が消えている、そこが噂話に火をつけています。
それが王滬寧中央政治局常務委員です。
王滬寧中央政治局常務委員とは?
王滬寧(おう こねい/ワン フーニン/Wang Huning)という人物が、目下、非常に注目されています。
王滬寧中央政治局常務委員に関する詳しい経歴はWikipediaに譲るとして、とてもとても優秀な方らしく「中南海随一の知恵袋」と呼ばれているくらいの方なのだそう。
また、江沢民、胡錦涛、習近平国家主席の理論面からの立役者とされ、「三朝帝師」とも呼ばれるのだそう。
Wikipediaによると、
「中国の近代化には強人(ストロングマン)による開発独裁が必要と主張する新権威主義と呼ばれる一派の論客として活躍し」
とあるとおり、王滬寧は非常に強いリーダーシップをトップに求める人として、習近平国家主席の、(ともすれば神格化、皇帝化ともいわれるほどの)権力集中体制を生み出した張本人である、と方々から指摘されている人物なわけです。
2017年10月の中国共産党第十九回全国代表大会(十九大/十九回党大会)では、「(習近平国家主席による)中華民族の偉大な復興、中国の夢の実現」が党規約に盛り込まれることになりましたが、これを後押ししたのも王滬寧である、と言われています。
で、このことが中国と米国の関係悪化に繋がったのではないか?という見方があるわけです。
中国としては、自国民を奮い立たせるためにエイエイオーと勝鬨をあげただけだったのでしょうが、そのことがアメリカの不信感を買ってしまいました。もしかして、アメリカを超大国の座から追い落とすつもりなんじゃないのか?と警戒感を呼び起こしてしまいました。
いま起きていることは、この十九回党大会での決定のせいなのではないか。中国はもっと伏して時を待つべきだったのではないか。現状の運営は上手くいっていないのではないか?王滬寧が図に乗ってアレコレやらかしたせいで、米中の関係はゴチャゴチャになった。習近平一強体制にして、三期目も許すなんて冗談じゃない。
そんな声がOBたちから上がっている・・・と噂されていたわけです。
ですから、数か月前から王滬寧常務委員の動静は注目を浴びてきました。
ここにきて北戴河会議に王滬寧が出席していないことで、この噂がますます広がっています。
「王滬寧をスケープゴートにしてひとまず習近平は逃げ切るつもりなんじゃないか?」
という噂です。
中国は、国内が一枚岩に纏まっていないのではないか?との疑念です。
習近平国家主席の力にも陰りが出てくるのではないか。
三期目はないんじゃないか?という懸念です。
もしこれが本格的に市場に波及するようですと、習近平指導部の力で押し上げられてきた企業群は危険に晒されることになります。
どの企業が習近平指導部の力で押し上げられてきたかわからない?
簡単です。習近平時代に何十倍にも時価総額を増やした企業はどこも、何らかの形で現政権との繋がりを得てビジネスをしています。間違いありません。中国は人治の国ですから。
たとえ習近平との繋がりが噂されていないような企業でも、突然大きくなったような企業はどこも繋がりを疑った方がいいです。
たとえばそれは、テンセントでありCATLなどもそうです。
逆に、この習近平時代に株価を押し下げられたのが、中国石油天然気(CNPC)傘下のペトロチャイナなどエネルギー各社です。また、電力閥、石炭閥、鉄道閥などにも厳しい目が向けられました。汚職摘発で多くの死人が出ました。これらは習近平の重しがなくなれば、だいぶ自由にいろいろ商売ができると思います。
とりあえず、今後の権力の転換が一気におきるわけではありませんが、今後の流れをみるためには、今は非常に大事なタイミングに近づいていると思います。注目が必要です。
以上。