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MLCC(セラコン)用薄膜シート成形機大手ヒラノテクシード

MLCC(セラコン/積層セラミックコンデンサ)のもとになるセラミックグリーンシート製造用機械をつくるヒラノテクシード

 

MLCC(積層セラミックコンデンサ/セラコン)が世界的に足りない状態になっています。

その理由とされるのが、自動車の電装化の進展と、EVの普及といわれています。

また、産業機械の電気化も要因の一つと言われています。

たとえば、フォークリフトやプレス機なども最近は油圧から電気制御になっています。

 

 

で、これら大型の機械を制御するには、大きな電圧、電流に耐える構造が必要です。

いままではスマホ向け、通信機器向けなど向けにMLCCを作ればよかったので、低電圧、小型化を主眼に置いて開発してくればよかったのですが、この今までのやりかたが覆されています。

大型化、安定化が必要な局面に入っています。

大型化が必要ですから、それだけ材料と前工程の作業が増えています。

これが、世界的なセラコン不足に繋がっていると言われています。

(じっさい、某社のコンバータなど地味な商品に納期一年半待ちなどの表示が増えています。末端までいきわたっていないのは明らかです。)

 

 

で、この前工程を担う会社に、ヒラノテクシードという会社があります。

どういったことをしているのかというと、積層セラミックコンデンサー(MLCC)のもとになるセラミックグリーンシートを作る機械を作っています。

積層セラミックコンデンサ(MLCC)の材料となるセラミックパウダーに、接合材(バインダー/多くは製造途中で揮発する)を混ぜ、泥状のスラリーにしたものをシート状に成型、乾燥させるのが、ヒラクテクシードのつくる薄膜シート成形機です。

ヒラノテクシード93期中間決算株主通信P4

 

Hirano Tecseed会社資料

 

 

ここの前期通期決算資料をみると、受注高がエゲツナイことになっているのがわかります。

MLCC用グリーンシート薄膜シート成型機は同社の塗工機関連機器部門に分類されているようですが、この受注高、受注残高が急激に上昇中なのです。

訂正!薄膜シート成形機は化工機関連機器部門では?との指摘をいただきました。ありがとうございます。化工機関連機器部門は以下のとおりの受注状況になっています。

 

こちらもまた凄いですね・・・

肘さん指摘ありがとうございます。このブログは皆さんの指摘とアドバイスで成り立っております。間違っているところがありましたら今後もよろしくお願いいたします!

 

 

 

 

しかし、売上高のところをみてください。売上高は全然伸びていません。というより、前年より減っています。需要は伸びているけれど、生産は伸びていない。つまり、MLCCを作るための機械を作るための余力がないということ。

これには、機械を作るための部品が足りないことが影響しているということです。

ちょうど工作機械に使うリニアガイドが足りなくて(ほぼほぼTHKが供給。そしてハイウィンも参入)、工作機械の供給が頭打ちになったのと同様に、セラコン用の薄膜シート成型機に使うナニカの部品が足りていないのだと思います。

この部品が何か、までは自分は勉強不足でわかりません。ヒーターかな?という気がしますが、根拠は薄いです。とりあえず、足りていないことだけは確かです。(この業界に詳しい方、もしご存知でしたら教えていただければ幸いです・・・)

で、現在の受注残高は上図によると180億円とのことです。また生産能力が90億程度なのもわかります。つまり、ざっくばらんにいうと、いま注文しても薄膜シート成形機は二年後になるまで手に入らない、、、ということです。もちろん、塗工機部門は他の機械も含めているので全部が全部MLCC向けの製造機械なわけではありませんが、大雑把に言って、MLCCの前工程はそのくらい大変なことになっている・・・ということなのだと思います。

大手セラコンメーカーが増産を大きく打ち出せない理由は、薄膜シート成形機の逼迫によるものではないか?

と個人的にはみています。

 

このセラコン不足は長く続くと思います。

いまのところ、大手メーカーであればモノはある感じです。彼らは在庫をたっぷり保管しています。

しかし、最近の話を聞くと、なかにはセラコン不足で商品を供給できなくなる中堅メーカーも出てくるかもしれません。特にAV機器関連かな・・・万年資金不足に悩んでいる某オーディオ系のところからは悲鳴が聞こえてきてます。

また、大手メーカーでも特別に売れ行きが良いものなどは、増産がしにくくなるかもしれません。現状はそんな感じだと思います。

 

 

個人的には、すなおに某電子部品株を買っています。今日も買いました。

ヒラノテクシードは買っていません。買おうかなと思ったのですが、ここで取り上げる以上、先回りして買うのは自分の美意識に反する行為なのでやめました(笑)

これを書いている間に、前場で随分と上昇したみたいです。

某電子部品株の方は大きな企業ですから買ってから語ることもいいですが、小さい銘柄は、買ってから語るのはあまり好きになれません。そういうことをする人たちもいますが(某狼女など)、俺はそういう人たちは嫌いです。ほんとみみっちい(笑)…そこまで堕ちたくありませんね。

とりあえず、ヒラノテクシードの株価チャートもみてみましょう。

 

チャート的には煮詰まっている感じですね。

信用需給的にはあまりよろしくありません。売上も上記の理由から頭打ち傾向にあります。受注残高は大きいですけどね、作れないんですよね。

個人的には、この規模の小さい銘柄は気が向いたら触る感じです。

とりあえず、セラコン周辺にはこんな銘柄もありますよってことで、紹介記事書きました。そのうち、材料分野についても書いていこうと思います。以上です。

 

関連記事は以下になります。よろしければ。

 

積層セラミックコンデンサ(MLCC)需給逼迫 ~Yageo、村田製作所、太陽誘電の株価上昇~

 

 

電子部品大手 太陽誘電 2018年3月期決算短評 ~コンデンサ頼みの一本足経営に回帰~

 

 

なお、上記記事は2018年7月9日午前に書きました。ここに書かれている内容は、その時点で把握できる範囲の数字で書かれています。また、上記はあくまでも中卒くんの個人的見解であり、特定の投資スタンスをおすすめするものではありません。投資に当たっては自己責任でお願いいたします。