日本ケミコンの業績と株価
今回は、アルミ電解コンデンサ大手の日本ケミコンの業績と株価についてみていきます。
まずは日本ケミコンについて会社説明しましょう。
日本ケミコンとは?
日本ケミコンとは導電性高分子アルミ電解コンデンサ(ハイブリッドコンデンサ)などケミカルコンデンサ大手のメーカーです。
日本ケミコンの沿革~佐藤電機工業所~日本ケミカルコンデンサ
日本ケミコンは、1931年に設立された佐藤電機工業所を源流としています。
その後1963年に日本ケミカルコンデンサ株式会社に社名変更。
1970年に東証二部に上場しました。
日本ケミコンの価格カルテル(独占禁止法違反)
日本ケミコンは電解コンデンサの価格カルテルと談合行為を行ったため、欧州や米国など各国政府から反トラスト法違反で多額の罰金を科されました。
またその後、民事訴訟(集団訴訟)にも発展しており、こちらの方はすべての解決までには時間がかかるものと思われます。
日本ケミコンの導電性高分子コンデンサ(ハイブリッドコンデンサ)
日本ケミコンは、大容量でありつつ温度特性問題の低減や高信頼性の確保をすすめた導電性高分子ハイブリッドコンデンサというケミカルコンデンサを作っています。
導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ(ハイブリッドコンデンサ)を巡るこれまでの経緯と今後の展開
この導電性高分子ハイブリッドコンデンサが、EV化や48Vマイルドハイブリッド化などの自動車産業の変化によって需要拡大。
あわせて産機向けなども伸びたことで、日本ケミコンの業績押し上げに一役買いました。
日本ケミコンの業績リスク1~集団訴訟の行方
日本ケミコンの業績リスクのひとつとして挙げねばならないのは、価格カルテルに伴う集団訴訟(クラスアクション)の行方についてです。
各国政府からの罰金についてはほぼほぼ確定されましたが、まだ民事訴訟の方が残っています。
この損害賠償額は算定が難しく、日本ケミコンの財務に影響を及ぼす可能性もあります。
日本ケミコンの業績リスク2~産機向け需要の急減
日本ケミコンの業績リスク2番目は、産機向け需要などの急減です。
設備投資循環が一巡しつつあり、これが同社の営業利益を押し下げる可能性が出ています。
日本ケミコンの業績リスク3~技術革新
ケミカルコンデンサは何度も改良を進めてきました。
温度特性や耐熱問題、液漏れなどに関しては過去に比べて格段に改善されたと思います。
ただ、いまだにどうしても克服できない問題があるように個人的には感じます。
その一つが低背化や耐震性の実現です。
ハイブリッドコンデンサでもこの問題は完全には解決できていません。
その一方で、セラミックコンデンサの分野は静電容量を増しながら、ケミカルコンデンサの使われてきた部分にも進出してきています。
現在は棲み分けがしっかりできていますが、将来的にはこれらは競合関係に陥る可能性があります。
日本ケミコンの業績~分野別売上高
こちらは日本ケミコンの業績についてセグメント別にわけてみたものです。
車載市場の伸びが顕著にみえます。
また、産機向けが多くなっていますが、問題はここが縮小する可能性があることです。
日本ケミコンの業績~地域別売上高
日本ケミコンの地域別売り上げをみると、日本の比率は世界の1/4以下だということがわかります。
ほとんどが中国市場向けですが、頭打ちの傾向にあるかもしれません。
欧州は48Vマイルドハイブリッド化の流れが加速してきているように見えます。
日本ケミコンの業績
ここからは日本ケミコンの業績について、会社側資料などをもとに書いていきます。
(この記事は2018年11月6日早朝に書きました)
日本ケミコンの2019年3月期第2四半期決算の業績は、対前年比で売上高が14.4%増、営業利益が19.9%増、経常利益が23.0%増、四半期純利益が赤字、1株当たり四半期純利益は6.65円の赤字
になりました。
赤字はカルテル関連の損失です。
日本ケミコンの業績をみると本業はどうやら好調のようですが、ただ、これは下方修正だったりします。
こちらは日本ケミコンの業績下方修正資料です。
会社側事前予測にくらべ、売上高は増えていますが、営業利益は下方修正です。
生産設備の先行導入などがキツかったのかもしれませんが、ちょっと嫌気される要素ではあります。
日本ケミコンの業績をセグメントにみると以下のようになります。
一番注目すべきは、日本ケミコンの本業であるコンデンサにおける利益率の低さです。
ちょっとした事業環境の変化を上にも下にも大きく受けやすい株となります。
日本ケミコンの株価
最後に株価をみておきましょう。
チャートパターン的には下向きにしか思えませんが、バリュエーション面から期待している買いも入っているようにおもいます。
とりあえず、今回は日本ケミコンについてみてきました。
なお、上記はあくまでも中卒くん個人の見解であり、特定の投資スタンスをおすすめするものではありません。投資にあたっては自己責任でされるようおねがいいたします。