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コンゴ民主共和国DRCのコバルト生産~少年兵と鉱山における児童労働

コンゴ民主共和国(DRC)におけるコバルト生産についてまとめ~少年兵、児童労働問題により欧米資本が消えるなか、中国の存在感が台頭~

 

今回はコンゴ民主共和国(DRC)におけるコバルト生産についてみていきます。

 

 

近年、コンゴ民主共和国では治安が急激に悪化しています。

この背景には、コンゴ民主共和国DRCと隣国ルワンダとの紛争が関係しているといわれています。

また、コンゴ民主共和国DRCのジョゼフ・カビラ大統領の推し進める中央集権化が、地域の実情に合っていないという一面もありそうです。(そもそも彼のやっていることは中央集権化というより、私物化にも近いものがありそうですが)

コンゴ・カビラ大統領とルワンダの利権 —-コンゴ中央部、国連とムクウェゲ医師の「忘れられた危機」 Newsweek

 

 

個人的な意見を言わせてもらいますと、

もともとアフリカはちいさな部族が地域ごとにまとまって住んでいるようなところですし、つよい中央集権化は向いていないように思います。

というよりも、国というものを作ることすら難しいかもしれない・・・ある意味ヨーロッパの中世以前、ブルグント族とか西ゴート族とかヴァンダル族なんかが跋扈していたころの、あの時代くらいがアフリカだと思います。

もっというと、それよりもさらに昔かもしれない。

それを欧米が勝手に国に仕立て上げて、おまえら顔と皮膚の色の濃さが似ているから民族的に同じなんだから国をつくれ、とやったのが今の問題の根源にある、と個人的には思います。。。

 

 

でまぁ、混乱状態のコンゴ民主共和国です。

暴力という名の虐殺があたりまえに横行していると言います。

こうした状況もあり欧米系資本はESG投資、サステナブル投資、クリーン調達の観点からコンゴ民主共和国への投資を尻込みして撤退しつつあります。

たとえばこうした第三国ではどうしても賄賂などが必要になってきますが、それを咎められてスイスのグレンコアは英国の捜査対象になってしまっています。

Glencore Said to Face U.K. Bribery Probe Over Congo Dealings (2)

 

 

そうした間隙をついて拡大してきているのが、中国からの投資です。

コンゴ民主共和国はかつてザイールといわれていた国です。

30代から上の人ならピンとくるでしょう。

かつて銅を大量に輸出していたザイールです。

いまでも、地下資源を大量に埋蔵しています。

特に中国は、コンゴ民主共和国のコバルトに着目したようです。

 

 

 

コンゴ民主共和国のコバルト生産を巡っては人権問題などでもいろいろと厄介なことになっています。

10年くらい前に、レオナルド・ディカプリオ主演のブラッドダイヤモンドという映画がありましたが、あれのコバルトバージョンです。

これに関しては、アムネスティインターナショナルのファイルが非常によくまとまっています。

HUMAN RIGHTS ABUSES IN THE DEMOCRATIC REPUBLIC OF THE CONGO POWER THE GLOBAL TRADE IN COBALT

コンゴでは少年兵を使っての殺人、採掘などが横行しているとのことです。

なお、このファイルが纏められたのは2016年であり、、この時点ではAppleなど欧米の企業も、この血塗られたコバルトを利用していたことがわかります。※上記ファイルの55ページ目参照

 

なお、この55ページめの表で、サプライチェーンの最上位に位置づけられている

剛果東方国際鉱業(コンゴ国際鉱業/CDM)の親会社は、中国の浙江華友鈷業(ジャージャン・ファーヨウ・コバルト/ Zhejiang Huayou Cobalt/浙江華友コバルト)

という中国の会社です。

中国はこの浙江華友鈷業を中心に、国家ぐるみでコバルト利権を集めています。

 

また中国企業はこの浙江華友鈷業の他にも、CITIC Metal(中信金属)がアイバンホー・マインズ(Ivanhoe Mines)の19.9%株式を取得。

華友鈷業(Zhejiang Huayou Cobalt)は南東Kolwezi近くで銅鉱山を開発中であり、

チャイナモリブデン(CMOC)はコンゴ民主共和国最大の銅・コバルト鉱山であるTenke Fungurumeをフリーポートマクモラン(Freeport-McMoRan)から買収ました。

関連:18/6/12午前 中信金属、華友鈷業、格林美、チャイナモリブデン、中国五鉱集団、紫金鉱業がコンゴ民主共和国で鉱山開発

 

関連:阪和興業、格林美(GEM)、青山控股集団、寧徳時代新能源科技(CATL)、IMIPなどとスラウェシ島でニッケル、コバルトなど電池材料大量生産へ

 

 

なお、人権問題が深刻化するなか、欧米諸国の企業などのなかにはこの地域からのコバルトの調達に慎重になる企業も出てきています・・・が、中国はおかまいなしで調達を拡大しています。

アムネスティインターナショナルは2017年にも追跡リポートを出していますが、その内容はなんとも清々しいものになっています。

CORPORATE ACTION AND INACTION TO TACKLE ABUSES IN
THE COBALT SUPPLY CHAIN

この資料の78ページめには各社のコンゴ民主共和国産コバルトへの取り組みが書かれていますが、Appleやサムスンがそれなりに努力をして人権への配慮をしている一方、中国企業は軒並みゼロ点。

もちろん、アムネスティインターナショナルという組織のバイアスなどもあるとは思いますが、それにしても清々しいほどに中国企業にはゼロ点が並びます。

 

 

欧米諸国がESGだとかサステナブルだとかクリーンだとか言っている間に、中国は欧米諸国が二の足を踏む対象にガッツリ入り込んでいき、シェアを奪う・・・

それはつまり、ミャンマーやカンボジア、ラオスなどで行われていることと同じです。

そういったやり方で、コンゴ民主共和国の権益を中国は握りに行っています。

 

 

 

中国では2019年からNEV規制が始まります。

これはカリフォルニア州のZEV規制を倣ったもので、ようするに、ガソリン車を売るなら、それに比例してEVやプラグインハイブリッドなども販売しろよ、というものです。

これは、中国政府によるEV産業育成と環境保護政策によるものですが、これを推進するためになりふり構わず、外国の人権なんて無視して投資を拡大しています。

 

 

この中国のやり方は欧米企業にとって脅威です。

欧米諸国の企業は、わざわざESGだとかいう箍を自分にはめ込んで経営しています。

その一方で中国企業はフリーハンドで経営しているのですから、競争になるはずがありません。

 

 

いま欧米は、中国企業に対して知的財産権保護などの注文をつけています。

もちろんそれらも重要ですが、しかしそれと同時に、人権に関してもしっかりと守らせるようにしなければ、競争環境の公正さは保てないと思います。

中国企業は、最近になってようやく環境意識を高めてきました。

今後は、人権意識に関しても欧米と同等の改革が求められてきます。

中国が真の覇権国家を目指すのであれば、それは決して避けることのできない道であることは、疑いようもありません。

以上です。