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中国のワクチン大手 長春長生生物科技(長生バイオ/長生生物)に狂犬病ワクチンデータ捏造発覚

中国ワクチン業界大手 長春長生生物科技 (長生バイオ/元:連雲港黄海機械股分有限公司)にワクチンデータ捏造発覚。他社はどうだろう?

 

今月中旬、東北部吉林省の大手ワクチン企業、長春長生生物科技(長春長生/長生生物/チャンション・バイオ・テクノロジー)が狂犬病ワクチンのデータを捏造していたことが発覚。その後の調査で三種混合ワクチンのデータも改竄していたことが発覚しました。

中国はつい最近までいわゆる「一人っ子政策」を実施してきました。

たった一人しか育てられませんから、親はとても子供を大切にします。

介護制度や福祉など社会保障がしっかりできていない中国ですから、両親は老後の世話を子供にみてもらうことを前提として子育てしています。

だから小さいうちから英才教育を行うし、健康にも人一倍気を遣う・・・

そんなお国柄ですから、今回の事件は子を持つ親を中心に批判が急激に高まっています。

SNS上ではあっという間に数億件の批判が書き込まれ、中には政府、官僚組織の問題と告発する意見もあるなど、共産党当局としても座視できない状況になっています。また今回の件では、一般的にSNSで政府を批判しない経済界や芸能界の人々にも批判を口にする人が出てくるなど、ちょっと異質な動きになっているそうです。(国際報道2018)

そもそもこの会社、昨年にも三種混合ワクチンの不正出荷で処罰を受けています。今回が初めてではありません。なぜ前回の件がおめこぼしになったのか?

多くの人は、長春長生生物科技が多額の賄賂を官僚に配っていたのではないか?

と考えているようで、中国共産党の支配体制への批判にも繋がりかねない状況です。

これに対して、習近平国家主席は外遊先のアフリカから徹底的な究明を指示(国家主席がじきじきに、しかも外遊先から指示を出すなどということは極めて異例)。

また、李克強首相は「人間の道徳の一線を超えた事件」と論評するなど、人民と同じ目線を持っていることをひたすらアピール。共産党批判につながらないように、相当危機感を持って首脳部が見ている様子がわかります。


ちなみにこの会社、そんなにちっぽけな会社じゃないです。時価総額が239億人民元=4000億円くらいある中堅企業です。それなのにこのようなイカサマを行っているのが中国企業の怖いところです。

ちなみに

まぁ日本でもミドリ十字(現三菱ウェルファーマ)とか化血研とかありましたから中国のこととやかく言えないんですけどね・・・。

とりあえず、今回の件では15人がすでに逮捕されているとのことですから、もうこの会社は永続不可能でしょう。そもそも元は連雲港黄海機械股分有限公司って会社だったんです。名前の通り、たしか石炭鉱山向けの機械メーカーか何かだったはずです。それがいつの間にか裏口上場に利用される形でバイオ銘柄になっていたわけです。

上場当初から、ハコみたいなもんですね。


なおこの会社、日本のジーンテクノサイエンス(東証マザーズ:4584)というバイオ企業とバイオシミラー分野で提携関係にあったようで、急いで同社がプレスリリースを出しています。

当社と共同事業化を進めている長春長生生物科技有限責任公司が中華人民共和国国家食品薬品監督管理局より通告を受けた件に関するお知らせ

長春長生生物科技有限責任公司とのアダリムマブバイオ後続品の製造技術移管の完了及び共同事業化の本格稼働についてのお知らせ

長春長生生物科技有限責任公司とのバイオ後続品(バイオシミラー)の中国市場における事業化に向けた基本合意のお知らせ

 

 


 

思えば、10年くらい前ですが、中国では「メラミン入り粉ミルク事件」などというのもありました。

赤ちゃんが飲むための粉ミルクに化学物質であるメラミンが添加されていたという事件です。

なんでそんなことをわざわざしたのか?といえば、牛乳のタンパク質成分量を誤魔化して嵩上げするため。

たったそれだけのために、乳幼児30万人は腎臓に腎結石ができる障害を負い、しかも6人が死んでしまった・・・そんな事件がありました。

粉ミルクに加工した三鹿集団は業界の常識として酪農家から受け取る牛乳にメラミンが添加されているのはわかっていたはずです。

のちに、一般に流通している蒙牛と伊利などの牛乳からもメラミンが検出されたそうです。

つまり、酪農家を中心にこういった不正な手段が横行していたということ。


今回、長春長生が行ったやり方は、たぶん業界内ではそれなりにメジャーなやり方なのだと思います。

長春長生は市場シェア20~25%ほどの大手ですが、他の会社もやっているのではないか?本格的に政府が調査に乗り出せば、他社もなにかしらホコリが出るのではないか?・・・同業他社の株価をみるかぎり、市場はそういう懸念を示しているようにみえます。

 

なお、長春長生生物科技のホームページは消されていて現在閲覧できないようですので、細かいデータはまたホームページが復旧してから載せます。

とりあえず、北京同仁堂(600085)、広州白雲山医薬(600332)、上海復星医薬(600196)などが中国の大手製薬・バイオ銘柄となります。長生生物科技(002680)の株価とともに、それらのチャートもをみてみましょう。

 

 

長生生物科技

右のほうに点々とついているのはストップ安が7日もつづいているからです。

 

北京同仁堂

 

 

 

広州白雲山医薬

 

 

上海復星医薬

 

とりあえず、今のところは他社にはそれほど波及していない模様。

ただ、今後なにか出てくるかもってところはあるんで、そこは要注意かな、と見ています。以上です。

 


追記:

今回の不正事件を受け、香港でのワクチン接種を望む親が急増しているそうです。

Surge for kids’ vaccines in Hong Kong after China scandal

As China’s vaccine scandal unfolds, anxious parents turn to Hong

香港政府はこの動きを止めるため、香港市民でない人へのワクチン提供を停止する可能性があるとのこと。

今後は日本への旅行で子供にワクチンを接種させたらどうか?などとの意見もあるそうです。これは良い商売になるかもしれません。


China’s Vaccine Scandal: 15 Arrested As Outrage Grows Over …

15 detained in China vaccine scandal

今回の事件に絡み、15人が逮捕されたとのこと。

 

WHO Offers Support in Chinese Vaccine Scandal

WHOが中国に対して支援提供を申し出ているとのこと。

 

 

予想した通り、他社の製品でも同様の不正行為が行われていた模様。

武漢生物科技のワクチンも回収です。

また中国で発生した「不正ワクチン事件」の闇