サブコン建設株の一部に、人手不足の影響がじわり見えてきています。
ここもと発表された一部サブコンの決算に、人手不足の影響が表れ始めています。要注意です。
具体的に見ていきます。
九電工 2019年3月期第1四半期決算
こちらは九州地盤の電気設備工事専業、九電工の決算になります。
売上高は7.8%増と伸びているのですが、人件費の上昇などによって売上総利益の減少を招いており、営業利益は35.1%の減益となりました。
ちなみに、同様の決算は、関東地盤で東京電力系の関電工や、愛知県地盤のトーエネックでも出てきています。売上は伸びているのに営業利益が圧迫されています。これを受け、各社受注を落とし始めてきているようです。
また、関西地盤で関電系のきんでんや、北陸電力管内の北陸電気工業などは、先んじて選別受注をすることで人件費増に対処する動きとなっており、これが今1Q決算に売上と営業利益の減少として顕れてきています。
もちろん、各社の決算の特徴として1Qだけをみて判断するわけにはいきません。基本的に仕様変更などによって利益を上乗せしやすくなるのが建設業の常ですから、通期をみなければ確実なことは言えません。
ただ、建設業の株価がそこそこ好調に推移してきた背景には、人件費の増加はさほど影響を与えない、値上げでカバーできる、というシナリオがあったと思います。外部要因の不透明感を嫌った資金の一部が、これら銘柄に流れこみました。
その動きが、どうも変わりそうな感じがあります。
もし仮に、今後各社が利益を伸ばしていくとするなら、採算のいい案件のみを受注し、しかもその案件が豊富にある・・・という状況でしょうが、どうもそういう環境でもなくなってきているように思います。
民間非住宅建設投資は緩やかに改善をしていますが、さすがにかれこれ8年目ですし、再来年になると10年です。今後はオリンピック需要も落ちます。もちろん、他のプロジェクトも進行中ですから下支えにはなるでしょうが、もう一段、爆発的に需要が膨らむという状況でもないでしょう。
大手建設株はPERでみて一けた台後半ですし、これらの状況を織り込んだ水準にあると思います。問題は、さきほども挙げた電気設備工事などのサブコンの一部銘柄でしょう。EV/EBITDAでみれば割安だけれど、PER面からみて割高に買われている銘柄があります。
こういった銘柄は、業績の大幅上昇が見込めないなか、今まで以上に株主還元を求める圧力が増すと思われます。
今後は、株主還元の実現性(株式保有比率における特定株主比率の低さ)などをもとに、売買が行われる相場を予想します。もしも業況悪化で落ちるようなことがあれば、そういったところに着目したら良いと思います。
以上です。