【統計】タイの2019年1月貿易収支が6年ぶりの大赤字、輸出が年率5.7%落ち込み~東南アジア経済にも米中貿易戦争のかげ
タイの2019年1月貿易収支が急激な落ち込み
ここもと、アジア諸国の貿易統計が発表されていますが、はっきり言ってどこも酷い数字となっています。
今回発表されたタイの貿易収支もまた同じくで、年率5.7%の輸出減、貿易収支は6年ぶりの赤字の大きさとなっています。
Thai Jan exports fall 5.7 pct y/y, a bigger drop than forecast Reuters
Thailand trade deficit biggest in 6 years as exports slide FT
輸出に関していうと、米国への輸出は前年同期比8.3%と好調を持続する一方、中国への輸出が16.7%減と大幅な減少。
輸出の減少は3カ月連続です。
これらの中国向け輸出急減はタイだけでなく日本、韓国、台湾などでもみられていますが、とにかく、ちょっと目を覆うような惨状となっています。
アジア諸国全体で貿易収支が悪化中~中国独り勝ちに
以下は日本のものですが、本当にひどい。
【統計】日本の貿易統計(輸出・輸入・貿易収支)~2019年1月~中国・アジア編
一方で、中国側はそこまでの問題となっていません。
むしろ、輸出の伸びが前年同期比9.1%増となっています。
中国の輸出はかなり好調です。
貿易統計は相手国の統計がありますから、嘘をつけません。
この統計は信用できるはずです。
これを、中国の春節要因として語っている人もいるようですが、個人的には疑問です。
たしかに去年より前にずれていますから、その影響で中国側への輸出が落ちたという面はあるのかもしれません。
でもそれであれば、例年ならばその前に伸びるはずです。
そして、中国からの輸出も減っていないとおかしい。
中国発のデフレ輸出がアジアに波及へ
個人的には、春節要因にするのは違うと思います。
単純に、00年代以降に顕著な中国発のデフレ輸出モードに回帰しただけではないか、そんな風に見ています。
中国によるデフレの輸出が始まった~日本・中国の貿易統計より~
米中貿易戦争の煽りは確実に出てきていますが、それだけでなく、中国の人民元が下がったことと、中国国内の内需で捌けなくなった素材などのアジア向けの流出が増えています。
タイバーツは上昇傾向を示していましたので、人民元安の影響を受けやすくなっています。
これはかなり長期にわたる構造問題になる可能性があり、要注意ではないかと感じています。
日本の銀行はアジア諸国に融資を増やしていますが、産業構造的には中国のおこぼれで生きているような国が多い。
今は欧州や中国の経済が懸念されていますが、もしかするとアジアに飛び火するかもしれないな、と見ています。
以上です。