中国によるデフレの輸出が始まった~日本・中国の貿易統計より~
日本、中国両国の貿易統計が出揃いました
【統計】日本の貿易統計(輸出・輸入・貿易収支)~2019年1月~
【統計】日本の貿易統計(輸出・輸入・貿易収支)~2019年1月~中国・アジア編
これらのうち、とくに中国・日本両国の輸出統計が重要です。
具体的な数字はリンク先を見ていただくとして、ざっくり言ってしまうと
中国からの輸出は絶好調、日本からの輸出は絶不調
というものです。
また、韓国や台湾の1月輸出も悪化しています。
対中輸出、アジア各国で減 米中摩擦長期化で加速も 日本、1月17%減 日経2月21日
中国以外の多くの東アジア諸国が不調に陥る中、中国だけは輸出を伸ばす・・・
人民元は確かに安くなりましたが、それだけではない構造的な要因があるように思います。
これまで、中国の素材、原材料の生産能力の大きさは、中国国内の需要の増加で覆い隠されてきました。
それが、中国の需要減少で一気に表面化してきているようにみえます。
とくに、中国は米中貿易戦争の影響で対米輸出がしにくくなっており、もとからあった輸出能力も対日、対アジアに振り向けられています。
人民元がこの程度の下落で、このレベルの中国からの輸出増加です。
もしこれで人民元が下落したらどうなるか?
米国は、人民元の切り下げをしないように中国に釘を刺したとのことです。
米、中国に人民元安定要請 貿易交渉「覚書」に為替政策盛る 産経 2月21日
しかし、これはあくまでも対ドル相場でのもののよう。
ぶっちゃけ一番日本やアジア各国が気にしなければならないのは、ドル安です。
ドル安がおきれば、人民元はドルと一緒に諸外国通貨に対して下落します。
人民元の対アジア通貨安は、対アジア諸国への輸出急増と、アジア各国の貿易赤字の急増を招くはずです。
もしそうした状況になったなら、日本台湾韓国の素材産業などは多くが息絶えるでしょう。
ニッチ向けの化学メーカーなどはいいでしょうが、汎用化学をやっていたりするところはきついはず。(とくに韓国の財閥系)
逆に、輸入に頼っている百均銘柄、セリアやキャンドゥなどはいいかもしれません。
とりあえず、そういう意識で捉えなおした方がいいと思います。
ドル安が起きた場合への備えは、かなり脆弱ではないかと思われます。
以上。