バリック・ゴールドがニューモント・マイニングへの買収提案を撤回~ニューモントはゴールドコープへの買収を推進へ
バリック・ゴールドとニューモント・マイニングがネバダ州でJV設立へ
産金業界が買収合戦に揺れています。
産金世界最大手バリック・ゴールド(Barrick Gold Corporation)が、世界二位のニューモント・マイニング(Newmont Mining)へ180億ドル相当の買収を提案していた件ですが、これが不調に終わったそうです。
⇒バリック・ゴールドがニューモント・マイニングの買収か?~ゴールド・コープの統合に引き続き大再編へ
代わって、バリック・ゴールドとニューモント・マイニングは両社のネバダ州にある権益を一体経営できるように、さらなるジョイントベンチャーを設立することで合意。
(すでにTurquoise Ridge、Getchellなどでは以前から提携済み)
JVはバリック・ゴールド側が過半数株式を保有するとのことです。
ニューモント・マイニングはゴールドコープを買収で世界トップへ
なお、同時並行的にニューモント・マイニングによるゴールドコープ買収の案件も進んでいます。
⇒【M&A】産金大手ニューモント・マイニングがゴールドコープを1兆円超で買収か~統合すれば世界最大の産金会社へ
今回のバリック・ゴールドによるニューモント・マイニング買収提案は、ニューモント・マイニングによるゴールドコープ買収があまり筋のいいものでなかったことが一つの要因です。
バリック・ゴールドとニューモント・マイニングはネバダ州の鉱山権益が近く、お互いに設備を融通しあうことで生産効率を引き上げられますが
対して、ニューモント・マイニングとゴールドコープでは資産がバラけていてポートフォリオとしての効果はありますが、シナジーはほとんど発揮できない・・・
ニューモント・・・ネバダ、ペルー(ヤナコチャ)を中心に、ガーナ(アハフォ)、オーストラリア(スーパーピット)、メキシコ、インドネシア(バツ・ビシャウ)など
ゴールドコープ・・・メキシコ(エル・サウサル)、カナダ(レッド・レーク)、アルゼンチンなど
しかもエル・サウサルは枯渇気味。
そうした背景から、一部株主はこの合併に反対していました。
とりあえず、今回の買収合戦の背景には、金価格上昇によってCFが安定してきていることが背景にあります。
ここもと、各国の中銀が金を外貨準備のひとつとして購入しており、それによる金価格の先高感が生まれています。
⇒金価格が上昇中~米国債本位制の崩壊とビン・ラディンの影響力~
ここ最近ではニュークレストとインペリアルメタルズとの金鉱山権益の売買の話もありました。
産金業界は潤っており、今後も大きな動きが起きそうです。
以上です。