アジア各国、電気自動車/EVへの助成金、減税措置を拡大へ
ここもと、アジア各国によるEV/電気自動車への助成金、減税措置を巡る報道が増えてきています。
先日は、インド政府がEV助成金として3年間に1000億ルピー(1600億円)を投じる計画を発表。
これは15年に始めた現在の助成金の10倍以上の規模とのことで、かなりのインパクトとなっています。
India Offers $1.4 Billion In Subsidies To Support The Domestic Electric … Forbes
また、本日はインドネシア政府が課税制度の見直しによりEVなど低環境汚染車を優遇する方針を示しています。
Indonesia plans tax changes to drive output, exports of greener cars
EVだけでなくハイブリッド車なども優遇していく方針のようですが、
エンジン排気量や車体重量・サイズ、駆動方式、燃料種類など細かい基準で0~125%の税率を決めている現在の方式を改め
新しい自動車税では、EVが0%、バイオディーゼルが8%、最高税率は70%にする方針だそうです。
この方針で業界団体からヒアリングを行い、2021年からの税制変更を目指しているとのことです。
なお、中国ではNEV規制によって化石燃料車からEVへのシフトを促そうとしています。
中国はここ数年、EVへの補助金を大幅に積み増してきましたが、これが2019年、20年と削減されていく方針です。
代わって、2019年から導入されたのがNEV規制
⇒中国で新エネルギー車規制(NEV規制)の影響が早くも表れる~EV販売が179.7%の急増~
米カリフォルニア州のZEV規制を真似た仕組みで、ようするにガソリンやディーゼルなどの化石燃料で走る車を売りたければ、EVもセットで売りなさいよ、というシステムです。
その割り当てをクリアできなければクレジットを払いなさいと。
こうした仕組みで、既存自動車メーカーはEVのラインナップを揃えなくてはならなくなっています。
既存自動車メーカーとしてはガソリン車が売れれば売れるほど、EVを大量に売らなければならなくなっています。
もしEVを自前で売れなければ、EV専業メーカーにカネを払って「EVを売りました」というクレジット枠を買わなければいけない・・・
中国では、そういうやり方でEVをガンガン売っています。
⇒【統計】2019年2月の中国自動車販売台数~EV好調、商用車に復調の兆しか
⇒【統計】2019年1月の中国自動車販売台数~NEV(新エネルギー車/電気自動車&プラグインHV車の売上急増)
アジアの国々では大気汚染が深刻化、EVを中心にせざるを得ない状況になっています。
以下は大気汚染マップですが、どうでしょう・・・かなりひどくないですか、これ。
ちなみにこれは以下のサイトで紹介したAir Quality Monitoring Stationsというサイトで見られます。
⇒【雑学】Air Quality Monitoring Stations~世界中の大気汚染状況がわかる便利サイト~Worldwide Air Quality
上記の図は休日の日にスクショしたものなんで まだマシです。
平日の昼間などは、本当にひどすぎる。
とりあえず、アジアの新興国は公共交通インフラが充実しておらず、大気汚染が深刻化しています。
こうした国々では、鉄道や地下鉄、EVバスなどを増やすのも必要ですが、同時に自家用車のEV化を推し進めることも重要になっています。
EVの普及を疑問視する人々もいますが、需要は間違いなく根強いものがあると思います。
しかも各国政府による巨額の補助や優遇税制が入ります。
世間では5Gの方が勢いがありますが、個人的にはEV化の進展もまた、重要なテーマになるだろうと思います。
内燃機関を利用したクルマでは技術的にキャッチアップできなくても、EVだったらもしかしたら勝てるんじゃないか?という期待がアジアの新興国にはあります。
(ベトナムのビン・グループなどがEV工場を始めるのはそういう意味があります。)
産業政策としてのEV化、大気汚染対策のEV化など、さまざまな意味からEV化が推し進められています。
まだまだ、このEVの分野は伸びるはずです。
と同時に、旧来型の自動車メーカー、自動車部品メーカーはどんどんオワコン化していきます。
皆が予想もしなかったスピードで廃れる可能性があります。
そうしたことにも注意が必要だと思います。
以上です。
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