【中国】のれんの開示規則を厳格化、毎年度末に厳格に点検するよう中国証券監督管理委員会(CSRC)が指示
中国証券監督管理委員会(CSRC)が「のれん」に関する開示規則を厳格化
中国証券監督管理委員会(CSRC)が、企業買収などによって膨らんだ「のれん」の償却について、毎年度末にきっちり点検して、必要ならば償却するよう指針を出しています。
China investors dump once-acquisitive firms on write-down fears Reuter
「のれん」というのは、買収先のブランド価値みたいなものです。
買収するときに想定していた収益、利益水準を達成できなければ、その達成できないと認識するたびにしっかりと「のれん」を償却しなけばならないのですが、それが今までは中国企業はしっかりされてこなかった。
今後は買収先の収益力の状況変化や、競争環境の変化、マクロ環境の変化などのさまざまなリスクに応じて、適宜のれんの償却が必要かどうか点検して、ちゃんと償却しましょうね・・・と、あたりまえのことを中国証券監督管理委員会(CSRC)はいったわけです。
ところが、中国ではこういう感覚はまだ浸透していない。
とにかく買収しまくればいいじゃないか、買収しまくって大きな会社になったら勝ちだ!
みたいな感覚の経営者が多いんですね。
ちょうど日本の2000年代半ばくらいまでの感覚の経営者が多いんです。(もちろん、全部が全部そんな馬鹿な経営者ばかりではありませんが。)
かくして、中国上場企業のバランスシート上に乗っかった「のれん」は、推計で約1兆4500億元(2088億7000万ドル)にものぼるとのこと!!!
中国証券監督管理委員会(CSRC)に言わせると、今後マクロ環境が悪化するかもやから、ちゃんとしっかり償却しとけよ、ということです。
言ってることは至極まっとうなんですが、タイミングが悪すぎます。
中国株は大きく売られることになってしまいました。
ぶっちゃけた話、
何も今、この状況で「のれんの償却」なんて話をしなくてもいいのにな
と個人的には思います。
中国証券監督管理委員会(CSRC)はのれんが突発的な大きなリスク要因になると思ったのでしょうが、そういった制度変更には常にショックが伴うものです。
そのショックを吸収できるだけのマクロ環境の時に発表するならわかりますが、今の状況でそれを言うあたりが、なかなかに市場を理解していないなぁと感じます。
「のれん」の償却なんて考えずに買い漁った中国IT企業
とりあえず、以前から言ってますように、中国企業(とくにテンセントやアリババなどのイケイケ企業)は、ここ数年、資本効率を無視した放漫な出資が目立っていました。
テンセントのO2Oビジネス展開とコングロマリットディスカウントについて
スタートアップバブル・ユニコーンバブルの崩壊に注意~アリババ、ソフトバンクからみえること~
テンセント、アリババだけでなく、多くのネット系企業や新興企業が同様の問題を抱えています。
こういったところには、今回の中国証券監督管理委員会(CSRC)の方針が、傷口に塩を塗り込むような痛みをもたらすことになります。
とりあえず、今回の発表はじみにボディブローのように効いてくるはずです。
中国は自分たちで自分たちの市場を壊そうとするあたり、マゾなのかもしれませんね。
以上です。