パプアニューギニアが中国製通信設備を採用へ~米政府の意向を無視~
パプアニューギニアがファーウェイ(Huawei/華為技術)の通信設備を正式に採用決定とのことです。
パプアニューギニアは8月、中国輸出入銀行が融資、ファーウェイが敷設するかたちで国内通信インフラの構築を中国主導に任せる決定をしましたが、これに米国政府やオーストラリア政府などが強く抗議。
パプアニューギニアは豪州と米国のあいだに位置しており、海底ケーブルを通った通信データはパプアニューギニアの設備を経由し、豪州に向かうとのこと。
もしパプアニューギニアの通信システムが中国によって構築された場合、重要なデータが駄々洩れする可能性があるとの理由から、米国も豪州も猛烈に抗議していたといわれています。
また、ムチだけでなく110億円規模の資金拠出により海底ケーブルを敷設するなどの提案もしていたとのことです。
こういった米国と豪州の働きかけにより、一時は
「アメリカや豪州の提示したプランにそって中国との関係をやめるのではないか?」
と予想される状況になっていました。
ですが今回、やはりパプアニューギニアは中国側の提案に沿った通信インフラの構築をすることで決定したとのことです。
私見
APEC首脳会議におけるペンス副大統領の態度が悪すぎたと思います。
先日、APEC首脳会議がパプアニューギニアで行われました。
議長国パプアニューギニアは一生懸命、各国の合意を取ろうと奔走しましたが、ペンス副大統領が対中国への強硬路線を示そうとして暴れて、APECで初めて、首脳宣言採択できず・・・となってしまいました。
完全にメンツをつぶされた形になったパプアニューギニア
今回の決定は、アメリカのあまりにも横暴なやり方に対する抗議の姿勢なのではないかと、個人的には感じています。
この件に関して、自分は以下の記事で書いています。
11月19日の記事→ 狂犬の役目をきっちり果たすペンス副大統領~APEC首脳宣言採択できず~
しかし、APECの場を乱したのは果たして得策だったのか?パプアニューギニアは豪州と中国との関係の間で揺れており、非常にどっちつかずの態度をとっています。(パプアニューギニアは第2列島線の中心となる国です)今回の件でパプアニューギニアに恥をかかせたのは、戦略的にあまり得策ではなかったのではないか、と感じます。
まさに今回の件は、その懸念が的中してしまったのではないか、、、と個人的には感じています。
なお、APEC採決ができなかった件に関し、日本では中国側が横暴な姿勢でパプアニューギニア外相に迫ったことが問題だとFNN・産経系列の記事などは指摘していますが、それはかなりバイアスがきつすぎるように思います。
今回の件からもみえますが、新興国の多くは米国と中国を天秤にかけながら様子をみています。
ちょっとでもアメリカが品のない行動をとれば、とたんに中国を利することに繋がります。
米国は、今までのような横暴で下品な外交は許されなくなっています。
たしかに、米国はいまだに経済的には超大国ですが、外交の面では明らかに衰えてきています。
そのことにどれくらいの米国人が気づいているでしょうか。
非常に不安に感じます。
以上です。