ファーウェイショックが市場を襲う~米中首脳会談の当日にCFOを逮捕
ファーウェイショックで日経平均が一時600円を超す急落
2018年12月6日、日経平均が一時600円を超す急落となりました。
また、S&P500先物なども下落しており、中国株も下落、まさに世界同時株安といった展開となっています。
この急落の原因として挙げられているのが、ファーウェイショックです。
ファーウェイショックとは?
ファーウェイショックに関しては以下に纏めてありますが、概略をこちらにも書いておきます。
華為技術(ファーウェイ/Huawei)の孟晩舟CFO(英語名Cathy Meng)、カナダで拘束される~対イラン制裁に違反か?
- 今月1日、カナダのバンクーバーにてファーウェイのCFO孟晩舟(英語名Cathy Meng)が当局に逮捕拘束されたとの情報が流れる
- ファーウェイは世界的な通信機器大手であり、5Gの特許技術を多く保有する5Gの盟主的企業
- 逮捕容疑はイランへの通信機器の売却といわれるが、容疑事実については確かなものは不明
- このカナダ当局の逮捕は米国当局の依頼を受けて行われたものとのこと
- なお、今月1日には米中首脳会談がG20にあわせて行われており、まさにこの当日に孟晩舟CFO(英語名Cathy Meng)の逮捕が行われたことになる。
- 今年春にはZTEが同様に対イラン制裁違反を咎められて米国から制裁を受けており、同様の連想が広がった。
- しかもファーウェイはZTEの3倍以上の規模である。
ファーウェイショックは中国製造2025を潰すための米国の策略?
とりあえず、ファーウェイ(華為技術)という会社は中国の製造業のなかでもトップクラスに有名な企業です。
通信設備の納入額でみれば世界トップ3の1社であり、5G設備に限って言えば現在の納入額ではたぶんダントツの1位でしょう。(エリクソンやノキアはまだまだですので。)
中国は世界の5Gを推進する中心的な国になっており、それの中核的な企業がファーウェイです。
(まず方式的に中国の5Gは他国のものより効率的であり、よりピュアな5G投資を行っているため3年程度の時間的アドバンテージがあります。)
市場の大方の見方としては、米国はファーウェイの勢いを削ぐことで、中国の5G投資自体も遅らせたいのではないか、、、というのがコンセンサスではないでしょうか。
米中首脳会談時にファーウェイショックの火種は撒かれていた
今回、特に市場から嫌気されているのが、このファーウェイCFOの逮捕が、G20にあわせて開かれた米中首脳会談のまさにその当日だったということ。
2018米中首脳会談のポイント~中国製造2025に関して米側が要求せず?~
時間的に交渉の前なのか、後ろなのかはわかりませんが、当日にこれが行われたというのはかなりのインパクトだと思います。
仮に会談の前に逮捕されていたなら(この可能性が高いと思われます。時間的に。)、ファーウェイCFO逮捕の事実は中国側高官も把握していた可能性があり、それでもなお、米国との妥協に至った・・・可能性があります。
ただし、これに関しては時間軸がどうであったのか定かではありません。詳報を期待します。
ファーウェイショックの事実は2日には中国共産党首脳部の耳に入っていた?
時間軸からするに、ファーウェイショックの事実は2日時点では中国共産党首脳部の耳には入っていたはずです。
ちなみに、中国側の報道官が交渉に前向きなコメントをだしたのは3日です。
米国側が交渉の詳細に関して一方的にだらだらと垂れ流すように報じていたのに対し、中国は交渉妥結から2日経過してからようやく発表しました。
このタイムラグ・・・今から考えると、このファーウェイショックをどう捉えるか、中国の首脳部でいろいろ話し合っていたのではないか?という感じがします。
ファーウェイショックを織り込んだうえで、中国側は交渉継続の意思を表明か?
つまり、中国側はファーウェイショックを理解した上で、米国との交渉継続を進める意向を表明したのだと思われます。
中国側はそれほどまでに米中貿易戦争の終結を望んでいるということだと思われます。
また、米国側としては、なにがなんでも中国製造2025を邪魔したいのだと思います。
ファーウェイショック後のS&P500の動き
S&P500のここもとの動きをみてみましょう。
S&P500
ちょっと遠めにみてみると
米中首脳会談への期待で持ち上げられたぶん以上に大きく下落しています。(FRBのハト派スタンス以前に戻っています)
個人的には単なる戻り売りに押されているだけ、というふうに見ていましたが・・・うーん・・・一部にはファーウェイショックを知っていた向きもいる?
ファーウェイショックを受けた中国上海市場は?
ファーウェイショックを受けた当の中国市場はどうなっているでしょうか。みてみましょう。
以下は上海総合指数です。
意外とあまり動いていないようにみえます。
跳ねている場所が、米中貿易協議継続を発表した部分です。
少し引いてみると、こんな感じです。
あまり動いていない。
ファーウェイショックを受けた香港H株指数は?
ついでにH株指数もみてみます。
こちらはやや影響が大きく出ているようにみえます。
H株指数は中国本土の香港上場銘柄を指数化したものです。
ちょっと引いてみるとこんな感じです。
意外としぶといです。
ファーウェイショックで全部がご破算、みたいにはなっていません。
ファーウェイショックまとめ
とりあえず、現時点ではファーウェイショックが米中首脳会談に影響する可能性は低い、と個人的にはみています。
中国側は90日間で交渉を妥結するために汗をかこうとしている様子がみえます。
もしこの下げが急であれば(2日以上連続で下値模索の場合)、逆張りも手かなと見ています。
以上です。