トランプ大統領のシリア撤兵を受けジム・マティス国防長官が辞任~背景にクルド問題~
トランプ政権最後の初期メンバー、ジム・マティス国防長官がついに辞任へ
なんということでしょう・・・ジム・マティス国防長官がついに辞任してしまいました。
数か月前からトランプ大統領との不仲説は流れていましたから予定通りといえば予定通りなのですが、とうとう・・・といった感じがあります。
ジム・マティス国防長官辞任により、米国の対外政策は大きく転換する可能性があり、要注意です。
ジム・マティス国防長官、シリア撤兵を批判
ジム・マティス国防長官は提出した辞表で
「同盟国を尊重」
「共同の防衛を提供するため、アメリカの力のあらゆる道具」
「こうした事柄について、そして他の事柄についても、もっと自分自身の物の見方に近い国防長官を抱える権利があなたにはあるので、私は辞任するのがふさわしいと思います」
「この国の力は、独特で包括的な同盟関係や協力関係と、不可分に結びついていると、その核心的信条を私は常に抱えてきました。自由世界において米国は不可欠な国ですが、それと同時に、強力な同盟関係を維持し、その同盟国を尊重しないことには、自国利益を守れないし、自由世界における自分たちの役割を果たせません」
と書いたとのこと。(BBCより引用)
ジム・マティス国防長官の退任で危機にさらされるクルド人勢力
現在、トルコはシリア北部のシリア人勢力に対する大規模な軍事作戦を計画しており、着々と軍備を増強中と伝えられれています。
このタイミングで米軍がシリアから撤退する意味は
「クルドを助けるために米軍がトルコと戦火を交えることはない」
という意思表明でしょう。
トランプ大統領がシリアからの撤兵を指示~中東のパワーバランスは大きく変化へ~
つまり、米軍は同盟勢力であるクルド人組織を見殺しにしようとしているわけです。
ジム・マティス国防長官はこの撤兵に大反対していたとされ、トランプ大統領が撤兵を決断したことが、辞任のキッカケだと言われています。
ジム・マティス国防長官の後任は未定~ボルトン系列の人材ならバランスを欠いた展開に~
ジム・マティス国防長官はジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)との確執が噂されてきました。
今回のマティス国防長官の退任で、もしボルトン系列の人物が国防長官になるようなことになれば、それはもう・・・悪夢です。
何が起きるかさっぱりわからない状況になります。
北朝鮮問題も含め、一からやりなおしになる可能性もあるわけで、日本にとっても他人事じゃありません。
トランプ政権は、クルドを見殺しにするのと同様に、北朝鮮問題で日本を見殺しにする可能性
トランプ政権は、同盟関係にあるクルドを今回見殺しにするようです。
と同時に、日本との同盟関係もどうするのか・・・そこはリスクとなってきます。
ボルトンはかねてより北朝鮮攻撃を訴えてきていますから、もしボルトン系列の人物が国防長官になるようなら非常に危機感が出てくる可能性があります。
これは日本株へのセンチメント悪化にも繋がります。
(実際には、トランプ大統領は経済的メリットで動く人ですから、北朝鮮との戦争は一切望まないでしょうし、最後の最後にはディールで済ませるでしょう。しかし、危機感が高まることは十分に考えておかねばなりません。)
とりあえず、北朝鮮リスクは全く消え去ったと思っている人がおおいですが、何も解決なんてしていません。
あと伸ばしになっているだけです。
ジム・マティス国防長官の退任は、そういったあと伸ばしに結論がなっている部分においても、リアリティのない選択肢が選ばれる可能性を高めています。
そのことについて、注意が必要です。