【EURO7/ユーロ7】欧州自動車2021年CO2(二酸化炭素)排出量規制を考える~設備投資は2019年後半から?
2021年と2030年に欧州CO2(二酸化炭素)排出規制が強化~EURO7/ユーロ7
欧州では2021年と2030年にCO2(二酸化炭素)排出規制が強化されます。
名前はまだ決まっていないようですが、現在がEURO6/ユーロ6ですので、EURO7/ユーロ7とでもなりましょうか。
2010年代前半頃までは、この規制に対応するために次世代ディーゼル技術に各社は力を入れてきました。
しかし、その後ディーゼル車不正が発覚。
さらには、これら不正ディーゼル車から排出されたと思われる窒素酸化物、粒子状物質による大気汚染の深刻化から、都市レベルでディーゼル排除の動きが活発化しています。
2021年からの欧州排ガス規制EURO7/ユーロ7の内容は?
2021年からの欧州排ガス規制ですが、とりあえず乗用車には二酸化炭素排出量を95g/kmとする規制が導入されます。
これは現行の規制が130g/㎞であることからすると相当厳しい数字です。
なお、日本では2020年から122g/㎞、中国も2020年に117g/㎞ですから、欧州だけやたら厳しい数字となります。
ちなみに米国はCAFE規制で25年に97g/㎞の予定となっていましたが、トランプ政権下でこの方針を撤回する方向で動いています。
さらに2025年、2030年には欧州はEURO7/ユーロ7に比べてさらなる排ガス規制強化へ
さらに、2025年には2021年比15%減、2030年には2021年比37.5%減もの急激な排ガス規制が導入されることになっています。
もはやここまでくると、内燃機関で走る車の比率は極端に落とさなくてはならなくなります。
EV化は待ったなしの状況です。
2021年の欧州排ガス規制EURO7/ユーロ7に対応するための各社施策
2021年のEURO7/ユーロ7規制強化を前に、VWやアウディ、BMW、ダイムラーなどの自動車メーカー各社はEV化と48Vマイルドハイブリッド化(LV148/MHEV)を推し進めています。
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各社、このための投資を非常に大きく積み増す予定となっており、実際、VWは車載用電池生産とEV製造ラインの新設、自動運転技術関連の試験設備などに総額1兆円超の設備投資をすることを発表しています。
またVWグループ傘下のアウディも数千億規模、BMWやダイムラーも同様に内燃機関の設備投資はそっちのけで、EV投資を大量に積み増す方向で進めています。
平田機工の業績にも欧州排ガス規制EURO7/ユーロ7によるEV化の影響が出ている?
生産ライン製造請負の平田機工ですが、業績がここもと急速に悪化しています。
しかし、受注状況をみると欧州で伸び、自動車部門が伸びています。
しかもEV需要が増えていることも数字でみえます。
欧州の企業は欧州の製造ライン請負企業に任せることが多いのでしょうが、平田機工のような欧州が手薄だった企業にもお零れが来ているということは、EURO7/ユーロ7に向けてかなりの規模の投資が動くのではないか?という感じがします。
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欧州排ガス規制EURO7/ユーロ7向け設備投資は2019年後半から動き出す可能性
2021年から排ガス規制EURO7/ユーロ7が本格導入されます。
2020年からは新車に関しては排ガス規制を先取りした動きになるはずですから、ラインの増設などは2019年後半からは動き出すのではないか、と個人的に見ています。
この要素は、たぶんほとんどの人がまだ指摘していないように思います。
自分は非常に大きな金額が動くとみているのですが、なぜあまり注目が集まらないのか、よくわかりません。
EURO7/ユーロ7や5Gなど、次の産業の芽はいくつも転がっている
とりあえず、悲観論が渦巻く株式市場ですが、少なくとも以前の下落局面に比べれば、次の産業の芽は大量に揃っています。
とくに規制変更やシステム変更によってどうしても設備更新しなければいけない需要が大きいため、設備投資は年後半あたりから大きく動き始めるのではないかとみています。
これらの設備投資は、景気が悪くなっているから先延ばしにしよう、という判断が許されないものですから、ある程度読めると思います。
そういった意味で、2019年は大きく落ち込むことがあれば、シクリカル銘柄はいい買い場になると思っています。
以上です。