【7238】曙ブレーキ工業が債務超過に転落~大規模なリストラ不可避か?
曙ブレーキ工業が減損損失で192億円の最終赤字転落、債務超過に~リストラ不可避か~
ブレーキ大手の曙ブレーキ工業が北米資産の減損損失を計上。
これにより、最終損益が192億円の赤字となり、あわせて債務超過への転落となったことを発表しました。
曙ブレーキ工業はドイツのボッシュ社からGM向けのブレーキ事業などを買収しましたが、買収後の立て直しが上手くできず、販売価格の低迷も直撃。
さらにはGMからの次期主力車種への採用も見送られ、曙ブレーキ工業としては減損を迫られる形となりました。
先んじて事業再生ADRを申請した曙ブレーキ工業ですが、2月12日に債権者会議を開催。
とりあえず、金融機関は曙ブレーキ工業から要請されていた返済繰り延べに応じる方向のようです。
【7238】曙ブレーキ工業が事業再生ADRを申請~倒産の可能性も?
曙ブレーキ工業は次の債権者会議に向け、リストラ案を提示か?
曙ブレーキ工業は、4月8日と6月11日にも債権者会議を開くとのことです。
その場で事業再生計画案を決議するとのことで、何らかの大規模なリストラ案が示される可能性が高まっています。
曙ブレーキ工業に関しては、以前の記事でも書きましたが、EV化の進展によって「摩擦によるブレーキ」というブレーキシステム自体が陳腐化していく可能性が浮上しています。※1
曙ブレーキ工業自体も使用用途の拡大などを含めて自動車産業以外を見据えていかねばならない状況ですが、その前に身の丈にあった人員数、生産力に縮む必要があります。
EV化による既存の自動車メーカー、自動車部品メーカーの大規模リストラがいよいよ始まったな・・・という感じです。
※1 曙ブレーキ工業はMR流体ブレーキという摩擦材を利用しないブレーキの開発を進めていますが、個人的にそれは違うなぁという感じがします。いま起きていることは、そんな程度の話じゃないはずです。
EV化によるリストラは、曙ブレーキ工業に限ったものではない
EV化が進展することにより、曙ブレーキ工業の得意とする摩擦を利用した高精度のブレーキの需要に陰りがみえています。
今はまだ高精度なブレーキが使われていますが、いずれ陳腐化していく可能性が高い。
エネルギー効率を考えて、回生ブレーキの役割が占める比率は高まっていく可能性が高い。
ぶっちゃけた話、曙ブレーキ工業はまだマシです。
摩擦によるブレーキシステムは将来的にもある程度使われ続けるでしょうから(将来的には回生ブレーキ+電気でブレーキでしょうが。)
問題は、それ以外の、本当にEV化によって消えていくもの。
たとえば内燃機関、エンジンが使われなくなれば、スパークリングプラグなんてEVじゃ絶対に使われませんし、燃料タンクやバルブ、キャップなんかもいらなくなる。
流体の計測器なんかもかなり必要なくなる。
マフラーもいらない。
モーターの役割が比率として大きくなって、変速機や駆動系だって大きく変わる。
エアコンの機構だってかなり違ってくる。
排熱の仕組みだってかわる。
どう考えても、リストラ不可避な企業がいっぱいあります。
しかし、こういう企業は、まだまだリストラに後ろ向き。
日本企業は数手先を読んで経営するのが下手糞すぎます。
今後、第二、第三の曙ブレーキ工業が出てくると思います。
市場は、そのことに注意しておくべきでしょう。
以上。