復星集団によるハウステンボスへの出資協議が中止~背景に中国政府による海外投資締め付け?

復星集団によるハウステンボスへの出資協議が中止

 

中国・復星集団によるHIS傘下ハウステンボスへの出資協議が破談に

2019年2月13日付の日経新聞朝刊によりますと、中国復星集団によるハウステンボスへの出資協議が破談となったそうです。

背景に中国政府による金融締め付けの流れがある可能性があり、様々な意味で興味深いものとなっています。

 

復星集団とは?

中国の復星集団とは、観光を中心にしたコングロマリット(複合事業)企業です。

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復星集団は不動産開発、観光、物流、金融、ヘルスケア、ブランド品ビジネスなどを中心に世界中に投資を行っており、たとえば、クラブメッド(地中海クラブ)やフォリフォリ、セントジョン、トムテイラー、星野リゾートトマム、シルク・ドゥ・ソレイユなども復星集団傘下の事業となっています。

 

 

中国政府が復星集団の海外投資を許可せず?

中国政府は大型の海外投資に対して許認可でこれを規制する権限を持っていると言われています。

今回、復星集団がHIS傘下のハウステンボス事業へ出資できなかったのも、何らかの規制がかかっていたとみられています。

(以下、個人的見解)

今回の出資取りやめの背景に昨年から続く金融引き締め傾向があるのではないかと思われます。

中国では一昨年暮れあたりより民間事業者の債務の伸びを抑える動き、いわゆるデレバレッジの動きが加速しました。

これが、内需の冷え込みを誘発し、とくに昨年後半の中国経済の下押し材料となったと思われます。(けっして、中国経済の減速は米中貿易戦争だけの問題ではありません。むしろデレバレッジの方が内需においては影響が大きかったと思われます)

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しかし、この影響があまりにも大きく経済に影を落とす結果となり、人民銀行の易綱総裁などは公式に謝罪をするなどの影響がでました。

最近はむしろ金融緩和の方向に向かっており、資金調達をしやすくなったことで海外事業へ資金を振り向けようとする企業の動きも出ていました。

たとえばそれは、復星集団のように。

しかし、中国政府の目的としては、海外への投資ではなく、冷え込んでいる中国国内への投資です。

中国国内へ投資してもらうために、内需を拡大するために、金融環境を緩和したにすぎません。

為替レートを通じた輸出拡大型の景気浮揚は望んでいません。

それがみえたのが、今回の復星集団のハウステンボス出資とりやめだったのではないか、と個人的にはみています。

 

以上の見立ては間違っているかもしれませんが、まぁ、たぶんそんな感じだろうと思います。

中国企業による海外への投資は、戦略的な資源開発分野などでなければ、認められにくい状況となるでしょう。

とりあえず、世界のM&A市場はひきつづき、中国マネーを期待できない状況だと思われます。

以上。