新潟水俣病「阿賀野川流域9割超で被害」~昭和電工鹿瀬工場の廃液が原因~

新潟水俣病「阿賀野川流域9割超で被害」~昭和電工鹿瀬工場の廃液が原因~

 

新潟水俣病(第二水俣病)の被害者が拡大の可能性~昭和電工鹿瀬工場

1965年に確認された四大公害病のひとつ新潟水俣病(第二水俣病)ですが、この被害者が拡大する可能性が出てきています。

NHKが報じたところによりますと、新潟水俣病(第二水俣病)の発生直後から診察にあたってきた新潟市の斎藤恒医師らのグループは、水俣病特有の手足の感覚障害などを持つ患者3200人あまりのカルテを調査したとのこと。

この結果、被害分布は従来の想定を超える、阿賀野川流域の9割を超える68の地域に出ていた可能性との結論を導き出したとのことです。

新潟水俣病「流域9割超で被害」 NHK2019年2月21日

 

新潟水俣病(第二水俣病)とは?

新潟水俣病(第二水俣病)は、昭和電工の前身である昭和肥料鹿瀬工場から阿賀野川へのメチル水銀漏出によって引き起こされた、食物連鎖を経由した公害病。

1929年に創業した昭和肥料鹿瀬工場は、フランク・カロー法による生石灰とコークスを利用したカーバイド(カルシウムカーバイド)から、石灰窒素を製造してきました。

さらには1936年、昭和肥料鹿瀬工場のとなりに昭和合成化学のプラントを建設しました。

このプラントでは、カーバイドからアセチレン・アセトアルデヒドを経由して酢酸やその他誘導体を製造していましたが、アセチレンからアセトアルデヒドに転換する際に中間体を経由するなかで触媒として利用される水銀のうち、一部元に戻らない(ビニルアルコール⇒アセトアルデヒドの転換時)ものをメチル化された状態で阿賀野川に垂れ流し、結果として水俣病の原因となってしまいました。

現在ではこういった水銀を触媒に使用した製法は国内では行われておらず、環境対応の観点からはずいぶんと進化しました。

 

未だに昭和電工と国の責任をめぐり裁判がつづく新潟水俣病(第二水俣病)

なお、新潟水俣病(第二水俣病)はもうかれこれ60年以上昔の事件なわけですが、いまだに民事で損賠外相請求訴訟が継続しています。

この理由としては、昭和電工が問題発覚後に資料の多くを隠滅したことと、国の対策が遅れたことにあると言われています。

国の基準はかなり厳格なものとなっており、患者認定の範囲などを巡って原告としての能力を有するかどうかでも争われています。

もし今回の報告結果が認められるようですと、原告の数が増えることが想定されます。

国の負担も増えますが、昭和電工の負担も増えるかもしれません。

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以上。