【AVGO】ブロードコム(Broadcom)の決算・業績と株価~Brocade(ブロケード)に支えられた決算

【AVGO】ブロードコム(Broadcom)の決算・業績と株価~Brocade(ブロケード)に支えられた決算

今回は米国のファブレス電子部品大手、ブロードコム(Broadcom)についてみていきます。

ブロードコム(Broadcom)は買収の連続で微妙に軸足を変えながら生き残ってきました。

そうしたブロードコム(Broadcom)の沿革も含め、書いていきたいと思います。

まずはブロードコム(Broadcom)の事業内容から説明していきます。




 

 


 

ブロードコム(Broadcom)の事業内容

ブロードコム(Broadcom)はファブレス型の半導体・電子部品開発企業です。

ファブレスというのは、自前では製造設備を持たない、ということです。

ブロードコム(Broadcom)は半導体の設計・開発のみ行い、露光やパッケージング化などの製造工程は他社に委託します。

 

ブロードコム(Broadcom)の開発する製品はあまりにも多く、すべてを挙げきることは無理ですが、大まかに分類すると、

  • 有線ネットワーク関連(NICやスイッチングハブのコントローラなど)
  • 無線ネットワーク関連(ワイヤレス機器、スマホなどのチップ)
  • データセンターなどのストレージ周りの回線用チップ
  • 他(家電用など)

となっています。

なんでこんなに幅広いのかというと、ブロードコム(Broadcom)が買収の連続で大きくなった企業だからです。

 

 

ブロードコム(Broadcom)の沿革

ブロードコム(Broadcom)の事業内容を語るのは非常に難しいのですが、その理由は、同社が多数の企業を買収した結果の寄り合い所帯のようだからです。

ブロードコム(Broadcom)の沿革は、以下のようになっています。

もともとはヒューレットパッカードの一部門でした。

1999年、ヒューレットパッカードの計測器部門などがアジレントテクノロジーズとして分離します。

(当時はパソコン事業が花形で、計測器なんて儲からないからスピンオフしろという投資家からの圧力が大きかったんです。いまじゃ考えられませんがw)

2005年、アジレントからさらに有線機器部門がAvago Technologies (アバゴ・テクノロジーズ)として分離します。

2009年にアバゴ・テクノロジーズは上場します。

2014年、家電向けや産業向けなどに強みをもつLSIロジックを買収します。

2016年、ブロードコムを買収します。

(ここでアバゴ・テクノロジーズはブロードコムに社名を変更します。だからティッカーと社名が食い違っているんですね。)

2017年、ブロードコム(Broadcom)はSAN事業に強いBrocade(ブロケード)を買収します。

2018年、コンピュータアソシエイツからの流れを受け継ぐCAテクノロジーズを買収します。

 

ブロードコム(Broadcom)によるブロケード(Brocade)買収

のちのち書きますが、このブロードコム(Broadcom)によるブロケード(Brocade)買収こそが、ここもとの一番の成功例となっています。

データセンター向けに非常に高い伸びを示しており、データセンター需要が落ちる中でもこの伸びを示しているのは大したものです。

そして、この買収以降、仮想化ネットワーキング向けの開発なども強く意識した体制に有線部門が転換しています。

そここそが、ブロードコム(Broadcom)の生きる道、となりそうな感じがあります。

 

 

ブロードコム(Broadcom)の2018年Q4決算および通期業績

ここでブロードコム(Broadcom)の業績を確認しておきましょう。

以下のようになっています。

なにやらよくわかりませんが、シンガポールから米国への移転によるものでしょうか。

税効果がやたら出ていて、最終利益は嵩上げされています。

それらを含めなくてもそこそこ増益ではありますが、やや見劣りする状況。

なお、この数字以上に、ブロードコム(Broadcom)の事業内容は大きく転換しています。

 

 

ブロードコム(Broadcom)のセグメント別業績

ブロードコム(Broadcom)の業績は、セグメント別にみるとよくわかります。

これまでアバゴが得意としていた有線NICなどの分野は成長がほぼありません。

ブロードコムの買収で取得した無線分野も、スマホなどの伸びがあまり芳しくなく、やや見劣りします。

ただ、Brocade買収で取得したSAN分野(Enterprise Storage)がやたら強いです。

大きく伸びています。

 

利益ベースでみても、有線分野は6%の利益成長でしかない。

非常に落ちてきています。

無線は30%とまぁまぁ成長しています。

しかし、何を置いても一番目を引くのはやはりSAN事業でしょう。

非常に高い伸びを示しています。

 

 

ブロードコム(Broadcom)の株価

ブロードコム(Broadcom)の株価は、二番高値をちょろっと抜いて、その後に下げてます。

ブロードコム(Broadcom)には、多数の事業がぶら下がっていますので、非常に事業の見通しを立てにくい企業のひとつとなっています。

ブロードコム(Broadcom)がなぜアバゴを中心にしてブロードコムを買収したか、ブロケードを買収したかというと、ブロードコム(Broadcom)が一番あやうい事業だとわかっていたからだと、個人的にはみています。

(マシンやネットワークの仮想化によってかなりネガティブインパクトを受けますから)

もしアバゴをブロードコムが買収する側だったら、将来的に大きな「のれん代」の減損をしなくちゃならなくなるリスクがあった・・・

そうわかっていたから、アバゴを買収側にしたんじゃないかなぁとみています。

そのくらい、有線分野はびみょーな匂いが漂っています。

ただ、同社の有線分野はBrocadeの買収以来、ストレージ周りだけでなく仮想化ネットワーキングなどに強い製品をいくつか出してきており、そうした面ではやや期待もできるようには思いますが・・・何とも言えない部分があるかな、と思っています。

無線事業分野はWi-Fi6でどのくらい稼げるかにかかりますが、これもまだよくわかりません。

クアルコムの買収が失敗した今となっては、5GとWi-Fi6統合みたいな魅力的な製品の開発もできなくなりました。

逆に、クアルコムやファーウェイが本格的に統合してくる可能性も高く、ブロードコム(Broadcom)にとってはいろいろ苦しい展開になるかもしれない、と感じます。

ここらへんは専門家でも見通しは難しいと思います。

とりあえず、個人的にはそんな感じで見ています。

それらをふまえていうと、今の株価水準は、やや割高にみえます。

 

 

なお、上記はあくまでも個人的見解です。

特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。

投資においては自己責任で行っていただきますようお願いいたします。

以上です。