『ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント』の転売規制にみる、ナイキ(NIKE)の商法の巧みさ
ナイキ(NIKE)が競技用ランニングシューズ『ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント(ZOOM VAPORFLY ELITE FLYPRINT)』を発売
スポーツ用品大手のナイキ(NIKE)が、競技用ランニングシューズの最高峰モデル『ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント』を3月4日から発売開始しました。
『ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント』はケニア出身のマラソンランナーでリオ五輪金メダリストのエリウド・キプチョゲ選手がロンドンマラソン2018で着用していたモデルとのこと。
『ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント』は転売価格を参考にした定価
『ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント』は非常に希少なモデルとなっており、購入希望者すべてが手に入れられるわけではない、レアものランニングシューズとなっています。
価格もメーカー販売価格で7万5000円
税込みで8万1000円と超強気なプライシングとなっています。
昔からナイキのシューズには投資家による買い占めなどがちょくちょく発生しており、レアものシューズには非常に高額な値がつくことも珍しくありません。
ナイキとしては、それらの転売市場での需要などもみながら、価格を設定してきているものと思われます。
そしてこの『ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント』ですが、販売方法が今までとは異なっていて、独特です。
うまいことやったな、と思います。
『ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント』は転売規制ばっちり
今回、この『ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント』を販売するにあたって、ナイキは以下の条件を設定しました。
- フルマラソン3時間00分00秒以下の男性
- フルマラソン3時間30分00秒以下の女性
この条件に合致した人物にしか『ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント』を販売しないとのこと。
『ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント』を購入するときには、フルマラソンでの成績を証明するものを持参する必要があるとのこと。
応募者多数の場合は単純な抽選ではなく、足の速い人の順に販売するとのことです。
もちろん、通し番号を振っておき、誰に何番の商品を売ったかわかるようにしてあるもよう。
というわけで、今後は『ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント』が転売されればすぐに転売元がわかり、以降はブラックリストに載せることも可能になるようです。(実際にナイキがこうしたことをするかどうかはわかりません。)
『ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント』の売り方にみるナイキ(NIKE)商法のすごさ
いやー、これはすごいですね。
さすがナイキ(NIKE)、販売方法が洗練されています。
このナイキの商売方法でのキモは以下の点にあります。
- 『ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント』を限られた人に与えることで、購入者に身に着けることの優越感を持たせる
- いつか『ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント』を手に入れたいと思う人たちは、マラソンで速く走ろうと頑張るようになる。
- 『ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント』を最高峰モデルとして置くことで、多くの人々はナイキの別のモデルを買ってステップアップしていこうとする。
- 『ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント』は最初から転売価格を参考にした値付けなので、転売屋に落ちていたカネをナイキが回収しているのと同じことに。
つまり、オンラインゲームとおなじだと思っていただければわかりやすいと思います。
限られし者だけに与えられる伝説のアイテム『ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント』
と定義されることで、そのアイテムのレア感がグッとあがります。
そのレアアイテムを手に入れるために、人々はひたすらゲーム(この場合はマラソン)をするようになります。
他人と競う、という点において、マラソンもオンラインゲームもやっていることは変わりありません。
人より凄く見られたい。
あのレアアイテムを身に着けたい。
そういう競争意識を刺激されて、ひたすら時間とエネルギーと健康を費やしながら走り続けるのがマラソンという競技なわけで、ナイキはそこら辺の所をうまくマーケティングに組み込んでいます。
世界には食事もままならず栄養失調で死んでいく子供などがたくさんいますが、先進国の人々は大量の食事をして、太らないため、健康のためといってランニングをしたりしています。
大量のエネルギーを消費しながら、マラソンの速さを競ったり、競技スポーツをしています。
なんと美しい光景でしょう。
ナイキは、世界の人々の健康のために今日も貢献しています。
以上。