中国貿易統計~本当に弱いのは外需なのか?

先週4月13日、中国税関総署3月の貿易統計を発表しました。

ドル建て輸出が前年同月比2.7%減、輸入は14.4%増となり、貿易収支は49億8000万ドルの赤字となりました。

輸出減が市場には意外感を持って受け止められたようで、当日の中国株は製造業を中心に輸出関連銘柄が幅広く売られることになりました。

上海総合株価指数 日中足

さて、このように貿易統計を受けて前場中ごろから特に弱含んだ中国ですが、果たして本当に中国は外需が減速しているのでしょうか?

 

俺は、それはちょっと早計なのでは?と思います。

というのも、1~3月の統計は春節の影響で毎年ブレるからです。

 

中国では、基本的に太陽暦の正月はあまりお祝いしません。一応、休みにはなっていますが、他の国が休みだから休んでおくか、くらいの意味でしかありません。

太陰暦でみた正月・・・春節をとても大切にします。長期休暇に入り、ふるさとに帰ったり、家族とゆっくりすごします。なかには海外に旅行したりする人もいます(全体から見たらごく一部です)。

この春節ですが、太陰暦をもとにしているので、太陽暦で見ると毎年日付がかわります。だいたい1月下旬から2月半ばあたりのどこかが春節になりますが、この前後で輸出が急増したり、減少したりするように見えるのはよくあることです。

春節前に製品輸出と材料の仕入れを増やしておいて、春節明けから加工製造し、製造された財の出荷にこぎつけるのは数週間後・・・みたいなのはザラです。春節の日付が前年とずれるので、大きく増えたり減ったりしたように見えるのです。

PMIのようなソフトデータはそこらへんを含めて回答している人がいますが、

貿易統計はまったくのハードデータ寄りなので、前年比をみるときは趨勢でみる必要があります。

 

このことを踏まえて、貿易統計の輸出入を前年比伸び率でみてみましょう。

いかがでしょう?

たしかに輸出はマイナス成長になっていますが、前月2月は前年比44.5%の伸びを記録しています。昨年3月は前年同月比16.4%増でしたので、「トレンドとしては強い」と俺は思います。

むしろ、内需の方が弱くなってきている

ように見えます。

 

また、2016年8月あたりから輸入の伸びの方が輸出の伸びを上回って推移しているのがグラフからわかると思います。

 

大雑把にいって

2014年3月頃までは内需と外需がパラレル

2014年4月から2016年7月頃までは外需主導の回復

2016年8月ころからは内需主導の回復

 

だと思います。

 

そして最近は、どうも内需が弱いんじゃないか?という感じがしています。

 

2018年3月の中国国家統計局PMIでも書きましたが、内需は建設以外に勢いがありません。決して外需が良好というわけではないのですが、むしろ内需の方が落ちているんじゃない?という気がしています。

前述のロイターの記事では、野村のエコノミストが

「中国は輸入拡大を約束しており、輸入は輸出以上に堅調に推移するのではないか。」と述べていますが、個人的には大いに疑問があります。

米中の通商摩擦の有無にかかわらず、循環的にみて中国の内需の伸びに期待できない局面に来ているように感じます。

中国の経済というと、とかく最近は米国との絡みでのみ語られがちですが、もっと内需の動向に目を向けた方がいいのではないか、と思っています。

 

以上。

ちなみに、上記は中卒くん個人の見通しであり、投資スタンスをおすすめするものではありません。投資は自己判断、自己責任でお願いいたします。