米最高裁判事の保守化が最大の焦点に~トランプ大統領による拒否権発動問題~

米最高裁判事の保守化が最大の焦点に~トランプ大統領による拒否権発動問題~

 

トランプ大統領が非常事態宣言無効決議に拒否権を発動しました。

トランプ大統領はメキシコとの国境の壁建設にご執心です。

この国境の壁建設には50億とも80億ともいわれる予算が必要なのですが、民主党が支配的となった現在の議会では、そのための予算案は通りそうにありません。

そこでトランプ大統領は、議会の承認を経ずに国境の壁建設を推進できるよう、大統領による権限のひとつ、非常事態宣言を発動しました。

アメリカに国家の存亡の危機に相当するような危険が迫っている・・・だからメキシコとの間に国境の壁を建設しよう!というものです。

うーんw

国境の壁が作られないと、アメリカが国家存亡の危機になるんでしょうか・・・w

まぁ、以前も書いたように、アメリカには現在、メキシコとの国境を経由して大量の違法薬物やその売人が出入りしていると言われています。

それがギャング組織の資金源になって、中央アメリカを中心にさらなる移民希望者の急増にも繋がっています。

そういう意味で、国境管理を厳格化することには個人的にも賛成なのですが、さすがにそれが国の存亡レベルとまでなると、なかなかに想像力のたくましいことだなぁと思います。

とりあえず、このトランプ大統領による非常事態宣言、民主党はもちろん猛反対

非常事態の無効化法案を議会で可決させました。

 

 

トランプ大統領が非常事態無効化法案に対して拒否権発動

しかし、トランプ大統領は大統領権限である法案の拒否権を発動

大統領に就任して初の拒否権です。

まぁ、大統領には法案の拒否権があるので、これはこれでいいんですが、さてこうなってくると大統領の行動を制御できるのは司法のみとなります。

その司法がまた厄介です。

 

 

トランプ大統領時代に最高裁人事が保守化したアメリカ

アメリカでは、議会と大統領では大統領が圧倒的に強い権限を持っています。

法案を最後にポシャらせる権利をもち、それでいて大統領を罷免するにはかなりハードルが高いのがアメリカです。

そうしたなか、アメリカの最高裁は、大統領の権限を制御できる最後の砦ともいうべき場所です。

そのアメリカの最高裁ですが、基本的に9人が定員となっています。

そして、一度判事につくと終身判事です。

昨年まで、この9人の定員に対して8人でした。

これは、2016年にやや左よりのスカリア判事が亡くなったことによるものでしたが、この時はリベラル4人に保守3人、のこり1人がケネディ判事という、たまに保守で、たまにリベラルな方です。

この状況でしたから、リベラルがやや優勢でした。

トランプ大統領はまず、この状況を変えるためにスカリア判事の欠員を埋めるための人事を行います。

呼ばれたのが、ゴーサッチ氏

かなりの保守といわれている方で、トランプ大統領が選ぶのも当然という方だそうです。

この段階でリベラル4人、保守4人、ケネディ氏という9人構成です。

 

ケネディ判事退任でさらに保守化した米最高裁

そうこうしているうちに、今度はケネディ氏がそろそろやめたいと言い出しました。

ケネディ氏は先ほども書いたとおり、保守にもリベラルにも揺れる人でしたから、いいバランサーでしたが、これが抜ける・・・

そこで選ばれたのがブレット・カバノー氏です。

昨年、あれやこれやとレイプ疑惑だのなんだのと騒がれた人です。(個人的に、民主党の連中の陰謀だと思っています。)

カバノー氏はかなり右寄りな判断をする方とのことですが、トランプ大統領はこれを議会に承認させました。

この段階で、保守5人、リベラル4人です。

 

 

超高齢のリベラル派判事ルース・ギンズバーグ氏が退任すれば米最高裁はさらに保守化へ

そして問題は、のこるリベラル4人のうち1人ルース・ギンズバーグ氏は超高齢だということ。

86歳と超高齢であり、いつ退任してもおかしくない。

とりあえずトランプ政権が今期限りだとしても怪しいし、二期つづくとなると、ほぼ確実にギンズバーグ氏は退任するでしょう。

現在、トランプ大統領はかなり人気を回復していますから、ルース・ギンズバーグ氏退任⇒さらなる米最高裁の保守化となることは可能性としてありえます。

そして、先ほども書いたように、最高裁判事は終身です。

ということはカバノー氏たちはあと20~25年近くは判事を続ける可能性がある。

保守化した米最高裁が20年以上続く・・・

これはいろいろリスクであり、チャンスでもあります。

 

 

トランプ大統領の強気方針の背景に、最高裁の保守化

話を元に戻します。

今回、トランプ大統領は大統領権限を制限する法案に拒否権を発動しました。

これはたぶん、トランプ大統領がかなり最高裁を信用しているからだと思われます。

早速、この大統領権限を制限する法案への拒否権発動は違憲であるとして司法に訴える動きがあるようですが、はたしてどうなるか。

 

仮に大統領の方針に是しか出さない最高裁になってしまったとしたなら、それこそ米国型の民主主義のシステムの欠陥を示すことになるでしょう。

いろいろと興味深い展開となっています。

以上です。