中国の米国債保有拡大、日本は減少=対米証券投資統計
米財務省が公表した2018年2月の対米証券投資統計
中国の米国債保有額が1兆1767億ドルに増加しました。
(前月分はこちら)
これは過去6か月で最大の増加です。
それまで上昇基調を辿ってきた中国人民元ですが、この期間は人民元高が止まっています。
また、海外投資家による米国債買い越し額も2017年5月以来の高水準。
金利先高観のあるなかでも高水準の需要があることから、3%近い金利であれば米債への需要は高まることが確認できました。
なお、米債保有額二位の日本は、この環境でも米債投資を削減していることを確認。
個人的な見通しとしては、
- 中国は内外需が共に減速しつつある中、一方的な人民元高を受け入れる環境ではなくなってきているように見えます。
- 中国の米債保有残高は2010年半ばをピークに漸減傾向です。一時的に米債保有を積み増すことはあっても、積極的な買いはないと思います。
- 海外への投資資金の流れと、海外からの貿易による黒字を相殺させる方向でバランスさせるため、中国は外国への投資規制を緩める可能性があります。しかし、中国企業による巨額のM&Aなどは相手国政府の意向で難しくなってきています。
- 以前から親密な関係を築いているドイツを筆頭にEU諸国への投資を増やすか、最近になって関係改善方向に取り組みはじめた日本などへの投資を増やす可能性があるのではないかと予想しています。
- 中国と豪州との関係は、かなり悪化しはじめています。中国が日本を頼っているのは、対米国の政治的緩衝地としての期待があると思います。
- 人民銀行自身も、米国債以外への分散を図る可能性があります。
米中の貿易不均衡を是正する唯一の手段は人民元高誘導だと思うのですが、中国にその気がないとなると、より一層、摩擦が激化する可能性もあります。そこには注意が必要です。