【MAERSK】APモラー・マースク(A.P.Moller Maersk A/S)の業績・決算と株価~海運SOX規制は吉とでるか?
今回は、世界最大の定期コンテナ船会社であり、世界最大の海運会社でもあるAPモラー・マースク(A.P.Moller Maersk A/S)についてみていきます。
APモラー・マースクはコンテナ船会社として有名ですが、
コンテナ船事業だけでなく、ターミナルの運営、陸上輸送、タンカーなどの運営などにも手を広げています。
とりあえず、APモラー・マースクの事業内容からみていきましょう。
APモラー・マースクの事業内容
APモラー・マースクの事業内容は以下のようになっています。
定期コンテナ船事業・・・主力となるコンテナ船事業です。世界最大級の船と船隊規模を誇り、MSCとの提携によりグローバルにトップアライアンスを組んでいます。
物流・ロジスティクス事業・・・倉庫業、インターモーダル物流業や陸運業なども付帯的に行っています。
ターミナル・港湾内荷役事業・・・沖中仕を雇って、港湾内における曳航やガントリークレーンによるオペレーションなど、港湾作業の諸々をしています。
製造・その他事業・・・コンテナの作成などをしています。なお以前は海洋掘削事業なども含まれていましたが、2019年の分離が決定しています。
APモラー・マースクの船隊規模
APモラー・マースクの船隊規模は、2018年時点で以下のようになっています。
APモラー・マースク世界最大の定期コンテナ船会社 https://t.co/US8pvthJCu
(資料は2018年アニュアルリポートより)船隊規模がべらぼうに凄い
15000TEUを超えるコンテナ船を46も自社保有 pic.twitter.com/D7qtAYAoJk— 中卒くん@株 (@chu_sotu) March 25, 2019
APモラー・マースクは15000TEU級以上の大型船を46も自社保有しています。
これがコスト競争力の源泉になっているようです。
APモラー・マースクの業績
APモラー・マースクのここ最近の業績は以下のようになっています。
APモラー・マースク世界最大の定期コンテナ船会社 https://t.co/US8pvthJCu
(資料は2018年アニュアルリポートより)業界トップの規模を誇る企業ながら、業績はあまり芳しくない。
この業界、ほとんどの会社が赤字なので、黒字であるだけでマシな状況。 pic.twitter.com/wBDqYbtYkF— 中卒くん@株 (@chu_sotu) March 25, 2019
元データの数字でみると以下のようになっています。
APモラー・マースク世界最大の定期コンテナ船会社 https://t.co/US8pvthJCu
(資料は2018年アニュアルリポートより)ここ2014~2018年間の業績推移 pic.twitter.com/YwwKQvWsef
— 中卒くん@株 (@chu_sotu) March 25, 2019
とりあえず、あまりよろしくないことがわかります。
定期コンテナ船業界はオーバーキャパシティでどこも苦しい状況です。
日本の海運大手三社もすべてコンテナ船事業は赤字で、統合してコスト削減を目指していますが、非常に苦しい状況です。
⇒コンテナ統合会社ONE(OCEAN NETWORK EXPRESS/オーシャン・ネットワーク・エクスプレス)の業績
他社が赤字垂れ流しの状態でも黒字化を達成できているAPモラー・マースクはやはり凄いのですが、それにしても投資対象としてはあまり魅力的ではなさそうです。
少なくとも過去においては。
APモラー・マースクの業績~四半期ベース
APモラー・マースク世界最大の定期コンテナ船会社 https://t.co/US8pvthJCu
(資料は2018年アニュアルリポートより)2018年 四半期ベース業績推移 pic.twitter.com/Y3bmD8ncAv
— 中卒くん@株 (@chu_sotu) March 25, 2019
APモラー・マースク世界最大の定期コンテナ船会社 https://t.co/US8pvthJCu
(資料は2018年アニュアルリポートより)四半期ベース各セグメント 経営指標 pic.twitter.com/IMwFs6R4xw
— 中卒くん@株 (@chu_sotu) March 25, 2019
APモラー・マースクの四半期ベースの業績は上記のようになっています。
はっきりいって、安定しない業績になっています。
業績の方向性がぐちゃぐちゃで、見通しが効きにくい。
なお、ここもとは世界経済が急速に落ち込む兆しをみせています。
コンテナの輸送量は世界経済の動向に敏感に反応しますので、かなり大きな下押しがある可能性があります。
(特に昨年は、米中通商問題の過熱化で、米国側で在庫を積みます動きがありました。今年はそれがない。落ち込みは大きくなる可能性があります。)
APモラー・マースク世界最大の定期コンテナ船会社 https://t.co/US8pvthJCu
(資料は2018年アニュアルリポートより)市況関連データ
2018年は比較的落ち着いた動きの荷動きだったが、果たして2019年はどうなるか。4Qに向けて輸出受注の落ち込みが急激に起きていることからみて、厳しい気がするが。 pic.twitter.com/Iltgg5dXbk— 中卒くん@株 (@chu_sotu) March 25, 2019
APモラー・マースクの株価
月足
日足
APモラー・マースクの株価は、長期的にも短期的にも停滞局面となっています。
とりあえず、ここもと事業環境は急速に悪化しています。
2018年は米国の在庫積み増し局面にありましたが、それが2019年にはなくなります。
海上の荷動きは大きく落ち込む可能性があります。
2016年から株価の下値支持はしっかりとできていますが、ここを抜けてくると一気に落ち込む可能性もあり、そこには注意が必要です。
APモラー・マースクとSOX規制
なお、APモラー・マースクをみるにあたっては、2020年からのSOX規制が一つの転機になる可能性があります。
⇒石油大手BP、SOX規制を睨み南アで船舶用低硫黄ディーゼル油の生産を拡大~マルポール条約附属書VIに対応するため~
同社は先んじて規制対応をしてきており、それでいて黒字なので体力があります。
他の企業が対応できずにコンテナ輸送コストが急上昇すれば、APモラー・マースクにとっては非常に良好な市場環境になります。
とりあえず、そういった部分まで考えて、見ていくと良いと思います。
以上です。