経産省の天下り先確保のために使われた血税・約3000億円~JDI問題を考える

経産省の天下り先確保のために使われた血税・約3000億円~JDI問題を考える

 

JDI、800億円で中国・台湾連合に事実上の売却へ

ジャパンディスプレイ(JDI)が中国、台湾の企業連合から金融支援を受けることが決定しました。

ジャパンディスプレイ(JDI)に宸鴻光電科技、富邦グループ、嘉実基金管理などが1100億円出資へ

これにより、中国・台湾連合の出資比率は50%近くとなり、事実上の経営権を取得することになります。

と同時に、これまで筆頭株主として君臨してきた経済産業省傘下の国策ファンド・旧産業革新機構INCJの出資比率は半分になります。

これは、INCJにとって事実上の損切り撤退・・・ということになります。

 

 

JDI(ジャパンディスプレイ)は、経済産業省傘下の旧産業革新機構INCJからは約3000億円の金融支援を受けてきた

JDI(ジャパンディスプレイ)はこれまでに、約3000億円の金融支援を国策ファンドであるINCJから受けてきました。

最初は2012年、発足当初に2000億円で7割の出資を受け、その後、有機ELパネルの開発費として750億円の融資、さらにはアップル向け増産支援として200億円の金融支援も受けています。

投融資あわせて3000億円注ぎ込まれ、結局最後は中国・台湾連合に800億円で売却されるというオチ・・・

どう考えても大失敗でしょう。

 

 

経済産業省が産業革新機構を使ってジャパンディスプレイやルネサスを支援するのは、天下り先がほしいから

経済産業省はことあるごとに

「日本のものづくりが重要だ」

「日の丸半導体が必要だ」

「日の丸液晶が必要だ」

「ジャパニーズクール!」

などと煽ってきました。

そうやって産業投資機構やらクールジャパン機構やらに多額の資金を注ぎ込ませました。

でもその目的は、一言で言ってしまえば

「天下り先確保のため」「省益確保のため」

と言えるでしょう。

自分達の自由に使えるカネが欲しかっただけです。

日本の産業全体を真に思って行われた投資行動とは到底思えません。

 

 

ジャパンディスプレイだけじゃない、経産省の失敗事例

伝えられているとおり、経産省所管のクールジャパン機構は大赤字です。

なかには、こんな酷いガバナンスのものもあるそうです。

18/6/10午前 伊勢丹マレーシアLOT10 クールジャパン機構との関係を解消

 

また、産業革新機構にしても、トータルでは黒字ですが、ほとんどの事業が失敗に終わっています。

そもそもその黒字すら、多くはルネサスへのPEファンド的な投資にもとづくもので、再生してのち上場したことに伴う実現、未実現損益であり、ルネサスの業績が傾く中、今後どうなるかは非常に怪しくなってきています。

というか、個人的にはもうオワコンなんじゃないかと思っています。

 

 

 

産業革新機構は麻生内閣が生み出した最大の癌

ぶっちゃけた話、産業革新機構の失敗は設立当初からみえていました。

設立は2009年、麻生内閣が倒れる2カ月ほど前です。

日経を含め、各メディアはこぞってこの計画を礼賛

「リーマンショックの不景気から立ち直るためには必要だ」

「官民ファンドは世界的な潮流」

「民間がとれないリスクを政府がとっていくべき」

みたいな論調だったように記憶しています。

ネット上のコメントなども、概ね好評だったように記憶しています。

 

個人的には、そういったメディアやネットなどの論調をみて

「これは絶対にしゃぶり尽くされるだろうな」

とみていました。

案の定・・・という感じです。

 

 

 

経産省の好き勝手になってしまった10年間

つまり、この手のフリーハンドの資金を省庁に与えたらどういうことになるかは、ずっと昔からみえているんです。

それは関東大震災後の復興や、軍艦整備費用などでもそうです。

大枠を大きくとったら、無駄遣いされるのがオチなわけです。

それを防いできたのが財務省です。

しかし、産業再生機構を作り、産業革新機構を作ったことで財務省からとやかく言われない予算ができてしまいました。

さらには、官邸主導が進んだことで、財務省の役割はどんどん小さくなっています。

今回の件の背景には、そうした省庁間のパワーバランスの変化が横たわっているように思います。

 

財務省より経産省が問題・・・

多くの人は財務省(大蔵省)が日本のバブル経済崩壊の理由と考えているでしょうが、財務省がやったのはトリガーをひいただけ、と自分は考えています。

 

より大きな問題として、企業部門の生産性の低下は80年代を通じて進んでいました。

それは結局のところ、企業のガバナンスを誰も気にかけなくなった・・・というより気に掛けることができなくなった(株主の意見が通りにくくなった)ことに起因していると思っています。

その仕組みをつくりあげたのは、護送船団方式で右へ倣え、上に習えの経営を良しとした経済産業省(当時は通産省)でした。

自分は、経産省こそバブル経済とその崩壊の戦犯であるとみています。

経済産業省に予算をつけてもろくなことになりません。

この省は、寝ていてくれる方がよほど日本のためになる、と自分は考えております。

以上。