大和ハウス工業でも建築基準法違反~独立基礎の問題解決には多大なコスト発生の可能性

大和ハウス工業でも不正施工~2000棟で建築基準法違反~独立基礎の問題解決には多大なコスト発生の可能性

 

大和ハウス工業でも建築基準法違反事例見つかる

レオパレス21の不正施工問題がいよいよ他社にも波及し始めました。

建築業界最大手の大和ハウス工業は2019年4月12日、同社の建築した戸建て住宅、賃貸共同住宅で建築基準法違反事例が相次いでいたことを公表しました。

 

 

大和ハウス工業の建築基準法違反~耐火構造問題と独立基礎問題

今回の大和ハウス工業の建築基準法違反問題、調査の発端は内部通報によるものとのこと。

今回の問題は主に二つに分けられます。

まず一つ目は、建築基準法では準耐火構造として建設する際、主要構造部には防耐火処置を施さねばならないところ、これを怠っていたというもの。

もう一つは、表層改良地盤や凍結深度が設定された地盤、高低差のある敷地における独立基礎の仕様不適合問題です。

このうち、一つ目の方はまだ優しい問題ですが、二つ目の方はやや深刻です。

とりあえず、見ていきましょう。

 

 

大和ハウス工業における不正施工問題その1、アパートの建築基準法違反

本来、大和ハウス工業の住宅商品は、工場で製造された部材を建設現場で組み立てて施工するものとなります。

この際、仕様に沿った設計、施工がしっかりと管理されていれば、問題は発生しないはずでした。

しかし今回のアパート188棟の事例では、設計者が型式適合認定について誤解。

仕様内容をしっかり理解しないまま設計し、そのまま施工してしまったとのことです。

 

また今回の事案では、設計内容による型式適合認定を受けることにより建築確認時の審査が簡略化されていたことも、問題の発覚を遅らせてしまっていたとのこと。

審査をしっかりしていればチェックできていた事例がスルーされてしまっていたとのことです。

つまりは、「わざとじゃないんだよ」と言いたいようです。

こちらのPDFファイル7ページ目に書かれています。

なお、今後の対応としては、「構造上の安全性能は担保されている」として立ち退きなどは求めずに改修を進めていく方針とのこと。

費用は73棟の改修に関して約1億円を予定しているとのことです。

なお、他の127棟に関してはまだ費用を精査中のもようです。

 

 

 

 

大和ハウス工業による不正施工問題その2、独立基礎の不適合住宅

さて、問題はこちらです。

大和ハウス工業は今回の問題発表においてPDFを配布していますが、より問題が軽い(対処が容易な)共同住宅外部廊下の耐火性能問題を最初に載せています。

しかし問題の重大性からみたら、たぶん後者にのせている独立基礎の不適合問題の方が深刻です。

ざっくり簡単にいうと、軟弱地盤に建設したり、寒冷地などに建設したりするときには、しっかりした基礎を作ることが求められています。

で、基礎にはベタ基礎、布基礎、独立基礎とそれぞれ種類があるわけですが、

ベタ基礎は基礎すべてに鉄筋コンクリを打ったもの

布基礎は柱の下と、それを繋ぐ柱間にも基礎を設置したもの

独立基礎は柱の下のみに基礎を置いたもの

となります。

この独立基礎はコスト削減のために使われることが多いのですが、今回、その独立基礎のサイズが足りていなかったというのが、大和ハウス工業の問題の第二の問題ということになります。

 

※ というか、仕様書をみるとなかなか面白い基礎の打ち方をしていることがわかります。

外壁部分は布基礎で、柱部分は独立基礎で支えるのが本来の仕様のようです。

これがすべて同じ高さの基礎で揃えてしまったのが問題のよう。

これだと大地震の時にねじれ圧力などがかかりやすい可能性がある・・・ということでしょうか。

 

 

大和ハウス工業は独立基礎の問題解決にいくらかかるか明示せず

言うまでもなく、独立基礎は基礎です。

基礎の上には既に構造物が建ってしまっています。

ですから、これをあとから補強するのはかなり難しいと言えるでしょう。

補償は各戸それぞれに行うことになりますが、このコストは各戸との相談とのことなので未だ見積もり不可能のようです。

同社は

今回、型式適合認定を受けた仕様に適合しない物件 1,878 棟については、弊社が考える構造上不利側の条件となる 9 棟について第三者機関に構造安全性を検証いただいた結果、建築基準法が求める必要な構造安全性能が確保されていることを確認しましたが、引き続き残りの物件についても調査します。
今後弊社は、型式適合認定を受けた仕様と異なる独立基礎の施工を行ったことについて、本日(4月 12 日)より、特定行政庁の建築主事に対して当該内容をご報告させて頂くとともに、当該物件を所有されているオーナー様ならびにご入居者様に対しても個別にご説明申し上げ、オーナー様のご意向を踏まえて必要な対応を行います。

と発表しています。

つまり、構造上安全性は担保されていると第三者機関にお墨付きもらってる、納得して我慢しろ、とも読める内容です。

「建築基準法違反だけど、とりあえず構造上の問題はないから我慢しろ」

「構造上の問題はないとお墨付き得ているし、裁判になってもこっちは安全性を主張するぞ」

といいたいのでしょうか。

そうやって半ば脅すような態度を示しておいて、適当なところで金銭的解決できればOKということでしょうか。

なんとも上手な交渉だと思います。

企業の本性というのはこういう時に露わになりますね。

なかなかに素晴らしい。

こういう会社は伸びますね。

さすが大和ハウス工業です。

今後の展開が楽しみですね。

以上です。