【9513】電源開発(J-Power)の業績・決算と株価~海外事業と原発事業に大きく左右される展開に~

【9513】電源開発(J-Power)の業績・決算と株価

今回は電源開発(J-Power)についてみていきます。

電源開発(J-Power)は発電設備規模でみて、国内6位に位置する発電事業者です。

同社は沖縄電力とともに、国内発電事業者には珍しく発電設備構成のなかに原子力のない発電事業者となっています。(2019年4月28日現在)

まずは電源開発(J-Power)の事業内容から見ていきましょう。

 

電源開発(J-Power)の事業内容

電源開発(J-Power)の事業内容は発電、および送電・変電事業などです。

電源開発(J-Power)は日本国内のみならず海外でも活動しており、実のところ、こちらの方が最近では好調です。(後述します)

 

電源開発(J-Power)は地域独占の電力会社と異なり、あくまでも上流の発電と変電、送電のみを行っており、配電は行っていません。

そのため、古くから電源開発(J-Power)は日本全国で活動してきており、その発電規模は国内6位となっています。

 

電源開発(J-Power)は地域独占の電力会社と異なり、これまで原子力発電施設を持ちませんでした。

発電量でみれば火力発電が多くを占めているほか、発電設備でみれば水力と火力が半々となっています。

 

しかし現在、青森県下北半島に大間原発を建設しており、これが稼働し始めると、同社の発電規模は大きく原子力依存を増やすことになります。

なお、この大間原発ですが、2011年の福島第一原発以降に安全強化対策などの追加工事が上乗せされており、工事費はこれまでに約1300億円も増加しています。

追加データの誤りが指摘されたことなどにより当初の計画を大幅に遅延しており、同社のお荷物事業となっています。

国策のために同社は推進するもようですが、経営上のリスクとなる可能性もあり、注意が必要でしょう。

 

電源開発(J-Power)の業績推移

電源開発(J-Power)の業績推移は以下のようになっています。

売上、経常利益ともにトレンドは上向きですが、利益率という点でみるとやや見劣りする傾向になっているように思われます。

近年、電力市場は自由化が進んでおり、各企業間における競争も激しくなっています。

電力小売市場の制度設計も今後大きく変化していくことが予想され、利益ベースに関しては制度上のリスクに大きく左右される展開が予想されます。

 

 

 

電源開発(J-Power)の2018年Q4業績・決算

電源開発(J-Power)の2018年通期決算は上記のようになりました。

前年比の利益増減でみると、発電マージンの悪化により発電事業の粗利が80億円減

設備保全コスト65億増、海外子会社からの利益減、為替差益の剥落などで大きく利益を減らす結果となりました。

ただ、長期的なトレンドから見ると昨年の数字がやや出来すぎだっただけで、あくまでもインラインに戻ったといったところだと思います。

 

なお、今期見通しは売上426億円増、営業利益58億円減を予定しています。

相変わらずマージンの悪化を想定している他、海外子会社利益の減少も予想しています。

なお、セグメント別にみれば歴然なのですが、同社は既に海外事業が無視できない水準に育ってきています。

というよりも、国内事業があまりにも競争激化で厳しい状況なわけですが。

とりあえず、今後はこの海外事業の伸びがどの程度で進むのか、また為替条件がどのようになるか、そこら辺が同社の業績を大きく動かすことになってくるのは確実です。

 

 

電源開発(J-Power)の株価

週足

電源開発(J-Power)の上記のようになっています。

国策企業として上場しておきながら上場時をぎりぎり上回る程度の株価水準というのは、日本の金融市場にとってはあまり好ましいこととは言えないでしょう。

電源開発(J-Power)はPER11倍、EV/EBITDAも11倍そこらです。

まぁ、フェアバリューではあるのですが、政策的なリスクを抱えており、どうしても買いが集まりにくい状況にあります。

とりあえず、株価の長期的な見通しは政策的な要素にブレすぎるのでできない、と個人的には思っています。

 

なお、上記はあくまでも個人的見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。

投資にあたっては自己責任で行うようお願いいたします。

以上。