東アジアの国々は結局のところ封建国家なのである~米中貿易協議におけるアメリカ側の勘違い~
米中貿易協議が暗礁に乗り上げています。
先日も話しました通り、米中貿易協議は完全に妥結不可能だと思います。
市場ではいまだに、数か月以内での妥結を予想する声があるそうです。
日経CNBCの番組では、専門家たちへのアンケート結果を流していましたが、非常に楽観的すぎてびっくりしました。
彼らは、なんというか、大いなる勘違いをしているんじゃないかと自分は思います。
彼らは、「損にしかならない貿易戦争は早期に終わるはず」とみています。
たしかに、貿易戦争はお互いの「国」にとって損にしかなりません。
でも、国単位じゃないんですよ、中国は。
国民が苦しくても、上級国民がいい生活できていればいいんです。
上級国民による統治システムが揺らがなければいいんです。
北朝鮮をみてみてください。
あの国も国単位で見たら貧しくなっていっています。
しかし、上級国民たちはどんどん肥え太っていっていますよね?
中国も同じです。
庶民がどうあれ、その庶民の不満を抑え込めたり、そらさせたりしながら、上級国民が満足な生活をできればそれでいいんです。
これは日本も同様ですし、韓国も同様です。
上級国民が良い生活できれば、国全体として貧しくなっても問題になりません。
国民に不満が高まったら、日本の宗教的権威である皇室を利用したり、サッカーやオリンピックで日本代表をねぎらって、庶民アピールすればいいんです。
それでも国民が不満を溜めているようなら、選挙制度を上級国民が統治を維持しやすいように変えていけばいいんです。
日本はそうやって統治をしてきました。
結局、東アジアの国はすべて封建社会なんです。
アメリカはそうはいきません。
がっつりと民主主義が根付いていて、選挙をいい加減にやるわけにいきません・・・といいながら、最近はかなり好い加減な選挙も起きているようですが。
とりあえず、貿易戦争の話に戻しますと
上級国民の生活にまで影響が大きく及ぶようなら、中国も変化するかもしれません。
しかし、そうならなければ中国に折れることを期待するのは無理でしょう。
報道によれば、李克強首相や劉鶴副首相など政府系の人々は交渉妥結を目指していたものの、中国の軍産複合体や共産党系企業など、補助金で美味しい生活をしている連中が早期妥結に猛烈に抗議したとのこと。
事実はどうだかわかりませんが、習近平と仲がいいというだけで副首相になった劉鶴副首相に対するやっかみも大きいとのことです。
直前になって中国側が文言整理を要求した背景には、そういったいろいろがあったのじゃないかと以前書きましたが
⇒米中貿易交渉の邪魔をしたのは誰なのか?~「航行の自由作戦」と関係? 2019年5月9日
やはりそういった見立ての記事が増えてきた印象があります。
この流れはかなり長引くと思います。
数年経って痛みに耐えられなくなったら変化があるかもしれないし
もし痛みに耐えられるようになったら、変化しないかもしれない。
中国側に変化を期待するのは無理でしょう。
日本も中国も韓国も北朝鮮も、東アジアの国は基本的に、封建国家なんです。
そこを踏まえて、上級国民にインセンティブを与えるようにしなければ、交渉はまとまりません。
アメリカは、東アジアの国々をちょっと高く見積もりすぎています。
そこが、すべての勘違いのもとだと思います。
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