為替報告書には要注意
例年4月、10月に発表される為替報告書の公表が遅れています
この背景に、「なんらかの政治的な意図があるのではないか」
との指摘をする市場関係者の方も多くなってきています。
ちなみに、自分もそう感じています。
今回はそのあたりを軽く解説していきます。
為替報告書とは?
まず為替報告書について軽く説明しておきます。
これは米財務省が年に二回、4月と10月に議会に提出する為替政策の評価・分析報告書です。
為替安誘導などによって自国の輸出競争力を高めようとしている国を「為替操作国」として認定することもあり
為替報告書として認定されると、当該国は何らかの改善措置を取らなければならなくなります。
そして、何も改善しないなら高関税を課されることになるわけです。
為替報告書における為替操作国の基準は?
この為替操作国の基準というのが問題です。
じつは、恣意的に動かせるようになっています。
前回2018年までは、
- 年間200億ドル以上の対米貿易黒字
- GDPの3%以上の経常黒字
- 為替市場を通じて通貨安誘導を行っている
という三つが条件で、その二つに当てはまると監視国、三つに当てはまると為替操作国にあたることになっていました。
為替報告書における為替操作国の認定基準が変更?
今回、この為替操作国基準が変更されるのではないか?という憶測が流れています。
一部にはGDPの3%以上の経常黒字が2%に引き下げられるのではないか
などと言われています。
その計算に手間取っているから発表が遅れているのではないか?というわけです。
商務省は為替報告書を参考に各国補助金の計算方法変更か?
なお、米商務省はこれに先立って、自国通貨を低く保っている国は実質的に補助金を与えているのと同じだとして、
旧来型の補助金に加え、それら為替を通じたダンピングぶんもふくめて不公正取引を摘発していく方針を示しています。
これが実現するとドイツ、スイス、日本、韓国、インド、の製品が当てはまる可能性があるとされており、非常にむずかしい状況になってきているように思われます。
とりあえず為替報告書の内容には要注目となっています。
以上です。