三菱重工がボンバルディアから小型機事業を買収か~背景にMRJをめぐる訴訟問題か~
三菱重工がボンバルディアから小型機事業を買収、と報じられる
三菱重工がボンバルディアから小型機事業を買収へ、と報じられています。
ボンバルティアはカナダの重工メーカー、鉄道や小型旅客機に強みを持つメーカーです。
小型機事業ではブラジルのエンブラエルと双璧でありますが、近年、エンブラエルは商用機をボーイングに統合する方針となっており、
規模で劣るボンバルディアとしてはボーイングに対抗するよりもどこかに売却しようと探っていたそうです。(鉄道事業に集中したいという思惑のよう。)
三菱重工の他にも数社、ボンバルディアとの接触を持っていた企業はあるそうですが、一番高い提示を行っているのが三菱重工のようです。
三菱重工MRJとボンバルディアは係争中
三菱重工がボンバルディアに興味を示すのは、たぶんですが、三菱重工とボンバルディアの裁判が関係していると思われます。
三菱重工は子会社でリージョナルジェットのMRJを開発しています。
このMRJの型式証明をとるさいにアメリカで試験を受けるのですが、そのための諸々の対策をするのに、元ボンバルディアの技術者を数人採用したそうなのです。
このことをボンバルディアは問題視。
社内のノウハウを他社に流出させ、利用したとして三菱重工傘下の三菱航空機と、MRJの協力会社であるエアロテックの従業員を提訴。
このうち三菱航空機に関しては連邦地裁でボンバルディアの訴えを棄却するとの判断が出されていますが、今後も修正して提訴することが可能になっているとのことで、解決までには相当の時間がかかることが想定されます。
また、関連する従業員に対する訴訟も確定しておらず、この件を長引かせることはMRJの開発において損、という判断を三菱重工側がした可能性は高いと思われます。
ボンバルディアの小型機事業買収はかなり難しい経営に
今回、どの程度の金額で折り合いがつくのかわかりませんが、前提が前提ですので、かなり割高な価格でつかむことになるんじゃないかと思います。
リージョナルジェット機市場は今後中国やロシア企業、そしてボーイングなどが入り乱れて競争が激化していくみこみとなっています。
もしボンバルディアの小型機事業を買収するにしても、かなり本気で経営を立て直そうとしなければ、新たなお荷物事業を抱えることになりかねません。
とりあえず、三菱重工の経営陣のこれまでの手腕を考えると、いろいろと大変そうだなぁという印象です。
以上。