ホルムズ海峡はエネルギー輸送のチョークポイント~マラッカ海峡よりも最重要
ホルムズ海峡は最高のチョークポイント
アメリカのトランプ大統領が、ホルムズ海峡での警備を何故アメリカだけがやらねばならんのか、みたいなtweetをしています。
China gets 91% of its Oil from the Straight, Japan 62%, & many other countries likewise. So why are we protecting the shipping lanes for other countries (many years) for zero compensation. All of these countries should be protecting their own ships on what has always been….
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) June 24, 2019
このStraightってのは、Strait of Hormuzのことだと思います。
うーん、トランプ大統領らしいですね。
たぶん誰も校正していないと思われますw
中国は、確かにその原油のほとんどをホルムズ海峡軽油で受け取っています。
日本も同様です。
たぶん他のアジアの国々もほとんどがそうです。
そのくらい、ホルムズ海峡はチョークポイントです。
アメリカだけが何でタンカーの護衛やらねばならんのか、日本もやれ、中国もやれ、というのはある意味で筋が通っています。
ホルムズ海峡はマラッカ海峡よりもチョークポイント
中学高校の地理では、マラッカ海峡の重要性を非常に強く教え込まれたと思います。
日本のシーレーン上、マラッカ海峡は非常に重要なチョークポイントです。
しかし、こと石油に限ってみると、ホルムズ海峡はマラッカ海峡よりも上です。
マラッカ海峡よりも約1.1~1.2倍程度の原油および関連ケミカル製品がホルムズ海峡を通過します。(年度にもよりますが、マラッカ海峡が上回った年はたぶんありません。)
ちなみに、中東の原油を欧州に運ぶスエズ運河を通過する石油製品類はホルムズ海峡の1/5程度。
メキシコ湾岸の原油を輸送するためにパナマ運河を通過する量は、ホルムズ海峡の1/20程度です。
そのくらい、ホルムズ海峡の重要性は高いといえます。
エネルギー輸送のチョークポイント、ホルムズ海峡でタンカー攻撃
記憶に新しいところですが、2019年6月13日、ホルムズ海峡で日本の国華産業の 「コクカ・カレイジャス」 およびノルウェーのフロントラインの 「Front Altair(フロント・アルタイル)」の二隻のタンカーが何者かによって攻撃を受けました。
この背景にイラン革命防衛隊が存在するとアメリカはイランを非難。
逆にイランは、アメリカなどのBチームが仕組んだワナだと批判をしました。
こうした状況を受け、この地域を通過する船の保険料が一気に20倍にも跳ね上がったそうです。
今後このコストはガソリン価格などにも跳ね返ってきます。
困ったものです。
言葉解説:チョークポイントとは?
チョーク(窒息)してしまう地点ということ。
その地域で何か大きな問題が発生すると、世界経済が窒息してしまう水上の地点のことを指す用語。
シーレーンにおいて重要なポイントを指しており、スエズ運河、パナマ運河、ホルムズ海峡、マラッカ海峡などのほか、フロリダ海峡、ジブラルタル海峡、ボスポラス海峡、関門海峡などが挙げられます。
とりわけホルムズ海峡は他に迂回する水路がなく、陸上のアブダビ系パイプラインを経由するほかにエネルギーの輸送経路がありません。(パイプライン輸送量には限度があります)
この意味で、ホルムズ海峡の安全確保は世界経済にとって非常に重要といえるわけです。
以上。