中国、バッテリーメーカー推奨のホワイトリスト完全撤廃へ~CATL優位を確認し方針転換~
中国政府がEV向けホワイトリストの完全撤廃を決定
中国工業情報省が発表したところによりますと、中国は電気自動車向けバッテリーの推奨リスト、通称ホワイトリストを完全に廃止したとのことです。
このホワイトリスト、国外のバッテリーメーカーや政府などから非関税障壁であると以前より批判を浴びてきました。
今回、中国政府がこれを撤廃するに至ったのは、ひとつにはそうした批判の声にこたえるという意味があります。
そしてもう一つは、どうせもうすぐ補助金が削減されるという事実。
そしてさらには、CATLやBYDの競争力が十分に強まっている・・・という事実があるとおもわれます。
China scraps list of recommended auto battery suppliers: ministry ロイター
EV向け推奨バッテリーメーカーリスト、通称ホワイトリストとは?
今回撤廃されることになったホワイトリスト
このホワイトリストについて軽く解説しておきます。
中国は電気自動車やプラグインハイブリッド車の普及をはかるため、補助金をたっぷりつけています。
ですが、この補助金はすべてのEVにつくわけではなく、中国政府のお墨付きを得たバッテリーメーカーのバッテリーを利用しているEVだけが補助金を得られる・・・そういうことになっていました。
この推奨バッテリーメーカーのリストが、いわゆるホワイトリストというものです。
こうした中国政府のやり方には、非関税障壁にあたるとしてEUやアメリカ、日本、韓国などの政府、メーカーから批判が出ていました。
こうした流れを受け、昨年あたりからは
「ホワイトリストは撤廃される」と報道が相次いでいました。
実際、実務ベースではホワイトリストは既に気にしなくてもいい、と言っているメーカーの方もいました。
今回の発表は、ようやくホワイトリストが完全に撤廃されることが正式に発表された、ということになります。
ホワイトリスト撤廃より前に、補助金の減額を発表
なお、今回のホワイトリスト撤廃ですが、じつはこれに先立ってEV向けの補助金の減額が発表されています。
つまり、ホワイトリストに選ばれるメリットが大きく削られた状態になったあとで、ホワイトリストの撤廃が正式に発表された、ということになります。
なんともいいタイミングです。
ズルいなぁw
ホワイトリスト撤廃は、CATL(寧徳時代新能源科技)やBYDの優位を確認したから?
今回のホワイトリスト撤廃ですが、個人的には上記の理由の他に、昨今相次ぐCATLと世界各国の自動車メーカーとの提携があるようにみています。
CATLは既に世界最大のリチウムイオンバッテリメーカーです。
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以前はパナソニックが世界最大でしたが、昨年にあっさりと抜かれてしまいました。
最近ではホンダやトヨタ、欧州車メーカーなどとも提携をし、供給契約を結んでいます。
以前も書きましたが、こうしたCATLの地位向上の背景には、習近平との密接なつながりがあったと思われます。
とりあえず、CATLの圧倒的優位性は確定したとみて、中国政府はこの業界の自由化をようやく認めた・・・のではないかと個人的にみています。
中国ホワイトリスト撤廃で潤う企業
中国のホワイトリスト撤廃で潤う企業としては、サムスンSDI、LG化学、パナソニックなどがあげられるでしょう。
ただパナソニックは昨今、少々財務的に新たな需要にこたえるのが難しくなりつつあるようにもみえます。
今後は財務力に余裕のある企業が、中国内から大きく育つ可能性もあり、競争激化には注意が必要な状況です。
以上。