米政府の中国「為替操作国認定」で何が起きるか~人民元安を受けた臨時措置~

米政府の中国「為替操作国認定」で何が起きるか~人民元安を受けた臨時措置~

 

米政府が中国を為替操作国に認定

いやはや驚きました。

年に二回ある為替政策報告書の提出を待たず、米財務省が中国を為替操作国に認定しました。

これは、たぶんに政治的な動きです。

トランプ大統領はこんなtweetをしています。

1ドル7人民元の壁が崩れたのを受けてのtweetです。

「中国は意図的に為替を安くしている、為替操作をしている」

と主張しています。

 

でも、それは違うと思います。

むしろ逆

中国は人民元を買い支えようとしていたはずです。

「1ドル=7元」の人民元安は政府主導の為替操作ではないはず~トランプ大統領は吠えているけど・・・

つい先ほど、数時間前に書いた記事です。

この時はまだ「為替操作国に認定」との報道は耳にしていませんでした。

まさかこんな早くに行うとは思っていませんでした。

いやはや、びっくり。

タイムリーですね。

 

為替操作国の基準から外れている中国

米財務省が為替操作国と認定するには、三つの基準が存在しています。

 

1.財の貿易における年間対米黒字額が200億ドル以上

2.経常収支が対GDPで3%以上

3.一方的かつ継続的な為替介入が過去12か月でGDPの2%以上

 

この三つを満たして、ようやく為替操作国に認定される、というのがこれまでの米財務省の説明です。

じつは、中国はこれを満たしていません。

というより、1の対米貿易黒字額以外は満たしていません。

よって米財務省は年二回、為替操作国に認定するかしないかを認定しますが、これまで中国が認定されたことはないんです。

ちなみに、日本、韓国、インド、スイス、ドイツは2項目を満たしています。

中国よりも為替操作国と認定されやすい状況です。

 

 

為替操作国の認定基準が変化した?

今回、今までの基準で為替操作国から外れていた中国が、為替操作国と扱われることになりました。

ということは、なんらか認定基準が変化した可能性があります。

今まで貿易黒字額以外は満たしていなかったのに、いきなり、臨時措置で為替操作国に認定されたのです。

 

基準が変化したのでなければ問題がないのですが、変化したのであれば、どのあたりの基準が変化したのかが重要です。

それによっては、日本も為替操作国と認定される可能性が出てきてしまっているわけですから。

 

 

中国の為替操作国認定で何が起きるか?

で、これからが問題です。

中国の為替操作国認定で何がどうなるのか。

 

簡単に言うと、人民元の対ドルレートを引き上げるように求めることができることになります。

 

それに中国が応じなければ、対中関税がより一層上がる可能性があります。

もちろん、引き上げるかどうかは米政府次第なんですが、とりあえず、その前段階が整えられたということになります。

 

ただまぁ・・・いまさら関税が上がろうがどうしようが、中国にとってはあまり関係がない気がします。

むしろ問題は、アメリカの方ではないか、と思います。

ISMなどの指標からはサービス業の失速懸念も浮上しています。

この状況で輸入物価が大幅に上がりかねない状況はかなり嫌気されると思います。

 

米政府としては、中国を為替操作国と認定したはいいけれど、次の展開につなげられない可能性もあります。

そのあたりに注目でしょう。