マスク転売禁止は愚策~転売屋を叩いて人気取りしてるだけ~

マスク転売禁止は愚策~転売屋を叩いて人気取りしてるだけ~

 

マスク転売禁止では何の解決にもならない~転売屋を叩くより増産を急ぐべき~

日本政府はマスクの転売を禁止するそうです。

取得時を超える価格で販売することを禁止して、違反すれば一年以下の懲役または100万円以下の罰金を科すとのこと。

マスク転売、取得時超える価格禁止 医療用や産業用も 日経新聞

 

まったく愚かなことを考えたものです。

これは何の解決にもなりません。

マスク不足は転売屋が転売目的で買い占めているから起きているのではありません。

そもそも生産量が絶対的に足りていないことが問題なのです。

供給側が足りず、需要が圧倒的に多いのです。

まずその環境が先にある、その認識が必要です。

 

マスク転売屋が稼げるのは、需要が圧倒的に供給を超過しているから

マスクの転売で稼いでいる人がいるそうです。

それがどの程度いるのかは知りませんが、マスメディアがそうした事例を一生懸命探し出してきては、センセーショナルに報じています。

国民はそれをみて

「自分達の手元にマスクがないのは転売屋のせいだ!」

と思いこんでいます。

それは大きな間違いです。

 

転売屋が需給バランスを壊しているのではありません。

単純にマスクの生産が足りてないんです。

 

日本国民はだいたい1億2601万人いるそうです。

このうち生産年齢人口は7504万人だそうです。

65歳以上人口は3585万人だそうです。

 

日頃働いている生産年齢人口の人々が1日3枚ずつマスクを利用したとすれば、それだけで2億2000万枚のマスクが必要なんです。

65歳以上、15歳未満の人々も1日1~2枚は使ったとすると、おおまかに言って、1日3億枚のマスクが必要なわけです。

 

さて、それでは今現在どの程度のマスクを作っているのでしょうか?

 

 

マスク転売屋を叩くのはお門違い~圧倒的に足りていないマスク生産量~

マスクの生産量ですが、経済産業省のページに特設されているのでそれをみてみましょう。

 

現状では、国内メーカーは24時間体制で、通常の3倍の増産をしているそうです。

これで供給できるのは、週に1億枚とのこと。

 

たったの1億枚ですよ?

1日あたりではありません。

週に一億枚です。

 

こうした状況を改善するため、経済産業省は「マスク製造設備導入支援補助金」を創設したそうです。

これを興和株式会社、XINS、ハタ工業などが申請。

興和は3月第2週にライン新設し、設置後一カ月で1200万枚を増産するそうです。

 

・・・たった1200万枚!?

しかもこちらは月毎ですよ?

つまり週あたり300万枚増加するかしないか。

全体でみれば3%増えるかどうかってところです。

 

どう考えてもマスク生産量がたりていません。

先に書いたように、必要なマスク量は一日あたり3億枚です。

一週間で21億枚です。

これに対して、マスクの供給量は一週間で1億枚ちょっとでしかない。

 

そりゃマスク価格は上がりますわ。

どう考えても上がらない方がおかしいです。

 

マスクの転売を禁じたら自分の手元にマスクが届くと思っている方がいるなら、それは全く愚かです。

中卒ですらそれが間違いなのがわかるんですから、政治家のセンセイ方はみんなそんなことはわかっています。

 

さて、この状況でマスク転売が禁止されました。

どうなるでしょうか。

 

マスク転売禁止すれば在庫が市場に流れなくなるだけ

先に書いたように、政府はマスク転売を禁止しました。

いや、実際には仕入れ値と同値での転売は禁止していませんが、1円でも利益が出たら刑事罰に問われるそうですから、送料等の問題も含めて考えたら、ほぼ完全にマスク転売は禁じられたとみて良いでしょう。

大手オークションサイトやメルカリなども、マスクの出品を禁じることにしたそうです。

 

さて、これからどうなるか?

 

在庫が死蔵されるだけです。

 

今まで生産したぶんは、転売屋などが溜め込んでいたのでしょう。

その溜め込まれたマスクが死蔵されて市場に出てこなくなります。

裏では流通するものもあるかもしれませんが、かなり流通量は少なくなるでしょう。

 

どう考えてもこれは愚策です。

カネを幾ら出してでもほしい、という人々のところにマスクが行かなくなります。

本当にマスクが必要で、10万でも100万でも出して買いたい・・・そう考えている人々のもとにマスクが届かなくなります。

 

まったく愚か。

今まで作ったマスクは市場に流通せず、より一層マスクの欠乏は続くはずです。

 

 

マスク転売禁止は国民の不満を逸らすためにやってるだけ~マスク生産を20倍超に増やすべき

 

国民には、マスクが足りません。

マスクがないため、不満を高めています。

 

安倍政権としては、この不満が自分達に向かってくることを恐れているのでしょう。

だから、マスク転売業者を叩くことで、自分達の失政から目を逸らさせようとしているわけです。

 

でもそんなことをしてもマスクは人々の手元に届きません。

どう考えても、マスクの生産量が絶対的に足りないんです。

この状況でマスクの転売業者を叩いたところで何も解決しません。

生産量を増やすしかないんです。

 

しかし安倍政権は、マスク生産量を増やすことにはあまり積極的ではありません。

 

「どうせそのうち新型コロナウイルスの蔓延もおさまるだろうから、その時になったらマスクがあまる。マスクが余ったら勿体無いから、生産量は今の水準よりちょっと増えればいいや。とりあえず補助金制度作ったから民間でやってくれ。」

 

そんな感じでしょう。

 

まったく愚かだと思います。

この期に及んでも、これが対ウイルス戦争であるということが理解できていません。

コロナウイルス相手の戦争なんですから、戦力の逐次投入はやめたらいい。

非効率を覚悟で、出来る限りの増産を進めるしかないんです。

その責任は日本政府がとればいいんです。

それが戦時体制ってもんでしょう。

 

戦争が終わった後のことを考えて戦争する奴は愚かです。

やるならやる、徹底的にやるしかない。

いまやるべきことは、自由経済の担い手である転売屋を叩くことではなく、マスク生産を日本政府主導で20倍超に増やすこと。

それ以上でもそれ以下でもありません。

おしまい。