李克強首相 中国国務院で財政拡大方針を明確化

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中国が超絶景気刺激姿勢を鮮明に 金融緩和と財政拡張で物価と為替と経常収支には要注目

 

先日も書いた通り、中国が景気刺激への姿勢を鮮明にしています。

中国、景気刺激鮮明に 金融リスク先送り懸念も 日本経済新聞

中国の社会融資総量が回復、SHIBORも急低下、金融のデレバレッジを一旦あきらめた可能性 当ブログ記事(7月15日)

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米国との貿易戦争の影響を和らげるため、これまで進めていたデレバレッジ(過剰な債務の削減措置)を一旦棚上げ、金融緩和姿勢に転じるとともに、次いで財政刺激策も導入するようです。(なお方針はデットエクイティスワップによるデレバレッジを進めるとなっていますが、実際にはそれよりも拡張的な財政の影響の方が大きいと思われます。)

中国、一段と積極的な財政政策を推進 法人税減税など実施へ ロイター

対米摩擦に対応 財政積極化 毎日新聞

中国、内需拡大に向け的を絞った政策打ち出す-貿易摩擦に対応 ブルームバーグ

 

 

この方針に関しては中国人民銀PBOCなどからは批判が出ていたようですが、

人民銀幹部が財政政策批判 「透明性不十分、公衆からの監督欠如」 産経新聞

 

李克強首相と劉鶴副首相の腹は決まっているようです。

中国国務院の発表としていくつかの政策が打ち出されています。

李克强主持召开国务院常务会议 部署更好发挥财政金融政策作用等

ブルームバーグの記事だけでは足りませんので、上記をもとに補足して書いていきます。

要点は以下

  1. 財政政策を積極化
  2. 減税により税負担を1兆1000億元減らす
  3. 研究開発費の控除比率を75%に引き上げ、650億元規模の追加減税
  4. 1兆3500億元を地方債発行で年内に調達、早期に結果が出るようすぐに投資してインフラプロジェクトの建設を促進
  5. 社会融資規模と豊富な流動性の確保
  6. 預金準備率を引き下げるので、商業銀行は小規模零細企業を救済するために利用すること。債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)もしていくこと。
  7. 国家融資担保基金※による融資を毎年15万回ずつ増加させ(ここ間違ってるかも)1400億元融資する目標達成を目指す
  8. ゾンビ企業を断固として取り除き、無駄な資金利用を削減すること
  9. 違法金融機関や行為を厳しく制限
  10. 輸送、石油、ガス、電気通信のプロジェクトに民間からの投資を促進するため、明確な投資リターンの仕組みと商業可能性を示す
  11. 外国からの投資に高いレベルで開放すること。インセンティブをあたえること。契約された外資とのプロジェクトを着実に実行すること。
  12. 建設中のプロジェクトが停止や未完了にならないように指導
  13. 基礎研究と中核技術研究を強化

※国家融資担保基金

中国、国家融資担保基金を設立へ_中国網_日本語 – チャイナネット

 

 

 

とりあえず金融面について書くと、いまから行おうとしていることは、過剰債務に苦しむ企業を救うために、まずは商業銀行にジャブジャブとマネーをながす。そのマネーを利用してデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)をして不良債権処理をすること。

そうすることで債務比率の減った企業は、再度設備投資なり生産活動を行いやすくなる・・・そうやって過剰債務を削減しよう、ということ。

これはちょうど1998年~の日本を参考にしていると思います。というか、中国もほぼ同時期に不良債権処理問題を抱えていましたから、デットエクイティスワップを利用した再建策はやったことがあります。今回は、その時の成功体験(じつは成功してないんですけどね)を辿ろうとしているのだと思います。

なお、債務を株式化する(DES)ということは、銀行から見れば債権を株式化するということ。これをやると返済期限は無期限化になり、配当も少なく、株式を市場で売却できなければ(大体の場合、Exitは早くて数年後)銀行の流動性リスクも高まります。ですから、そうならないように人民銀PBOCがジャブジャブにマネーを流すから、DESをガンガンやってくださいよ、と言っているわけです。

ただそういうことやると(官僚や政治家と仲良しの企業が)ゾンビ企業が生き残っちゃうことになりかねないから、そういうのは断固として排除しなさい。違法なことは断固として取り締まります。

と言っているわけです。

これが5、6、8、9あたりに書いてあること。

ってかSHIBORすげぇ動いてます。ジャブジャブです。

 

 

 

 

 

 

 

そして1、2、3、4、12あたりに書いてあるのが財政的なこと。

財政拡大するよ。プロジェクト投資再開するよ。プロジェクトの途中で止まるようなことがないように資金を供給していくよ。減税(と、たぶん公共料金引き下げ)もしていくよ。

ということ。

ここで関係してくるのは、河北省雄安新区関連や西域の開発などだと思います。(中部、西域のインフラ投資拡大は、李克強首相の談より)

これによって、セメントメーカーの中建西部建設(002302.SZ)、西蔵天路(600326.SS)などが暴騰していました。ほか新疆天山水泥(000877.SZ)、寧夏建材(600449.SS)、新疆八一鋼鉄(600581.SS)などが関連銘柄。

あとは2線級都市以下の再開発ですか。かなり不動産が高騰していますから、供給が需要に追い付いていないのだと思います。スラム街の再開発が再開するかもしれません。それは不動産各社には追い風になります。

 

 

なお、この方針を受けて上海鉄鋼先物と大連鉄鉱石先物は動いています。

上が鉄鉱石、下が鉄筋です。

 

とりあえず、中国のこれら政策からは、今回の貿易戦争に勝つぞ、という強い意志がみえます。

 

 

ただ、ことはそう簡単ではないと思います。

重要なのは、中国国内の物価動向と為替、経常収支の推移になると思います。

 

 

物価動向次第で、この方針の持続性が試されると思います。

経常収支は下手をすると赤字急拡大に向かう可能性があります。

国際収支統計における誤差脱漏の問題も含め、動向には注意が必要です。

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為替は、アメリカ側の警戒感を誘う方向に向かう可能性があります。

もしこれにアメリカが同じような方向の政策をとった場合(たぶんないとは思いますが)、日本円には円高圧力がかかります。

そういった点まで含め、注意が必要だと思います。