中国8月企業向け融資が伸び悩み~住宅ローン拡大でいずれ消費に悪影響か

中国8月企業向け融資が伸び悩み~住宅ローン主体の個人向け融資は伸びる

 

12日発表のデータなのでちょっと古いのですが、中国の新規人民元建て融資、社会融資規模統計などをちょっとみていきましょう。

 

 

ここにきて、中国の金融機関の融資が、企業から個人向けにシフトしてきています。

中国新規人民元建て融資、8月は1.28兆元に減少 予想下回る ロイター

 

まとめると

  • 8月の新規人民元建て融資は1兆2800億元(1864億ドル)で、前月(1兆4500億元)から減少
  • マネーサプライM2は前年比8.2%増
  • 8月末の人民元建て融資残高は前年比13.2%増、増加率は前月と変わらず。
  • 1-8月の新規融資は11兆7600億元、前年同期から19%近く増加
  • 8月は企業向け融資が6127億元。前月の6501億元から減少。
  • 8月は個人向け融資が7012億元。前月の6344億元から増加。
  • 新規融資に占める個人向け融資比率が、前月43.8%から今月54.8%に上昇
  • 8月社会融資総量は1兆5200億元で前月1兆0400億元から増加
  • 8月末時点の社会融資総量残高は前年比10.1%増の188兆8000億元(27兆4900億ドル)
  • 8月末時点の外貨預金残高は7665億ドル。7月末時点は7687億ドルだった。

 

共産党政府からは融資を増やせと言われている。

調達金利は超低い。

とりあえず、融資は増やしたい。

けれど、米中貿易戦争の行方もどうなるかようわからんから、企業向けへの貸出は怖い。

とりっぱぐれなさそうな個人向けに貸出増やそうか

・・・といった感じでしょうか。

 

 

 

どうも中国は、ちょっと金融緩和するとすぐに不動産マーケットに資金が流れる傾向があります。

それはひとえに、企業会計が信用できないことがあるのでしょう。

土地神話というよりも、土地のような形が目に見えるものしか信用できない悲しさが表れていると思います。

 

不動産市況の順調さは、先日のこちらの統計からも見えます。

関連記事:中国2018年8月不動産投資統計

 

 

債務整理の影響で4月ころまで下落傾向だった不動産マーケットのセンチメントも、現状では右肩上がりに戻っています。

 

 

個人向けの融資は伸びていますが、自動車の販売は落ちています。自動車の生産も落ちています。自動車分野はかなり厳しそうです。

中国2018年8月小売売上高

中国2018年8月鉱工業生産指数

重慶長安汽車の業績をみてみよう~自動車販売低迷で急降下中!~マツダ、フォード、PSAとも合弁~

 

 

住宅取得への背伸び支出が個人消費に悪影響を与える構図は、間違いなくすぐそこまでやってきています。

中国はまだ一人当たり名目GDPが1万ドルに達していません。8800ドルくらいです。

でも北京や上海、深圳などでは11000くらいまでは達してきています。

つまり、韓国がIMF管理に入る直前のあたりまできています。

あの当時も韓国人はこぞって消費をしていました、今の中国人のように。

 

 

この道は、いつか来た道だと思います。

自動車販売、衣料品販売、化粧品販売などにはより注意が必要と思います。