中国国務院、内需拡大のため諸政策発表で中国株が二年ぶりの大幅高

中国国務院が内需拡大策を発表、中国株が二年ぶりの大幅高

 

米中貿易戦争による景気への下押し圧力が表面化するなか、中国国務院と共産党中央委員会は内需拡大、消費刺激策を20日に発表~これを受けて、中国株が2年ぶりの大幅高になっています~

 

China redoubles efforts to boost domestic demand as trade war bites ロイター

Chinese stocks have best week since March 2016 as investors cheer … South China Morning  Post

 

この発表のなかで、とくに新エネルギー車に関する政策が充実。

購入税減免など税制優遇措置や、都市部駐車設備における新エネ車の充電設備の建設補助などが発表された模様で、これを受け関係する銘柄が大幅高になっています。

これは、最近になって自動車関連の販売指標、生産指標に下振れが目立っていたことが理由と思われます。

 

中国の自動車販売は落ちてきています。

UPDATE 2-China auto sales drop again on trade war, economic gloom ロイター

 

 

鉱工業生産でみても、8月に中国の自動車生産はマイナスに転じてきているのがわかります。

中国2018年8月鉱工業生産指数

自動車生産は非常に裾野が広い産業であり、鉄鋼、ガラス、化学製品、電子部品など、ありとあらゆる製品を使用しますので、これが落ち込むことは産業においてダメージが大きいと判断したのだと思われます。

 

 

 

この中国の自動車販売の減少は、米中貿易戦争の影響による中国経済の下押し圧力のせい・・・と思われがちですが、実際には異なる可能性が指摘されています。

2017年暮れころから、中国は本格的に金融引き締め・デレバレッジを加速させました。

これは、民間非金融部門の債務増大を避けるための措置だったのですが、それが中国の自動車販売に大きく影響してきているという指摘です。

とくに、個人間のP2P金融(ピアツーピアファイナンス)への引き締めが自動車販売の動向に大きく影響していると言われています。

以下の記事によると、中国におけるP2P金融業者は2017年末には8000を突破。

その多くが杜撰な管理状態にあり、金利は銀行の数倍、返済能力がろくにない対象にも貸し付けたせいで焦げ付きが発生、貸し手側に資金を返すことができなくなりトラブル発生。

これに対して政府が浄化対策をとって、5704件のP2P金融業者を閉鎖。

サンフォード・バーンスタイン氏の調べによると、2017年のP2P融資による顧客の約10%が若い自動車購入者だったとのこと。P2Pレンディングによる自動車購入押し上げ効果が10~15%程度あったのではないか、と試算しています。

このP2P融資が6月には前年比で29%減に低下。7月8月もこの影響が出ており、それが自動車販売の下押し圧力になっているとの指摘です。

Why China’s auto sales are sagging Automotive News

 

 

なお、中国の自動車生産に関してみると、総生産設備の3割超が稼働していない遊休資産であるとの報告もあります。

自動車各社、中国政府の「過剰設備対策」に戦々恐々 ダイヤモンド

 

 

 

生産設備がただでさえ過剰で、しかも販売面からも下押し圧力が加わっているのが現在の中国の自動車産業の問題点です。

これとよく似た構図はかつて2000年当時の北米市場でもありました。三菱自動車が非常によく売れていたのですが、融資基準が緩かったから売れていただけだったということがありました。

その後、三菱自動車は業績が傾いて三菱グループの支援を受けることになります。

これと似たことが今の中国では大規模に起きている可能性が高い。

 

 

 

先ほども書いた通り、自動車産業が産業全体に与える影響は非常に大きい。このセクターの低迷だけは絶対に避けたいのが中国政府の考えだと思います。

今回、中国政府が新エネルギー車(電気自動車や燃料電池自動車など)を景気浮揚対策の中心においてきたのは、たぶんにそういう理由があろうかと思われます。

 

 

今回の中国政府の景気刺激策を受け、電気自動車関連銘柄が大きく上昇しています・・・が、どうもチャートを見ると数日前から情報が漏れていた臭いですね。

5分足で見てみましょう。

 

BYD (HK:1211)

 

 

広州汽車(HK:2238)

 

 

長城汽車(HK:2333)

 

 

 

江西カン鋒リチウム/ガンフォンリチウム(002460)

 

とりあえず、中国らしく情報の非対称性がひどい(笑)

たぶん、ここもと世界的に銅などの資源を先走って買っていたのも中国発のマネーだったのではないか?という気がします。

中国経済が大きくなればなるほど、市場はAIではなくヒトの果たす役割が大きくなるのではないか、とすら感じます。

 

 

とりあえず、こんな感じで中国は景気下支えをするそうです。

彼らは遮二無二になって内需刺激をしてきています。

日本でも、関連する銘柄(主に電気自動車関連)には追い風になるでしょう。

以上です。