【排ガス不正】道路運送車両法75条は公害防止と環境保全を目的としたもの~スズキ、マツダ、スバルは即刻リコールすべきでは?

排ガス不正問題に思う~道路運送車両法75条は自動車の安全性増進だけでなく、公害防止と環境保全も目的だったはず~

型式指定に反する検査をしてきたのに、リコールして新規検査しないスズキ、マツダ、スバルは論外ではないか、という話。

 

日産、スズキ、マツダ、スバルなど、日本車メーカーの完成車検査における不正が相次いで発覚しています。

あまりにもしょっちゅう報道されるので、みんな感覚がマヒしているのだと思います。

最初の日産の事件の時にはあれほど騒いでいたのに、いまでは

「この検査基準自体が厳しすぎるんだよ」

「どうせ検査自体が利権の塊みたいなものだろ」

「あまり厳密にやりすぎると経済にも悪影響が出るからやめとくべき」

みたいな論調が増えてきています。

日経新聞では、完成車不正事件があっても一面で取り上げることがなくなりました。すべて2面以降で軽くふれるだけです。

まったく嘆かわしいと思います。

これは非常に重要な事件です。

 

 

 

そもそもにおいて、この型式指定が導入されたのは安全性と環境、公害対策であったはず。

なのに、この型式から外れた乗用車を作った各社ともに「安全だからリコールの必要はない」と言い張っています。

法的な面からいえば、安全であるかどうかだけでなく、公害を巻き散らかすかどうかの方も重要なのですが。

 

ちなみに当初、日産はリコールをしましたが、その後スバルやマツダ、スズキなどは悪質な改竄を行っていたにも関わらず、リコールをしようとしていません。

また、国土交通大臣もまったく動こうとしていません。

まったくおかしなことです。

 

 

 

完成車不正を巡るこれまでの経緯を軽く纏めます。

2017年9月18日に日産湘南工場で無資格者による検査が発覚。日産はこれを受け、121万台をリコール。

10月27日 スバルでも無資格者による検査が発覚。さらに3月には、当初否定していたはずの燃費データ、排ガスデータの改ざんも行っていたことを認める。

7月9日 日産が検査データの改ざんや測定条件の逸脱があったことを発表

8月9日 スズキやマツダが無効なデータを有効化するなどの逸脱があったことを発表

9月26日 スズキが排ガス測定結果を改竄していたことを認める

 

だいたいこんな感じです。

最初の頃こそ世論が騒ぎ立てたせいで日産自動車がリコールすることになりましたが、その後に続いたスバル、マツダ、スズキなどは「安全性に問題がない」としてリコールの必要はないと主張しています。

なんども言いますが、道路運送車両法第75条は、安全性だけでなく、公害や環境保全問題にも触れています

 

 

 

道路運送車両法第七五条の二には、まず最初に以下のように書かれています。

国土交通大臣は、自動車の安全性の増進及び自動車による公害の防止その他の環境の保全を図るため、申請により、自動車をその型式について指定する。

完成車検査および新規検査などについては第五八条から第七六条に書かれています。

 

型式指定はそもそも、新規検査における煩雑さを回避するためにあるものです。(いちいち実車を必要とせず、書類で信用しようというものです。)

しかし、それを野放しに利用させたのでは自動車の安全性も損なわれますし、公害や環境汚染にも繋がってしまいます。

だから、型式指定に基づいて行われる完成車検査では、しっかりとした検査体制が維持されることが必要とされているわけです。

 

今回、それを日産、スバル、スズキ、マツダは破ったわけで、本来だったら型式ごとすべて指定解除されるべきものなはずです。それは国土交通大臣のしごと。

 

でもさすがにそこまでしたら経済に悪影響が出過ぎる、、、ということであれば、せめて全車リコールして検査して、ちゃんと基準を満たすかどうか確かめたらいいのです。つまり、新車検査における型式指定車以外と同じ扱いで検査し直したらいいのです。

 

でもそれすらマツダ、スズキ、スバルはしようとしません。

できないことはないはずなのに。

やらないのはなぜか?

 

カネがかかるからでしょう?

 

ようするに、マツダやスバル、スズキの経営陣たちは

「大気汚染が起きても問題ない。環境汚染なんて気にしない」

「カネがかかることはしたくない」

と考えているのじゃないかと思います。

 

こういう会社の経営陣がいくらマジメな顔してコンプライアンスを語ったところで噴飯ものです。

ESG投資だなんだと言っている方達は、これらの企業を外すべきでしょう。

そうしないのなら、その運用者たちのいうESGというのも、その程度のものだということです。

 

 

また今回、本来ならばしっかり管理監督すべきはずの国土交通大臣がまったく仕事をしようとしていません。

ドイツをみてみましょう。あちらの国では排ガス不正問題をガシガシ叩いてリコールだらけです。メーカーは血みどろの赤字を垂れ流しました。

ドイツは型式をとる段階で不正をした、日本は型式をとったあとに不正をした・・・

その違いはあれど、不正が行われたことに変わりはないのです。

日本はとにかく甘すぎます。

 

 


とりあえず、日本で不正がここまで軽く扱われることには違和感があります。

法令順守意識は、しっかりした罰則がなければ根付きようがありません。

いま日本に必要なのは、商鞅のような官僚なのだと思います。

 

以上です。