ところで為替操作国って?為替操作国に認定されるとどうなるの?
トランプ政権高官が、ここもとのドル高人民元安を受けて、中国を為替操作国に認定できないか検討中とのことです。
年に二回発表される為替報告書ですが、次の発表は10月20日となっています。
これに先立ち、為替報告書を発表する米財務省のムニューチン財務長官は「中国の人民元が今年大幅に下落しており、これを注視している」と発言。人民元のこれ以上の下落を容認できない旨の口先介入をしました。
しかしこれとは別に、米財務省のスタッフからは
ムニューチン財務長官に「中国は為替操作国にあたらない」旨の報告が上がっているのだとか。
米財務省スタッフ、中国は為替操作せずと長官に報告 Bloomberg
どうやら、トランプ政権内で中国に対してやたら強硬な姿勢をとっているライトハイザーなどの一派と、現実的な落としどころを探る現場スタッフなどとの間で、ムニューチン長官が板挟みになっているような感じです。
なお、今までの経緯で言うと、
トランプ大統領は大統領になる前には中国が為替介入をしていると罵っていましたが、実際に大統領になったあとは「中国は為替操作国ではない」と方針を180度転換。
米大統領が見解転換 「中国は為替操作国でない」AFP 17年4月13日
これには北朝鮮問題を巡り中国と仲良くやった方が得だとの方針があった模様ですが、とにかく、当時言っていたことを今になって変更するというのは、ちょっと酷すぎるんじゃないか、と自分は思います。
とりあえずここで、為替操作国についてまとめておきます。
為替操作国に認定されるのはどんな場合?
米国の貿易促進法によると、為替操作国に認定されるには以下の三つを満たすことが条件になるとされています。
- 対米貿易黒字200億ドル超
- GDP比で経常黒字3%超過
- 外国為替市場でのドル買い市場介入がGDP比2%超
中国はまったくドル買い市場介入をしていませんので、要件を満たしません。
なお、要件が満たされない場合にも観察対象国としてみられるばあいはあります。
為替操作国に認定されるとどうなるの?
- 通貨切り上げを要求される
- アメリカが関税措置による制裁を発動する
ようするに、アメリカの政権内部に、追加の関税措置を中国に対してかけたいため、為替操作国に認定しようという動きがあるみたいなのですが・・・
条件的には為替操作国の要件を満たしていない中国をどのように為替操作国として認定するのかには興味があります。
もしかすると、管理フロート制自体を否定するような見解を示すかもしれないな、とみています。
もしそうであれば、他の多くの国も影響を受けることになります。
アメリカ大統領の気持ち次第でいろいろ動かせるってことですから。
とりあえず、そんなこんなで20日にかけてはやや緊張感のある展開となりそうです。
以上。